ラベル 歴史的録音(LPなど) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 歴史的録音(LPなど) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025/04/19

フルモー四重奏団のLP

Discogsで見つけてフランスから購入したLP。

ジャン=イヴ・フルモー サクソフォン四重奏団の1984年出版のLPで、まだテナーサクソフォンをGuy Demarle氏が担当していた頃の録音。

アラン・ベルノーの「四重奏曲」、「ラグタイム組曲」、クルト・ヴァイル「三文オペラ」、という、なかなか面白みのあるラインナップ。

「三文オペラ」はさすがの堂に入った演奏で、フルモー四重奏団のキャラクターにとてもマッチしており、大変良い演奏だと感じた。私が好きな、勢い最優先!というJohn Harle Saxophone Quartetの録音と方向性こそ違うものの、これも大変気に入った。

ベルノー「四重奏曲」も気合いが凄まじく、これは一聴の価値があるものだ。やはり最後はアルモQに戻りたくなるのだが、1980年代というタイミングでの録音は、当時の空気感を感じられるようで、貴重なものだ。

版元のD.G.M. Productionという謎のレーベルは、他にEnsemble De Saxophones De Parisなどの録音を出版しているが、実態はよくわからなかった。




2025/04/06

Frederick Hemke plays "Discourse II"

フレデリック・ヘムケ氏が、アメリカの作曲家Anthony Donato「Discourse II」という作品を演奏したライヴ録音を見つけた。ピアノはMilton Granger氏で、有名なLP「The American Saxophone」や「The Music for Tenor Saxophone」でもヘムケ氏との共演歴がある。

https://archive.org/details/cd_music-of-anthony-donato-vol-5_anthony-donato/disc1/

Anthony Donato氏、という名は知らなかったが、どうやらノースウェスタン大学で要職に就いていたことが以下の経歴からは読み取ることができる。ヘムケ氏との関係性も、その中で生まれたのだろう。

==========

アンソニー・ドナートは、1909年3月8日にネブラスカ州プラハ生まれ。イーストマン音楽学校で音楽学士(1931年)、音楽修士(1937年)、音楽博士(1947年)の学位を取得した。1931年から1937年まで、ドラーク大学でヴァイオリン科のヘッドを務め、オーケストラも指揮した。また、1937年から1939年までアイオワ州立教員養成大学、1939年から1946年までテキサス大学でヴァイオリン科のヘッドを務め、テキサス大学では作曲も教えた。1947年、ドナートは音楽の准教授としてノースウェスタン大学に着任。1950年、理論と作曲の教授に就任。1976年、名誉教授となった。

1947年から1958年、および1961年には、大学室内管弦楽団の指揮者も務めた。ドナートはフルブライト研究員で、1951年から1952年にかけてイギリスのバーミンガム大学で現代アメリカの音楽作曲について講義するなどした。また、ハンティントン・ハートフォード財団研究員でもあり、1961年の夏には音楽作曲の研究を進めた。

ドナートの演奏キャリアとしては、1927年から1931年にかけてロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団、1929年から1931年にかけてホフシュタイン四重奏団のメンバーとしての活動が有名。また、1929年から1937年にかけては、多くのラジオ局で生演奏を行ったが、四重奏団の指揮と演奏も行った。ドナートは、ソリストとして、また米国各地で演奏する様々な室内楽団体のメンバーとして数多く出演した。作曲家としての活動も目覚ましく、オーケストラ、バンド、合唱、オペラ、様々な室内楽の組み合わせ、ピアノ、オルガン、独唱、ピアノを含む様々な楽器のための作品を作曲した。

ドナートと伴奏者のキャロリン・スコットは、1931年12月30日に結婚した。 1990年10月29日、ドナートはフロリダ州ブレーデントンの自宅近くの介護施設で亡くなった。

==========

以下の写真は、当時のプログラム。この作品よりもむしろ、同時に演奏されたデザンクロやフサの作品などが気になるが、それらの録音は見つけられなかった。

2025/03/30

第1回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)のライブ盤

第1回アドルフ・サックス国際コンクールのライブ盤を入手。それなりに有名なCDだと思うのだが、Rene Gaillyレーベルの倒産以来手に入れづらくなってしまい、何年にもわたって入手できていなかった。 ケースも盤も状態は非常に良く、購入されたものの聴かれていなかったか、デッドストックだったか。

