木下直人さんと言えば、世界を代表するギャルド研究家・レコード収集家である。21世紀初頭に発売された伝説的なギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団関連の復刻盤(全20枚)は、木下さんの所蔵SP・LPなくしては実現し得なかったし、現在も様々なギャルド関連の音源の収集・復刻・整理に尽力されているとの事だ。その熱意の一端は、「忘れざるルシアン・テヴェ掲示板」の過去ログからも垣間見ることができる。
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昨年の末、突然木下さんよりこの記事がらみでメールを頂戴したのだ。驚いたの何のって、CDのジャケットでしか名前を拝見したことのない、あの木下直人さんですよ。そして、木下さんのご好意で、私が復刻状態について不満を書いた「Jean Marie Londeix - Portrait」のうち、ダルヴァンクール、デザンクロ、ロベール、ミヨー、マルコヴィッチが収録されたGolden Crest盤の復刻音源を、パリ五重奏団のCorelia盤(最近入手されたものとのこと)、ギャルド四重奏団のAFA盤とともに、送っていただいたのである。この場を借りて、感謝申し上げます。
ちなみに、復刻音源といっても、並みの復刻音源ではない。SPやLPは当時の最高の機器で再生すべきであるという木下さんのポリシーに基づき、完璧に整備された1960年代のオルトフォン社カートリッジ、トーレンス社ターンテーブル等を組み合わせたシステムによるもの…木下さんご自身が「後世に残すことのできる、ステレオ盤に関しては世界に例のない復刻」と太鼓判を押すほどのものである。しかも、今回のロンデックス、パリ五重奏団、ギャルド四重奏団のLP復刻は、そのシステムによる復刻の第一弾となったものであるとのこと…。そんな歴史的瞬間に立ち会うことができたということであり、恐縮しつつも大変に感激してしまった!
それでは、今回送っていただいた3枚を紹介しておこう。CD-Rとともにジャケットのカラーコピーまで一緒に送っていただいてしまった。嬉しい。
「Jean-Marie Londeix(Golden Crest RE-7066)」
Jean-Marie Londeix ジャン=マリー・ロンデックス(sax)
Anne-Marie SCHIELIN アンネ=マリー・シェリン(piano)
曲目:
C.Delvincourt - Croquembouches
A.Desenclos - Prelude, cadence et finale
L.Robert - Cadenza
D.Milhaud - Scaramouche
I.Markovitch - Complainte et danse
どこで手に入れたかは忘れてしまったのだが、この音盤が収録されたMDをかなり昔から持っており、(パチノイズがひどいものの)愛聴していた。以来、特にデザンクロとロベールに関しては、この演奏が自分の中でのスタンダードとなっている。それと比較すると、2007年にMD+Gレーベルより復刻・発売された「Portrait」に収録されている演奏は、不自然に音場が遠めでなぜか音割れがヒドイという、やや残念なものであり、繰り返し聴く気になれなかった。今回木下さんから頂戴したものは、さすがと言うか何と言うか、聴いていて怖くなるほどリアルに迫ってくる復刻。しばらくは、デザンクロ、ロベールは、録音に関してはこの演奏じゃないと聴けなくなりそう。
「Quintette de saxophones de Paris(Corelia)」
Andre Beun アンドレ・ブーン(sax)
Georges Porte ジョルジュ・ポルト(sax)
Bernaud Beaufreton ベルナール・ボーフルトン(sax)
Michel Trousselet ミシェル・トゥルーセル(sax)
Maurice Delabre モーリス・ドゥラブル(sax)
曲目:
J.M.Defaye - Dialogue(AATTB - SnSATB)
C.Terranova - Metamorphose(SATTB)
J.C.Naude - Sun, Sand, Sea, Sax(SATTB)
L.Robert - Flammes et fumees(SnSATB)
パリ・サクソフォン五重奏団のLP。mckenさんのサイトの記述によると、QuantumよりCD化もされていたようであるが、そちらは私は所有していない。珍しい五重奏のためのオリジナル作品が収録されており、なかなか聴き応えのある作品ばかり。技術的にはしっかりしている演奏だが、比較的リラックスしており、曲の楽しさと相まって、全編を楽しく聴くことができた。ロベールの「Flammes et fumees 炎と煙」を聴くことができるのは嬉しいなあ。
「Quautor de saxophones(AFA 20772)」
Michael Nouaux ミシェル・ヌオー(s.sax)
Andre Beun アンドレ・ブーン(a.sax)
Bernaud Beaufreton ベルナール・ボーフルトン(t.sax)
Maurice Delabre モーリス・ドゥラブル(b.sax)
曲目:
E.Bozza - Andante et scherzo
A.Desenclos - Quatuor
P.Sciortino - Danse paienne
M.Bagot - Quatuor
これ、私が初めて手に入れたクラシック・サックスのLPのAFA原盤だ。ボザ、デザンクロ、ショルティーノ「異教徒の踊り」等、往年のフランス・アカデミーの流れを汲む四重奏の傑作を、当時の演奏家たちのパフォーマンスで聴くことのできる貴重な一品。kuri_saxoのこちらでも紹介しているし、以前の日記でもこことかこことかここに、手に入れたときの興奮が書かれている。よっぽど嬉しかったんだろうなあ。所有するEMI国内盤に関しては、あーだこーだしながらMDに落とし、聴くことのできる状態にしてあるが、やはり上手くはいかないもので(苦笑)。今回木下さんに送っていただいたものとは、音質の点において比べるべくもない。思い入れが強いLPであるので、良いサウンドで聴くことができて、嬉しい。
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こんなに凄い復刻音源ならば、ぜひたくさんの人に聴いてほしい…!というわけで、私の個人的なお知り合いで、もし興味がある方は、メールかmixiのメッセージを下さい(木下さんからもお許しを得ています)。
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