2022/04/10

容易に入手可能なデファイエ氏の録音

公式な復刻が進んでいるとは言い難いダニエル・デファイエ氏の録音だが、今現在、比較的入手しやすいデファイエ氏の録音を下記に挙げておく。


「20th Century Music for Saxophone and Piano(SWR Classical Archive SWR10331)」
デジタル配信の時代になって急に登場した録音。SWRとは、南西ドイツ放送のことで、SWR Classical Archiveというシリーズのひとつとしてリリースされた。おそらく、放送用録音として所蔵されていたテープからの復刻であろう。1958~1963年の、デファイエ氏が脂が乗った時期の見事な演奏記録で、チェレプニン「ソナティネ・スポルティヴ」や、クレストン「ソナタ」などの有名曲を交えた録音で、大変聴き応えがある。一発録りなのか、すこしアンサンブルなどは怪しい箇所も聴こえてはくる。私なんかは「これこれ!」といった感じで聴いてしまって、あまり冷静な判断を持って聴くことができないのだが、このソノリテや歌は現代にも通じるところが多いのではないだろうか。


「魅惑のサクソフォーン(King KICC-477)」
日本で録音された小品集。ピアノは山田富士子女史。元々はLPで、CD時代に復刻発売→廃盤となっていたが、2004年に再発売されて以来、カタログ落ちせずに残っている。小品とはいえ、丁寧な演奏の中に、当時のデファイエ氏が持っていた演奏の趣味の良さを存分に感じることができる。とはいえ、現代のサクソフォンを聴き慣れた耳に合うかどうか…これはぜひ、今現役でサクソフォンを学んでいる20才前後の方々に意見を伺いたいところだ。


「サクソフォーン・アンサンブルの至芸(Sony SICC 1972-3)」
2015年に突然発売された復刻盤。「サクソフォーン・アンサンブルの至芸 L'art supreme du quatuor de saxophones(1978年)」「フランス・サクソフォーン四重奏の新たなエスプリ Esprit nouveau de France saxophone quartette(1975年)」の2枚が復刻されている。長きにわたり未復刻だったこれらソニー盤は、比較的入手しやすかったEMI盤の素晴らしさもあって、文字通り伝説的な盤として「話は聞いたことがあるが中身を聴いたことがない」「リュエフの冒頭がすごいらしいが聴いたことがない」といった話を良く聞いたものだ。実際、言葉はいらないほどの名演の数々、聴いたことがなければぜひ一聴を。

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