2023/05/17

ImpetusSE with Vincent David

2022年9月に開催されたインペトゥスサクソフォンアンサンブルの演奏会の模様が、YouTubeにアップされていた。私はこの演奏会に伺うことはできなかったのだが、チラシに書かれた「ヴァンソン・ダヴィッド氏から届く音と映像のコラボレーション!?」という謳い文句から、どのような演奏会になったのかが気になっていた。

当日の写真は演奏会直後に拝見しており、舞台写真ダヴィッド氏自身は来日せず(理由は当時のコロナ禍の難しい状況のためだろう。「短期滞在のビザ免除&個人旅行の解禁」を含む入国制限の大幅緩和が施行されたのは、2022年10月11日からである)、事前収録されたソロ映像+舞台上のインペトゥスサクソフォンアンサンブル、という形での共演がなされたことは把握していた。映像として演奏の模様を観たのは初めてだった。

そもそもこのライヒ「ニューヨーク・カウンターポイント」、ライヴでのソロ楽器と、残りの10パートを重ねる(事前にテープ録音)という形式がオリジナルの指示だが、それの真逆の形式。バランスやタイミングを始めとして、どのようにアンサンブルを成立させたか、そのアプローチは気になるが、結果的になかなか面白い舞台となった様子が窺える。

2020年4月時点ではインペトゥスSEとダヴィッド氏はリアル共演を狙っていたがコロナ禍で延期、その後2022年9月の延期後演奏会でも事前収録映像との共演。いずれは、リアル共演を実現させてほしいものだ。


2023/05/14

普門バンドフェスティバル1983年(ロンデックス氏来日)

ジャン=マリー・ロンデックス氏は、1983年6月の来日時、銀座中央会館でリサイタルを開いた他、6月5日には普門バンドフェスティバルというイベントに出演した。大友直人指揮東京佼成ウインドオーケストラと共演し、ロナルド・ビンジ「サクソフォン協奏曲」を共演している。この時の録音がM先生のところに残っており、聴く機会に恵まれた。

極めて推進力のあるTKWOの演奏に驚かされるとともに、ロンデックス氏の輝かしい音色に、冒頭から驚かされる。ちなみに、ビンジの協奏曲は、決して独奏・バックの吹奏楽ともに、技術的に高難易度というわけではないが、妙な箇所(冒頭で大見得を切る箇所等)で独奏パートがつまずいたり、TKWOとのアンサンブルもやや噛み合わない箇所があり、本調子ではなかったのかな、という印象もある。

驚かされたのはボノー「ワルツ形式によるカプリス」の演奏で、これは物凄い演奏だ。ミュールが1980年代に存在していたかのような、アクロバティックな曲芸師と、泣きの歌心の要素を併せ持つ、類まれなる名演だ。この曲、MD+Gレーベルのロンデックス氏の復刻録音でも最終トラックとして取り上げられていたように、ロンデックス氏が初期から十八番として各所で演奏していた作品のはずだが、それにしても凄い。最後には聴衆に向けたパフォーマンスだろうか、ちょっとした楽譜の改変も(見事!)。

写真は、James C. Umble著「Jean-Marie Londeix Master of the Modern Saxophone」より。普門バンドフェスティバルの時の演奏の様子。


阪口新氏の演奏映像

先日のジャパン・サクソフォーン・フェスティバルにおけるポスター/映像展示制作にあたり、冨岡和男先生よりお借りした資料の中に、阪口新氏の演奏映像が含まれていた。本当は3月のフェスで展示したかったのだが、著作隣接権処理の打診先がわからず、展示できなかったもの。VHSだったのでデジタル化はしておこうと思ったのだ。

順に、高松ウィンドシンフォニー(第2回、1985年4月6日)、香川大学吹奏楽団(第10回)、高松第一高校(第10回、1982年8月8日)との各共演。指揮は、当時香川大学の教授だった佐倉友章氏。香川、ということで、ダッパーサクセーバーズの皆様が良く知っている演奏会(実は一部の演奏には乗っている)であり、"師匠"さんことOさん、"きんじ"さんに様々な情報を教えていただいた。

「インディアン・サマー」や、高校生との共演での「展覧会の絵より"古城"」など、往年の演奏スタイルでの見事なサウンドを聴くことができる。"きんじ"さんの感想によると、「客席に降りて一番後ろまで来るとホール全体を包み込むような響きになってて、遠鳴りの音ってこれかー!と感動した(…後略)」とのこと。








Oさんからは、プログラム冊子の写真も送っていただいた。それぞれ、高松ウィンドと、高松第一高校のプログラム冊子抜粋。


2023/05/12

「サクソフォン四重奏」の楽しさを子供たちに

ソニー音楽財団のYouTubeチャンネル「こどものためのクラシック」に、小学校高学年向けに、サクソフォン四重奏の魅力を伝える目的で、Urban Saxophone Quartetが企画・出演。次のような内容で、サクソフォン四重奏のことを開設。どのような経緯でこのような企画が実現したかはわからないが、こういう子供向けの企画、これまでありそうで無かった…と思う。

シバの女王の入城/ヘンデル
サクソフォンってどんな楽器?
4種類のサックス
聖者の行進/アメリカ民謡
サックス四重奏の魅力
サクソフォン四重奏曲 第1番より第4楽章/サンジュレー

わずか16分だが、とても親しみやすく、分かりやすい内容で、教材やアウトリーチの素材としても使えそうな内容だ。多くの子供たちの目に触れてほしい。


2023/05/04

Ensemble Saxophone de Francaisの音

Jacques Melzer (soprano)、Jean-Marie Londeix (alto)、Guy Lacour (tenor)、Roland Audefroy (baritone)というメンバー編成の、もはや伝説ともいえるカルテット、Ensemble Saxophone de Francaisの音。

バッハ作品集をリリースしたことがあるそうで、その抜粋録音。音を聴いたのは初めてだった。極めて明るい音と、小気味よいテクニック。そして何より、音楽の推進力に感心してします。

YouTubeのリンク先からさらにいくつかの録音を参照することができる。



2023/04/30

Linda Bangsのプライヴェート録音

リンダ・バングス Linda Bangs氏(Linda Bangs-Urbanと表記されることもある)は、長らくラッシャーサクソフォン四重奏団のバリトンサクソフォン奏者として活躍した。

ニューヨーク州タイオガ郡ウェイバリー生まれ、シガード・ラッシャーとローレンス・ワイマンに師事。ドイツ、ダルムシュタットの音楽アカデミーでサクソフォンを教えている。アメリカやヨーロッパで広く演奏活動を行い、数多くの商業用レコードに参加している。1990年、バングスはSüddeutsches Saxophon-Kammerorchester(南ドイツ室内サクソフォンオーケストラ)を設立した。

その、リンダ・バングス氏の、おそらくプライヴェート録音と思われるもので、彼女の生徒が許可を得てアップロードしたもの、といったことが情報に書いてあった。アントニオ・ヴィヴァルディの「チェロ・ソナタ第1番」。録音は2007年。バロック期の作品を頻繁に取り上げるのはラッシャー派の(ラッシャー氏の)特徴であるが、演奏スタイルも、その流れを汲むものである。



2023/04/22

サクソフォーン協会誌向けの物書きが進行中

日本サクソフォーン協会の協会誌(Vol.33)向けに記事を2点準備している。

・杉原真人さんが書いた「日本のサクソフォン史」の論文Chapter2翻訳
・フェス向けに制作したポスター展示16枚の協会誌向け組版変更

これらの物書き作業がかなりボリュームがあり忙しく、なかなかブログのほうに割く時間が取れていない。

これはVol.32の表紙の一部分。