2008/11/14

ミヨー「スカラムーシュ」を聴く

ダリウス・ミヨー Darius Milhaudの「スカラムーシュ Scaramouche」。言わずと知れたアルトサックスとピアノ or オーケストラのためのスタンダード・レパートリーの一つ。ミヨーが内包していた南米気質を、これでもかと明快に開放した作品で(第三楽章の名前はブラジレイラ!)、演奏者にとっても聴衆にとっても、人気が高い。録音も数多く、私もこの曲が入ったCDなら、探せば10枚くらいは出てくるかなあと思う。

なんで「スカラムーシュ」かというと、今日なんとなくジェローム・ララン氏のCDを聴いていたところ、この曲での流麗な演奏が耳に残り、続いて何枚か探して聴き始めてしまったからである。

そのララン氏のCDだ。「Impressions d'automne(Cafua)」と名付けられたディスクで、今年の夏に発売されたもの。買ったばかりの頃は、自筆譜から再構成したというドビュッシーや、原博巳氏との共演になるプーランクのトリオ、そしてフィリップ・ルルーの「SPP」なんかを好んで聴いていたものだが、ミヨーが、これまた素敵なのです。冷たい水しぶきを吹き上げるような棚田文則氏のピアノの音の中を、自在に泳ぎまわるサックス。涼しくさわやかな演奏だと感じたのは、録音時期が冬季(1月)であることと、無関係ではないだろう。

とにもかくにも、万人にオススメできる内容である。Cafuaから直接購入できるほか、amazonなどでも購入可能(→こちら)。

以前から、私の中ではこの演奏がスタンダードである。須川展也氏のセカンド・アルバム「Fuzzy Bird(Apollon, Bandai, etc.)」に収録された演奏。アルバム最初に収録された吉松隆「ファジイバード・ソナタ」から、須川氏の歌いまわしは冴えまくっており、若き日の須川氏の覇気に満ち溢れた演奏を堪能することができる。それがおそらく最良の方向に発揮されたのが「スカラムーシュ」で、小柳美奈子さんとともに繰り広げるノリノリの演奏は、クラシックという枠を跳び越して、まるでポピュラー音楽のように聴こえてくるほどだ。amazonで購入可能(→こちら)。

LPではあるが、この録音も外せまい。ロンデックスのこのCrest盤は、つい最近もロベール「カデンツァ」つながりでブログで取り上げたが、ここに収録されているスカラムーシュがなかなか良いのですよ。ロベールの強靭な集中力のあとに続いて、楽しげに流れ始めるのがこの演奏。地中海のギラギラした太陽のような演奏(なんじゃそりゃ)。目の前で、特大のキャバスの上に、もの凄い勢いで油絵が描かれていくような様子でも観ているような気持ちになる。まあ、そんなでかいキャンバスに油絵を描くなんて、そんな話は聞いたこともないが、それだけパワーのある演奏だということです。このトランスファーされた音源については以前紹介した。興味ある方はメールをください(→kuri_saxo@yahoo.co.jp)。

ここまで紹介したのは、ピアノとサクソフォンのバージョンだが、オーケストラとサクソフォンのバージョンも存在する。その中で私が良く聴くのは、ファブリス・モレティ Fabrice Moretti氏が独奏を務めたこの演奏。快活な二つの楽章に挟まれた「第2楽章:モデレ」は、どうもベタベタになりがちな演奏が多い中で、すっきりと聴かせるあたりに好感が持てる。それにしても、この一筋縄でいかないオーケストレーションの中で、この速度でやるのは、あえてスリリングさを押し出したというのか(笑)。いやはや、第3楽章のオーケストラ、すごいなあ。

スカラムーシュ以外にも、面白い作品が併録されている。「パーカッションと小オーケストラのための協奏曲」、「クラリネット協奏曲」、「ピアノ協奏曲:エクスの謝肉祭」等。しかも、独奏を務めるのがル=サージュやメイエだというのだから…。このCDもamazonから購入可能(→こちら)。

というわけで、ぱっと聴きたくなったのはこのくらいか。そういえば、ロンデックス演奏の木五+サックス版なんてのもあるんだった。どこにしまったけなあ。CDが増殖しすぎて、わけがわからないことになっている。

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