1908年:クロード・ドビュッシー「ラプソディ」
何よりもまず、巨匠の筆によるものとして重要である。機能和声の壁をぶち破り、近代音楽への扉を開いたその先に位置する最も初期のサクソフォン作品。東洋的なモードに彩られた美しさ。
1970年:エディソン・デニゾフ「ソナタ」
現代音楽への最初のアプローチ。驚くほど多面的な要素が含まれている。方法論的作曲(第一楽章)、管楽器の奏法の拡張(第二楽章)、ジャズからの影響(第三楽章)。
…クラシック・サクソフォンのためのマイルストーン的作品。ドビュッシーとデニゾフくらいは、あっさりと出てくるだろうが、他に何が挙がるだろうか。
1934年:アレクサンドル・グラズノフ「コンチェルト」
マイルストーン、というと、その地点までの軌跡を総括し、さらに次に向かっていく、というような意味合いも含まれているが、その点ではちょっと性格が違うかな。新参者の楽器上における、ロマン派の復興。
1935年:ジャック・イベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」
この時代におけるサクソフォンの機能をほぼすべて使い切っている。デニゾフとロンデックスが奏法の拡張を行うまでは、レパートリーの頂点に君臨していた作品とも言えるだろう。2人の巨匠、マルセル・ミュールとシガード・ラッシャーが大きく関わっていたという点でも、外せない。
1978年:マリウス・コンスタン「コンチェルタンテ」
ギャップ国際サクソフォン・コンクールの課題曲。現在のフランス・サクソフォン界の方向性を決定付けたと言える。
1992年:クリスチャン・ロバ「エチュード」
1990年代の作品というと、無伴奏サクソフォンのために書かれたこのエチュードが筆頭に挙がるのではないか。誰もが知っているという点でもポイント高し。このような作品が、言ってしまえばフランスの片田舎に過ぎないボルドーから世界に発信されたことは、驚嘆に値する。
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うーん、どうも中途半端だなあ。ただし、ドビュッシー、イベール、デニゾフ以外にぱっとする作品があるかというとそうではなくて、やはり偉大な独奏者がサクソフォン界の頂点に君臨している間は、レパートリーの改革って進まないんだなあと再認識することができた。良くもあり、悪くもあります。
そういえば全く関係ないのだが、一番最初にサクソフォンとテープを組み合わせた作品て何なのだろうか。ぱっと目録をひいてみると、1969年にはすでにサクソフォンとテープのための作品がいくつか作曲されていたそうだ。聞いたこともない作曲家、作品名であるが…。
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Miles (Davis) Toneはジャズ界における Mile Stoneなんだ!というダジャレを思いついた。
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