ラッシャー派の流れをくむドイツの四重奏団、Tetraphonics Saxophonequartettの、おそらくファーストアルバムである「the invitation(Cybele Records SACD 261.001)」をご紹介。20世紀の終わりから21世紀の始まりにかけて、サクソフォン四重奏のために書かれたオリジナル作品を集めたもので、なかなか興味深い内容となっている。ちなみにこのCD(というかSACDだ、これ)、世界屈指のクラシック・サクソフォンファンの一人、mckenさんの好意で入手に至ったものであり、この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。さて、収録曲目は以下の通り。
Philip Glass - Concerto for Saxophone Quartet
Frank Reinshagen - The Invitation
Barbara Thompson - Saxophone Quartet No.2
Zdenek Lukas - Rondo per 4 sassofoni
J.S.Bach - Fuga No.20
何といってもフィリップ・グラスの「サクソフォーン四重奏のための協奏曲」が目を引くだろう。もともとはオーケストラとサクソフォーン四重奏のために書かれたものだが、ここでの演奏はChesterより出版されている四重奏単独でのバージョン(楽譜持っているなあ)。このバージョンの楽譜を使用しての演奏は、オーケストラとの共演版に比べて色彩感が乏しくなるのが常だが、昔の楽器を使用しているせいか、あちこちから音色のミス・ブレンドによる面白い響きが聴こえ、楽しい。というわけで、このバージョンの録音のなかでは、一番のお気に入りとなってしまった。
その他、バーバラ・トンプソンの「四重奏曲第2番」の演奏も、長大な楽曲を見事に吹ききっているなどレベルが高いが、やはり聴きものはタイトル曲にもなっている「the invitation」と、ボーナストラックとして収録されたバッハ「平均律クラーヴィア曲集第20番より"フーガ"」ではないだろうか?ラッシャー派のアンサンブルでは必ずと言って良いほど取り上げられるフラジオ連発のオリジナル曲と、バッハのアレンジメント。不思議なほどしっくりくる組み合わせだ。
しっかしあれだな。最近ラッシャーまわりの記録や録音をいろいろ調べているためか、このアルバムからも、そこかしこからラッシャーの遺した功績の大きさがひしひしと伝わってくるような気がする。功績の大きさ…というより、クラシック・サクソフォンのメインストリームから見放されたラッシャーの恨みのようなものさえ感じてしまう、今日このごろなのである。
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