コンクール当時まだ20代だった、ヴェルサイユ音楽院教授のヴァンサン・ダヴィッド氏(第1位入賞)、ハバネラサクソフォン四重奏団テナー奏者のファブリツィオ・マンクーゾ氏(第2位入賞)らの、同コンクールでのライヴ演奏が聴ける、という、興味深い盤だ。

H.プッスール「Caprice de Saxicare」(第3位:Raf Minten)
A.グラズノフ「サクソフォン協奏曲」(第2位:Fabrizio Mancuso)
P.M.デュボワ「サクソフォン協奏曲」(第1位:Vincent David)
H.プッスール「Caprice de Saxicare」(第1位:Vincent David)

やはりというべきか、第1位のヴァンサン・ダヴィッド氏の演奏はかなり良いもので、デュボワもなかなかに説得力ある演奏であるし、プッスール作品の演奏でのキレもある。コンクールならではの若干の空回りや、表現の積極性がやや薄い、といった部分はあるが、これは録音のせいもあるかもしれない。マンクーゾ氏のグラズノフの演奏は、数あるグラズノフの録音と比べてしまうと緩徐部分にそこまで魅力を感じないし、ミンテン氏のプッスールの演奏も、やはりダヴィッド氏の演奏と比べてしまうと…というところ。

演奏そのもの以上に、資料的価値が高い録音であり、のちに発売された「Adolphe Sax International Competition」には含まれていないものも、ここでは聴くことができる。やや好事家向けかもしれない。

ライナーノートに書かれている、アドルフ・サックス国際サクソフォン・コンクールの成り立ちに関する部分を抜粋・翻訳してみた:

このコンクールは、ベルギー国王アルベール2世の後援のもと、国際アドルフ・サックス・イヤー実行委員会が、国際ジュネス・ミュジカル連盟 Federation of Jeunesses Musicales および1994年9月にサクソフォンに特化したTrompコンクール(オランダ)と共同で開催する。このコンクールは、1994年11月6日時点で31歳以下のサクソフォーン上級者を対象とし、国籍は問わない。コンクールの科学的・音楽的な企画は、フランソワ・ダニール(François Daneels)が主宰し、ベルギーの音楽院のサクソフォーン教授全員を含む委員会によって組織された。予選、セミファイナル、ファイナルの3ラウンド制。サクソフォーンであればどの楽器でも出場できるが、規定曲はアルトのみ。予選とセミファイナルはピアノ伴奏、ファイナルはジョルジュ・オクトール指揮ワロン室内管弦楽団の伴奏で行われる。

ライナーノーツから、写真で一部抜粋してみた。審査員のリストには、武藤賢一郎氏の名前が。各演奏者の写真は…若い!




2025/03/17

John Harle plays Johnstone

Internet Archiveを探索していたところ、ジョン・ハール氏の演奏を見つけた。イギリスのMaurice Johnstoneという作曲家の「バラッド」という曲である。

込み入ったクラシック作品、というよりは、どちらかというとライト・ミュージック的な装いがあり、演奏時間も10分を切る程度。ハールの真価を聴く、というようなものではないが、鼻歌のように軽やかなサクソフォンは、曲の雰囲気に非常にマッチしている。バックのアルスター管弦楽団の演奏も、鮮やかで非常に良い。

https://archive.org/details/cd_english-composers_julius-harrison-ruth-gipps-maurice-johnsto

Maurice Johnstoneの簡単な経歴は次の通り:1919年10月から1922年4月まで王立マンチェスター音楽大学(後に王立北部音楽院)で学ぶ。1921年夏にマンチェスター・シティ・ニュース紙に音楽批評を寄稿。1922年5月から1923年3月まで、ジョンストンはロンドンのキングス・カレッジで作曲と指揮を学んだ。1935年からBBCの音楽部門に勤務し、最初はロンドンで、その後1938年から1953年まではマンチェスターでBBC北地域音楽部長を務めた。1953年、新設された音楽部門の音楽番組責任者としてロンドンに出向、その後ハーペンデンに戻った。1959年にBBCを退職し、1976年4月に亡くなるまでハーペンデンに住み続けた。

