
・Volker Heyn - Inzerzioni (1997)
・新実徳英 - 風韻I (1987)
・Francois Rosse - Cseallox (1994)
・Eckart Beinke - Sotto voce (2005)
・Gyorgy Kurtag Jr. - Rh@psodie.hu (2005)
サクソフォンとチェロのデュオは、密に寄り添ったユニゾンから相反するサウンドまで、それぞれの楽器の間の(サウンドとしての)距離感を自在に伸び縮みさせることができるという点で、大変魅力的な編成である。新実徳英氏の筆による「風韻I」の冒頭を聴いてみよう。チェロが、楔を打ち込むような音を三度鳴らしているところに、風のようなサクソフォンが極小状態でフェードイン。クレシェンドをするかと思えば、いつの間にか2つの楽器が一緒に歌っている…。中間部では、ブルース風のサクソフォンの蠢きに、コントラバスのようなパルスを絡めてゆくチェロ。次の瞬間にはまたユニゾンに…という風。サクソフォンとチェロのデュオが奏でる音のパレットは、サクソフォンとピアノのデュオにも匹敵するか、もしくはある側面においてはずっと優位にも聴こえる。
収録された作品の中では、「風韻I」と「Rh@psodie.hu」にひかれた。「風韻I」が持つ不安定な響きやテンポは、邦楽器…尺八や筝といったものを思い起こさせる。そういえば、サクソフォン作品で言えば棚田文則氏の「Mysterious Morning III」も、そういったものに題材を求めたのだっけ。この作品がすっと心にしみこんでくるのは、やっぱり私が日本人であるからなのだろう。派手な音響が出現する場所はなく、アピール度は小さいようにも思えるが、逆にこういう作品ももっと演奏されて良いのではないかなと思った。そうだなあ、コンサートホールではなくて、50人くらいが入るスペースで、間近に音を受けたらゾクゾクするだろうな。「Rh@psodie.hu」は、スラップ・タンギングの連続から始まる高速フレーズに、まるでアンコールのようなワクワク感を覚える。中間部ではチェロのフラジォレット音域にサクソフォンのブレスノイズが折り重なるなど、ユニークな音作り。最終部は、冒頭のイメージが回帰して幕となる。5分くらいの作品で、けっこう楽しい。
DoubleFazeの演奏は、技術的に問題を感じるところは全くなく、意図的に安定さ/不安定さを織り交ぜながらの進行が見事。音場が近く、デッドな録音だが、そのおかげでむしろサクソフォンとチェロの一騎打ち!といった様相がリアルに迫ってきて、不思議とリスニングに集中することができる。
サックスとチェロといえば、デニゾフの「アルトサクソフォンとチェロのためのデュオ・ソナタ」や、Libby Larsenの「Bid Call」という作品も、ちょっと興味がある。誰か録音してくれないかなあ。そのほか、ギュンター・ラファエルの「ディベルティメント」とか、ダナ・ウィルソンの「Sati(sax + cello + perc)」とか。
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