North American Saxophone Alliance(通称NASA)は、日本でいうところのサクソフォーン協会のような機関。そのNASAが出版しているCD「The Saxophone Craze(NASA-101)」を買ってみた。内容としては、サブタイトルに"Early Twentieth-Century North American Concert Saxophonists"とあるとおり、20世紀初頭のアメリカにおけるサクソフォンソリスト、サクソフォンアンサンブルの録音を復刻したものである。
量としては、Andy Jackson氏のThe Legendary Saxophonists Collectionに遠く及ばないが、様々なプレイヤーの演奏が、CD一枚にダイジェスト的に収められているため、アメリカのサクソフォン黎明期を簡易的に俯瞰するには、格好のメディアであると思う。取り上げられている奏者も、H.Benne Henton、Six Brown Brothers、Clyde Doerr、Rudy Wiedoeft他と、しっかりと主要どころを押さえてあるのが嬉しい。解説もしっかりしている。
プレイヤー: 演奏曲
Jean Moeremans: Old Folks at Home
Jean Moeremans: Carnival of Venice
H. Benne Henton: Lanette. Waltz Caprice
H. Benne Henton: Laverne. Waltz Caprice
American Saxophone Band: The Bullfrog and the Coon - Medley
Six Brown Brothers: That Morning Saxophone Rag
Six Brown Brothers: Smiles and Chuckels
Six Brown Brothers: Darktown Strutters Ball
Rudy Wiedoeft: Saxophobia
Rudy Wiedoeft: Valse Erica
Rudy Wiedoeft: Souvenir
Rudy Wiedoeft: Sax-o-Phun
Duane Sawyer: Al Fresco. Intermezzo
Wheeler Wadsworth: Fancy Little Nancy
Wheeler Wadsworth: Old Man Jazz
Yerkes Saxophone Sextette: Saxophobia
Clyde Doerr: Valse Hilda
Clyde Doerr: Thaïs. Meditation
Clyde Doerr's Saxophone Orchestra: Miami
Bennie Krueger: I'm Just a Lonesome Little Raindrop
Merle Johnston Quartet: Baby - Oh where can you be?
何気に、The Legendary Saxophonists Collectionには取り上げられていない奏者が入っているあたりが、なんとも面白い。Duane Sawyerとか、Yerkes Saxophone Sextetteなんていう名前は始めて聞いたし、Rudy Wiedoeftとの共演も多かったアルトサクソフォンの名手、Bennie Kruegerの演奏にスポットを当てているのも、興味深い。
演奏されている曲は、ヴィルトゥオーゾスタイルの前奏+変奏曲といったようなもの、そして、ややポップスのようなAメロとBメロがあって…というようなもの。のっけから、MoeremansやWiedoeftの圧倒的な名人芸にぶちのめされるかと思えば、かなりヤバいレベルの演奏も収録されているなど(タンギングが追いついてない、という記述が解説にも…)、ネタ的には事欠かなかったりする。日本では知られていない奏者であるが、Clyde Doerrの"喉がけヴィブラート"を伴った演奏、なかなか素敵だなあ。
ところで、私にとってはこの類のCDはサクソフォンに関する調査資料でもあるが、しかしそれ以上に耳当たりの良いメロディ特集なのである。資料に関しては、Legendary...のほうで十分。ノイズ処理も程よく、部屋でBGMとしてかけておくのが、実はなかなか楽しかったりするのだ。
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