写真は、Maurice Johnstoneの近影。



2024/06/16

ギャルド四重奏団のデジタル復刻盤

 最近のストリーミングサービスには、LP時代の復刻が取り上げられていることも多い。録音年・元レーベル、復刻環境も何もわからず、アーティスト名(グループ名のみ)と曲名くらいしか掲載されていないのだが、それでも過去の貴重な録音を耳にできるのは良いことだ。

BnF collectionとしてフランスで出版されていた過去の盤の復刻が頻繁にアップロードされている。そのなかに、ギャルド・レピュブリケーヌ・サクソフォン四重奏団のミニアルバムがある。ライト・ミュージックというか、とても軽快でわかりやすく楽しい作品を、軽妙な、しかし往年の輝かしい音色で堪能することができる。

Vendanges a Madeira
Hot Cappuchino
Rainfall
Java pavene

https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mYiSVxDRBsVYRk-cCheLmw_1CvUQ2fBUE&si=XNDipdBWVDDiJt4S


2024/04/29

Quatuor de saxophones contemporainのアルバム

昨日の記事で、ジャック・シャルル氏に関連して話題に出したQuatuor de saxophones contemporain(Sop:Jacques Charles、Alt:Pierric Leman、Ten:Ghislain Mathiot、Bar:Max Jezouin)のアルバムを、多くのサブスクリプションサービスで聴くことができる。

https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mGVDS9610zscIgpyWSNrtfnxN4D8v1KGU&si=54gG4Cn_KZGp4mRD

サンジュレ「四重奏曲第一番」、スカルラッティ「3つの小品」、ワイルの「三文オペラ」抜粋(しかも、ジョン・ハール氏のアレンジを使っている!)、ルジェ「オーブ・マリーン」という、古から現代まで満遍なく取り上げた内容。サンジュレは時々大味な響きなどもあり、あまり落ち着いて聴いていられなかったのだが、ワイルやルジェの作品は、良い意味で遠慮のなく、体当たりな演奏が楽しい。

録音年・出版年について、どこにも記載が無いが、エディット・ルジェ氏のページによれば、どうやら1984年とのこと。

以下は、Discogsのページから引用したオリジナルジャケット。


2023/07/24

木下直人さんより(Marcel MuleのSelmer盤復刻)

マルセル・ミュール氏の録音の中でも、特に高名なSelmer盤(かつて、フランス・サクソフォン協会からASAX98という型番でCD化もなされている)の復刻盤を、木下直人さんに送っていただいた(いつも、ありがとうございます)。

P.クレストン - ソナタ
P.モーリス - プロヴァンスの風景
P.M.デュボワ - ディヴェルティスマン
E.グラナドス - ゴイエスカス
P.ボノー - ワルツ形式のカプリス
H.トマジ - ジラシオン
E.ボザ - カプリス

様々な形態で復刻されているが、それぞれの復刻ポリシーによって、少しずつ違う演奏に聴こえてくるのが実に面白い。音色や音の輪郭そのものにはエッジの効いた、眼前に迫るようなリアルさを感じるのだが、そのおかげでより各場面における違いが際立つ。

かつて、クレストンの冒頭を初めて聴いたとき「問答無用に感じた畏怖」のようなものは、ASAX98の復刻ポリシーによるものも大きかったのかもしれない。もう少し違う印象を持つようになったのは、大きな発見であった。


2022/07/16

Aage Voss演奏のロナルド・ビンジ「サクソフォン協奏曲」

Aage Vossが独奏者を務め、作曲者自身の指揮、South German Symphony Orchestraとともに演奏されているロナルド・ビンジ「サクソフォン協奏曲」の録音。1971年にRediffusionレーベルからリリースされたもの、とのこと。

Aage Vossは、ジャズサクソフォン(アルト&バリトン)奏者として名を馳せ、多くのジャズの録音にクレジットされているデンマークの奏者。奏法・音色は完全にジャズのスタイルで、本作品に合っているか…と問われると個人的にはそうとも思えず、作品そのものがヴィルトゥオジティを表現するような箇所もなく、サクソフォン的に特筆すべき部分は特に無い。

