ラッシャー・サクソフォン四重奏団の演奏動画がアップされていた。ミハエル・デンホフ Michael Denhoffの「Gegen-Sätze」という作品の演奏の様子で、1989年に撮影された長編映像の一部。アップロードしたのは作曲者自身のようだ。実はこの映像、The Legendary Saxophonists CollectionのDVD39にて全編を観ることができるため、私にとってはお馴染みのものだった。一作品とは言え、作曲者公認のもとでその映像がアップロードされたのは、大変喜ばしいことだ。
ラッシャーSQは、もともとシガード・ラッシャー自身も参加していたが、引退に伴ってアルトサクソフォンの席をジョン=エドワルド・ケリーに譲った。ということで、この映像のメンバーは、以下の通り。2008年現在では、このメンバーからさらに変わってしまっているが、テナーのワインベルガーは未だ現役で吹いている。
ソプラノ:カリーナ・ラッシャー Carina Rascher(シガード・ラッシャーの娘)
アルト:ジョン=エドワルド・ケリー John Edward Kelly
テナー:ブルース・ワインベルガー Bruce Weinberger
バリトン:リンダ・バングス Linda Bangs
演奏前にドイツ語のインタビューが入るが、こんな感じのことを言っている。legendary saxには、インタビューを英訳したテキストが付属してくるので、それを翻訳してみた。
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J.E.Kelly: ミハエル・デンホフは、大変才能に恵まれた作曲家の一人で、ドイツ在住です。彼のこの作品については、話さねばならないエピソードがあります。彼は、もともと私たちのためにこの作品を書いたというわけではないのです。彼はサクソフォン四重奏に対して概念のようなものを持っており、この概念を作品という形で書き下ろしました。作品が完成した後、そのことを友人のギュンター・バイアラス(彼はテナーのブルース・ワインベルガーを良く知っていた)に伝えると、「ミハエル、この作品は、ぜひラッシャー四重奏団に献呈すると良いだろう」と、ギュンターが答えたそうです。そこで彼は私たちにこの曲の楽譜を送り、私たちは直ちにリハーサルをして演奏会で取り上げました。演奏しながら、デンホフは大変才能のある作曲家であると感じます。献呈された1984年以降、何度も演奏しました。
Interviewer: この作品のテーマは「コントラスト」ということですが、なぜそう言われるのですか?
J.E.Kelly: まず、最初の部分と最後の部分はとても静かですが、中間部では複雑な音形が出てきますが、これが「コントラスト」の一つと言えるでしょう。さらに、中間部では、2本または3本のサクソフォンがリズムを刻む中、1本のサクソフォンが独奏的に長音を伸ばすような部分が出てきますが、これも動きの対比が面白い部分です。
・前半
・後半
例えば、アンブシュアや楽器、マウスピース、音色、演奏のスタイル、アルティシモ音域やらなんやら、"ラッシャー派の四重奏"に関して、映像から得られる情報は多い。貴重なムービーである。
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