2008/11/09

架空の物語「Kabuki Festival」

意図するところを汲み取ってくださるかどうか。某Sさんに聞いた話を、ちょっと脚色しつつフィクションとして書いてみたものです。うーん、文章を面白く書くのって、難しい。

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架空の物語「Kabuki Festival」

今日は年に一度の大イベント、"Kabuki Festival"の開催日。近年アメリカでも"Kabuki"専攻科が多くの大学に設立され、それを生業とする者も、今では数多い。アメリカ最高峰の歌舞伎役者養成機関である、North America Culture University(NACU)の"Kabuki"専攻科教授は、アメリカにおける歌舞伎の草分け的存在であるMoris Newmanの一番弟子、John Brown。そもそもアメリカに歌舞伎の文化を輸入したのはMoris Newmanであり、彼は日本の片岡仁左衛門に師事しながら、アメリカにおける歌舞伎の第一人者となったのだ。John Brownは彼の後を継いでNACUの教授となり、アメリカにおいて歌舞伎界を牛耳る存在となっている。

一組目の演目が始まる。こちらはNACUの出し物ではないが、やはりJohn Brownの弟子たちが出演しているのだ。見事に"Yoshinoyama"を演じきった訳者たちに対し、会場を埋め尽くした愛好家から、大きな拍手が送られる。もちろんJohn Brownも、その様子を満足げに見守っていた。

いくつかの大学の演目を経て、いよいよ大トリ、NACUの出し物、歌舞伎の中でも傑作とされる"Kanadehon Chushingura"だ。主役を務めるのは、もちろんBrown教授。演目が終わると同時に、スタンディングオベーション、そしてブラボーの嵐。Brown教授の終演の挨拶、「今日のフェスティバルは、まさに国内の"Kabuki"文化における、記念碑的な催しになったと言えるでしょう。私は、この"Kabuki"文化を、誇りに思っています!」自身に満ちたそのスピーチに、惜しみない拍手と、歓声が送られたのであった。

その拍手の嵐の中で、フェスティバルを観にわざわざ訪米したある歌舞伎愛好家は、満員の聴衆のなかでただ一人首をひねっていた。「んんん?おいおい、こんな怪しいものを歌舞伎と呼んでよいのか?日本の歌舞伎とはまったく違うじゃないか。」「発音なんて、ぜんぜん訛っているし。大体台詞をまともに読めてないなんて。」「舞台や衣装も、ぜんぜん日本のものとは違う。なんだあの色使いは。」「あのBrownとかいう"Kabuki"専攻の教授、教育者としては立派だろうが、まさか本場で学んだことがないとは…そんな人物が、"Kabuki"界を牛耳っているなんて…」

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あ、どうでもいいけど、なんだか歌舞伎を観たくなってきた。

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