しかしながら、オーケストラの、底抜けの明るさが楽しい。本作品の魅力の一つ、ということで「第2楽章のロマンティシズム」とともに言及されることの多い「第1楽章のサクソフォンが入るまでの開始20秒間の前奏」を聴くだけでも価値大アリだ。作曲者ビンジ自身の指揮、というのも興味深い。

Aage Vossの写真を探すのには苦労した。下記写真の中央に位置するサクソフォン奏者(ベース奏者のすぐ前に座っている)だそうだ。デンマークのジャズバンドの写真。

2022/04/17

木下直人さんから(ミュール新発見盤)

木下直人さんから、マルセル・ミュールの新発見盤の復刻CDを送っていただいた(いつもありがとうございます!)。

Polydor Disque 522.956という型番が付いており、演奏者欄にAndre Messier et son orchestre "FANTINITZA", Solo de saxophone Marcel Muleの記載がある。


このAndre Messierという人(演奏者であり、収録曲のうち一方の作曲者でもある)は、映画音楽の作曲者として有名らしく、フィルモグラフィを調べてみると、The Forest of Farewell (1952)、The Orphans of Saint-Vaast (1949)、Love Around the Clock (1943)、L'Etrange Nuit de Noël (1939)、Le Château des quatre obèses (1939)、といった映画名が挙がる。

このSPには、Andre Messierの「Cendrillon Moderne: Valse-ballet」と、Andrew Walrenceの「Leger Tourbillon: Intermezzo valse」という2曲が片面ずつ収録されている。曲の素性などは、インターネット上でかなり調べてはみたのだが、どうも不確かな情報しか出てこない。また、Andre MessierとAndrew Walrenceが同一人物だと主張する情報もあり、なかなか情報を整理できなかったのが悔やまれる。もう少し調べてみたいのだが、純音楽というよりも、映画音楽的な方面から調べないと難しそうだ…。

内容は、極めてポピュラー寄りの、ダンスミュージックといった装い。ミュールのサクソフォンの軽やかさ、美しさ、気品は、頭一つ抜けていると感じる。ミュールはダンスバンドなどで演奏しており、ヴィブラートをその経験から取り込み、クラシック音楽へと輸入していったとされているが、こういった演奏を聴くと、余技として単純に軽々しく演奏していたわけではなく、ミュールは、天性・努力の賜物としての一級品の演奏を、どんな場へも持ち込んだのだなと、実感する。

SPからの明瞭な復刻は、木下直人さん独自のシステムによるもの。ノイズは敢えて無修正であり、しかしながら演奏そのものに耳を遣るとノイズは全く気にならないどころか、むしろ市販品のノイズ除去盤がリマスタリング段階でいかに無神経にノイズを消しているかが分かってしまい、木下さんの盤以外聴けなくなってしまう…。

2022/04/10

容易に入手可能なデファイエ氏の録音

公式な復刻が進んでいるとは言い難いダニエル・デファイエ氏の録音だが、今現在、比較的入手しやすいデファイエ氏の録音を下記に挙げておく。


「20th Century Music for Saxophone and Piano(SWR Classical Archive SWR10331)」
デジタル配信の時代になって急に登場した録音。SWRとは、南西ドイツ放送のことで、SWR Classical Archiveというシリーズのひとつとしてリリースされた。おそらく、放送用録音として所蔵されていたテープからの復刻であろう。1958~1963年の、デファイエ氏が脂が乗った時期の見事な演奏記録で、チェレプニン「ソナティネ・スポルティヴ」や、クレストン「ソナタ」などの有名曲を交えた録音で、大変聴き応えがある。一発録りなのか、すこしアンサンブルなどは怪しい箇所も聴こえてはくる。私なんかは「これこれ!」といった感じで聴いてしまって、あまり冷静な判断を持って聴くことができないのだが、このソノリテや歌は現代にも通じるところが多いのではないだろうか。


「魅惑のサクソフォーン(King KICC-477)」
日本で録音された小品集。ピアノは山田富士子女史。元々はLPで、CD時代に復刻発売→廃盤となっていたが、2004年に再発売されて以来、カタログ落ちせずに残っている。小品とはいえ、丁寧な演奏の中に、当時のデファイエ氏が持っていた演奏の趣味の良さを存分に感じることができる。とはいえ、現代のサクソフォンを聴き慣れた耳に合うかどうか…これはぜひ、今現役でサクソフォンを学んでいる20才前後の方々に意見を伺いたいところだ。


