言わずとしれた名盤、クロード・ドゥラングル氏の「The Solitaty Saxophone(BIS-640)」。ライナーノーツには、ドゥラングル氏とベリオ氏の短い対談が記載されているが、簡単に日本語訳してみた。
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ルチアーノ・ベリオを訪ねて
パリでの打ち合わせが無くなり、私は、1993年6月22日、フィレンツェのルチアーノ・ベリオのスタジオを訪ねた。私たちは午前中ずっと、オーボエのためのセクエンツァVIIのソプラノサクソフォン版であるセクエンツァVIIbの最終的なディテールの修正に取り組んでいたのだ。
フィレンツェを去る前に、私は彼との短いインタビューを記録することができた。
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クロード・ドゥラングル:シャトレ座でお会いして、私からあなたへサクソフォン版の作成を提案してから、もう2年以上経ちましたね。この作業は長いものでした。とはいえ、私は、この作品の真の精神から逸脱してしまうを非常に恐れていました。結果、どうだったでしょうか?
ルチアーノ・ベリオ:あなたの演奏は素晴らしいプレゼントであり、非の打ちどころのない演奏でした。ソプラノサクソフォンが、オーボエのための原曲の特徴を、私が好むレベルまで拡大、増幅していることに、私は大変興味を持ちました。私は、オーボエと11弦のための「シュマンIV」を拡大し、ソプラノサクソフォンと23弦のための「シュマン」を作ろうとしているのです。私はサクソフォンのことがもともと好きなのです。ルーツがジャズなどの口承音楽のようなところにあるため、ずっと好きだったのです。サクソフォンは、さまざまなキャラクターを生み出すことができます。オーケストラでは、木管と金管をつなぐ柔軟で美しい橋渡し役でありながら、独自の個性も持っているので、私は頻繁にサクソフォンを使います。サクソフォン・ファミリーを取り入れると、力強い個性が発揮され、オーケストラの統一感を高めるのに一役買うのです。
CD:オーケストラの中でのサクソフォンの位置づけはどういったものでしょうか?
LB:サクソフォンはとても柔軟な楽器で、金管楽器に対抗できる音のパワーを持っています。サクソフォンはいろいろな面を持つ楽器です。ですから、私はオーケストラの中でも、ソロの楽器としても使いたいのです。
CD:アルト・サクソフォン用の「セクエンツァIXb」をベースにした「シュマン」の制作も構想されているとのことですが。
LB:あなたの演奏に説得されたのです。将来、時間ができたら取り組んでみようと思っています。すでに構想はできつつあります。今、あなたの演奏を聴いて、あなたへの感謝の気持ちが芽生えました。
CD : サクソフォンを教えるにあたって、何かアドバイスはありますか?現代の作曲家の音楽に対応できるようになるために、学生たちに何を教えるべきでしょうか?
LB:レパートリーはまだそれほど多くありませんが、サクソフォンを学ぶ若い人たちには、非常に柔軟なアプローチを教えるべきだと思います。たとえば、「過剰なヴィブラートをかける、古いフランス流の楽器」という位置づけから切り離してしまうことです。同様に、蔓延る悪い音楽からも…。音楽的な精神の柔軟性、それが最も重要なことなのです。
CD : ダイナミクスや色彩の観点から、可能性を最大限に引き出すべきと考えていらっしゃるのでしょうか。
LB:そうです。あなたのソプラノサクソフォンで演奏されたセクエンツァで私が大いに驚いたのは、そのダイナミックレンジの広さと色彩感です。これは予想外だったと言わざるを得ません。素晴らしいプレゼントをいただきました。
CD:親切なコメント、ありがとうございます。
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