「サクソフォーン・アンサンブルの至芸(Sony SICC 1972-3)」
2015年に突然発売された復刻盤。「サクソフォーン・アンサンブルの至芸 L'art supreme du quatuor de saxophones(1978年)」「フランス・サクソフォーン四重奏の新たなエスプリ Esprit nouveau de France saxophone quartette(1975年)」の2枚が復刻されている。長きにわたり未復刻だったこれらソニー盤は、比較的入手しやすかったEMI盤の素晴らしさもあって、文字通り伝説的な盤として「話は聞いたことがあるが中身を聴いたことがない」「リュエフの冒頭がすごいらしいが聴いたことがない」といった話を良く聞いたものだ。実際、言葉はいらないほどの名演の数々、聴いたことがなければぜひ一聴を。

2022/04/09

Pierre Hasquenophのシンフォニー・コンチェルタンテ第3番(MuleQ参加)

ピエール・ハスケノフ Pierre Hasquenoph(1922-1982)は、フランスの作曲家。初期には医学を学んだが、すぐに音楽の道に進んだ。セザール・フランク音楽院に入学し、Guy de Lioncourt (作曲と和声)、de René Alix (対位法とフーガ)、Marcel Labey (指揮法)に師事した。1950年から55年までパリ音楽院でダリウス・ミヨーやジャン・リヴィエの作曲クラスに学ぶ。ラジオ局でキャリアを積み、最初はディレクターとして(1956年)、次にRTFの交響楽部門長(1958年)、最後にORTFのService Lyrique部門(?)長(1960年)を務めた。1973年から1982年まで、フランス放送局の室内楽部門のディレクターを務めた。ハスケノフは、古今東西の流行の寄与を否定することなく、常に流派にとらわれない自由な作風を主張している(フランス語版 Wikipediaより)。

サクソフォン作品は、この「シンフォニー・コンチェルタンテ」の他にも数多い。おそらく、作曲の師であるリヴィエの影響であろう。アルトサクソフォンのための「コンチェルティーノ作品20(1960年)」、テナーサクソフォンのための「コンチェルティーノ(1976年)」、アルトサクソフォンのための「ニュルンベルク・コンチェルト」、室内オーケストラのための「インヴェンション」、サクソフォン3重奏のための「小セレナーデ」、サクソフォン4重奏のための「4声のソナタ」、サクソフォン4重奏とオーケストラのための「第4交響曲」といった具合。大規模な作品が多いが、サクソフォン界一般にあまり知られているとはいえないだろう。

「シンフォニー・コンチェルタンテ第3番」は、サクソフォン四重奏とオーケストラ(2管編成+打楽器+ピアノ)という充実した編成、そして20分以上に及ぶ長大な作品で、急緩急の3楽章(Vif, Lent et Scherzo, Vif)形式作品。マルセル・ミュール四重奏団の参加で、このような録音が残されていたことが驚きだ。ネオ・ロマンティックの典型のような作品で、サクソフォン四重奏にもかなり技巧的な演奏が求められるが、ミュール四重奏団は、フランセ「Paris! a nous deux」で聴かれるようなキレッキレの演奏で見事に要求に応えている。

https://archive.org/details/cd_french-composers-volume-20_jean-jacques-grunenwald-pierre-hasquenoph/disc1/02.+Jean-Jacques+Grunenwald+-+Symphony+Concertante+for+Saxophone+Quartet+and+Orchestra.flac

2021/10/20

Instruments a vent français(木下直人さんより)

だいぶ昔から存在は知っている盤だが、聴いたのは初めてだった。これも木下直人さんに送っていただいた。

Erato(原盤)STE50212という型番の、木管楽器オムニバス盤。国内では、日本コロムビアから販売されていた。国内盤のジャケッは、素材は同じだが色合いやレイアウトが違う。

フルートのマクサンス・ラリュー、オーボエのピエール・ピエルロ、バソンのモーリス・アラール、クラリネットのジャック・ランスロ、ピアノのアニー・ダルコ、そしてデファイエが独奏として、デファイエ四重奏団として…錚々たるメンバが参加した豪華な企画盤である。サクソフォン的興味のみならず、フランスの管楽器ファンにとっては垂涎モノの内容ではないだろうか。もちろん、サクソフォンの演奏も十分豪華なのだが、それ以上に弾けるようなみずみずしさを湛えたA面ばかりを聴いてしまう。

ヴィヴァルディ「協奏曲 フルート、オーボエ、バソンのための」
テレマン「オーボエ・ソナタ」
モーツァルト「バソンとチェロのためのソナタ」
フォン=ウェーバー「ヴァリエーション・コンチェルタンテ」
グラズノフ「カンツォーナ・ヴァリエ」
ガロワ=モンブラン「6つの音楽的エチュード」
リヴィエ「グラーヴェとプレスト」

サクソフォンのトラックについては、「カンツォーナ・ヴァリエ」はシューマン風が省略されており、「6つの音楽的エチュード」についてはトリル、スタッカートのみの抜粋となっている。収録時間の関係だろうか。

デファイエ氏の演奏は極めて冴え渡っており、数ある録音のなかでも非常に聴きごたえのあるものだと感じた。復刻環境のせいもあると思うが、古い録音ならではの、原盤起因の解像度の低さやノイズはあるものの、音楽のコアがきちんと捉えられていて、耳が吸い付いていく(たまに商用録音であるような極端に加工された復刻は聴き疲れしてしまう)。

「グラーヴェとプレスト」は、EMIの録音でも有名だが、こちらはより統制が取れ、モダンな演奏に聴こえる。4人の音楽性が発揮された上での統制…面白くないはずがない。そして、EMIの冒頭の編集ミスのようなものは無い(当たり前といえば当たり前だが)。「カンツォーナ・ヴァリエ」は、これはぜひ第1楽章や第3楽章も聴きたかった、録音として残してほしかった…と叶わぬ願い。

2021/10/16

魅惑のサクソフォーン(木下直人さんより)

木下直人さんより、いくつかの復刻を送っていただいた(いつもありがとうございます)。少しずつ紹介していきたい。

今回は、丸針ではなく、楕円針を使っている。この形状に正解は無く、聴きながら判断していく、とのこと。この判断と取り扱いは非常に難しいところがあるようだ。

「魅惑のサクソフォーン(邦題)=Les classique du saxophone」は、マスターテープからのCDでも所有しているが、国外原盤のLPからの復刻。聴き比べがとても面白かった。LPからの復刻を聴いていくと、トラックごとの、録音環境の違い(マイクの位置だろうか、音場がトラックごとに違う)が顕著に目立つのに対して、CDを聴くと巧妙に調整され、差異が目立たないようにされているのだ。

このアルバム、聴き流すと「ダニエル・デファイエ氏の気品あふれる演奏」というありふれたものにしかならないが、高い精度で分析的に聴いていくのも一興。"完璧"ともいえるCrest盤と比べると、人間味を感じる場面が多い。そのせいか必ずしも評価が高いアルバムではないが、聴き疲れとは無縁の、気楽に音楽に浸ることができる、という点で気に入っている。

2021/07/31

デザンクロ作品のレア録音 on Internet Archive

アルフレッド・デザンクロ Alfred Desenclosの作品のうち、これまで商用録音としてリリースされていなかった(と考えられる)ものが、有名なデータベースサイトの「Internet Archive」にアップロードされているのを発見した。

ツイッター上でU(S)氏が、「弦楽とピアノのための五重奏曲」の録音について言及されているものを見つけ、「まさか他にないよな…」と軽い気持ちで検索してみたところ、出てくるわ出てくるわ、聴きたかった作品のオンパレード。ぜひ多くの方に聴いていただきたい。

 特に嬉しかったのが「交響曲」で、存在+タイトルだけ何年にもわたり知識として持っていたが、どんな作品なのか気になりすぎて、今年頭にスコアをレンタルしたのだった。楽譜だけで音は鳴らせないので、MIDIで打ち込んでみるか…と思案していたところに、まさかの本家フランスのオーケストラの録音の存在が発覚し、嬉々として聴いた。とにかく、名曲。ダイナミックな音楽の流れと、緻密さの同居(解像度の低いモノラル録音では"緻密さ"は聞き取りづらいが‥)。蘇演を望む! 

 「レクイエム」は、オルガン版の録音はいくつか存在しているが、オーケストラ版だと違った空気感が漂う。これはぜひ実演で接してみたい(ただし、この録音は演奏技術的にはいまいちか)。 

 ダークホースで、録音がすでに多く存在しているものの、まさかのモーリス・アンドレ演奏の「祈祷、呪詛、踊り」。歴史上最も輝かしく、破天荒なトランペットによる同曲の解釈。オービエによる演奏他、広く聴かれている録音を吹き飛ばすようなパワーに満ち溢れた演奏だ。知られていなかったのが「交響曲」並にもったいない。こちらもぜひ一聴を。 

「交響曲 Symphonie」
Eugene Bigot指揮 フランス国立放送管弦楽団 

「ピアノ五重奏曲 Quintette pour codes et piano」 
Marie Therese de Bosse Quintet 

「レクイエム Requiem」
Nicholas Koye指揮St. Mary Magdalene Music Society Orchestra/Chorus 

「祈祷、呪詛、踊り Incantation, therene et danse」 Eugene Bigot指揮 フランス国立放送管弦楽団 トランペット:モーリス・アンドレ Maurice André 

 「Trois vœux」
演奏者不明 

2018/11/22

「ぞうさん」のサクソフォン

https://music.youtube.com/watch?v=ipEw85ecNOA&feature=share

「ぞうさん」なのだが、サクソフォンの甘い音色が印象深い。坂口新氏か、その周辺の奏者ではないかと思うのだが、クレジットが無く調べきれなかった。

2017/08/03

ツーロン軍楽隊の音

グリーンドア音楽出版の、フランス海軍ツーロン軍楽隊の復刻盤を聴く。かつて、ガブリエル・パレが指揮を務めた由緒ある楽団の、ジャン・マイヨ楽長時代の録音を、CD2枚にわたり丁寧に復刻したもの(使用カートリッジはPierre Clement)。

レパートリーの豊富さとともに、やはりその濃密サウンドに魅力を感じる。木管セクションは、リード楽器の集合体(フルートは違うが)なんだな、という認識を強くする。各楽器が、十分にその楽器の特性を活かして鳴らすと、こんな音が生まれるのか、という驚きがある。

最近の吹奏楽は、音が中和することを良しとする傾向があり、残念ながら似たりよったりの演奏になりがちだ。

2017/07/21

無伴奏の白鳥

木下直人さんの復刻によるマルセル・ミュールの独奏録音の中に、サン=サーンス「白鳥」の録音が2種類含まれている。

http://www.greendoor.jp/products/products.php?pnum=GDWS-0025-6

1つは以前から度々復刻されていたものだが、もう1つは、何と冒頭に一瞬ピアノが入るのみの、無伴奏版。原盤は、コロンビアのDF1083。

どういった経緯でこれが録音され、リリースされたのか、その事情に興味があり、資料的価値が高いと思っているのだが、それを差し置いてこの演奏は殊の外素晴らしく、蠱惑的なものを持っており、惹かれてしまう。

2017/04/03

アウレリア四重奏団のデビュー盤入手

Aurelia Saxophone Quartet Debut Album (LP)!

アウレリア・サクソフォン四重奏団のデビュー盤LPを入手した。EMIのASK 1201という型番で、1987年6月の録音。アウレリア四重奏団の結成は1982年だから、その5年後の録音である。アレンジ物2点を収録するという、面白い内容。

曲目:
ジョージ・ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」
モデスト・ムソルグスキー「展覧会の絵」
(いずれもJohan van der Lindenのアレンジ)

メンバー:
Johan van der Linden, Ssax
André Arends, Asax
Arno Bornkamp, Tsax
Willem van Merwijk, Bsax

オランダの中古レコード屋からの取り寄せで、本体$7に、送料$20を支払うという結果となったが、レコードの国際発送ならばこんなもんだろう。本当はCD(EMI CDC 7 49065 2)を入手したかったのだが、10年以上にわたって探せども探せども見つからず、先延ばしにしても入手は難しいだろうと判断、アウレリア四重奏団解散のニュースを機に、中古LPをエイヤと購入することとなった。

とりあえず盤面チェックと再生チェック。少し汚れやシミが散見されるのと、1箇所音飛び(もう一度再生すればおそらく大丈夫かな?)を除いて、ほぼ問題ないレベル。再生チェックをしながら小気味よい演奏と、表現力の広さに唸ってしまった。「Blow!」にも収録されており、聴いたことのあった「ラプソディ・イン・ブルー」が、実に若々しく、高いテンションで演奏されており、すっかり耳を洗い直された。また、「展覧会の絵」での、曲ごとの表現の吹き分け方は、アウレリアならでは、であろう。

またゆっくり聴いてレビューしようと思う。

2016/11/29

SWR Musicよりデファイエ氏の復刻録音

以前からFacebook等で話題になっている録音でおり、今更な感じもあるが、備忘録のためにここにも書いておく。

SWR Musicという南西ドイツ放送局が運営するレーベルより、ダニエル・デファイエ氏の1950年代~1960年代の復刻(放送用?)録音が、おそらくインターネット配信限定でリリースされている。SWR Musicは、"Classic Archive"というシリーズで、自社が保有する歴史的録音をリリースしまくっている。多くは南西ドイツ放送交響楽団の録音で、特にサクソフォン的な意味では着目していなかったのだが、突然のリリース。しかも、驚くべき内容、サクソフォン界にとって重要なものと言えるだろう。

すべてバーデンバーデンの放送局のスタジオで録音されたものであるとのこと。チェレプニン、パスカル、クレストンといった同じみのレパートリーに加え、トレビンスキー、マルテッリという珍しい作品も並ぶ。デファイエ氏が30代から40代だった頃、演奏家としてすでに評価は確立しており、ミュール氏の後継として飛ぶ鳥を落とす勢いであった、まさにその頃の録音ということになるだろうか。まず録音状態が非常に良い!そして、デファイエ氏独特の美しい節回しやヴィブラートを、どの曲においても堪能することができる…この頃にはすでに氏の演奏スタイルは完成されていたということだろう。

クレストンの録音は1980年代の日本での録音があるし、パスカルはCrestレーベルに収録されているし…と思ってはいけない。この感性というか、みずみずしさはこの録音ならではであろう。デファイエ氏のファンならずとも、必聴に値する内容だ。

20th Century Music for Saxophone and Piano(SWR Music SWR10331)

A.Tcherepnin - Sonatine sportive
C.Pascal - Sonatine
10 October 1958, Musikstudio, Baden-Baden, Germany

A.Trebinsky - Saxophone sonatine
15 September 1959, Musikstudio, Baden-Baden, Germany

H.Martelli - 3 Esquisses
20 April 1963, Studio 5, Hans-Rosbaud-Studio, Südwestfunk, Baden-Baden, Germany

P.Creston - Sonata
15 September 1959, Hans-Rosbaud-Studio, Musikstudio, Südwestfunk, Baden-Baden, Germany

ぱっと調べた限りだが、Naxos Music Library、Google Play Music、iTunesで聴くことができる。
http://ml.naxos.jp/album/SWR10331
https://play.google.com/music/m/Brmu3kvar6bivojfsp7opymmtvm?t=20th_Century_Music_for_Saxophone__Piano_-_
https://itunes.apple.com/jp/album/20th-century-music-for-saxophone/id1131279933

2016/11/28

ミュール四重奏SP復刻盤の準備

マルセル・ミュール氏がソプラノ奏者を務めた四重奏団…ギャルド・レピュブリケーヌ四重奏団、パリ四重奏団時代の、SP復刻盤の準備がようやく最終段階を迎えている。この盤は、木下直人さんが所有するSP盤を、ピエール・クレマンのターンテーブル、カートリッジを使って復刻したもの。先日独奏編がグリーンドア音楽出版より発売されたばかりだが、その四重奏編となる。

私は、解説書きと盤チェック等を担当した。諸事情により進捗がノロノロになってしまい、木下さんには迷惑をかけてしまったが、ようやく終えることができて一安心。

日曜日には、最終マスタのコピーが到着し、一通り聴くことができた。復刻の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。これまでの復刻において、ときには平面的にも聴こえていたモノラルSPが、驚くほどの立体感を持って迫ってくる。SPに真の実力を発揮させる復刻、ということだろう。発売は来年早々だと思う。乞うご期待。