以前記事でも紹介した木下直人さんから、その後もいくつもの音源をお譲りいただいている。なかなか追いつかない(笑)のだが、ぼちぼち紹介していこうと思う。今回紹介するのは、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のサクソフォンセクションで結成された、パリ・サクソフォン五重奏団関連の音源。
Classic Saxと題され、Quantumから出版されていたディスクで、Vol.1からVol.3まである。内容は、バッハなどのトランスものから現代音楽までと多岐に渡り、サックス五重奏という珍しいフォーマットをじっくり堪能できるCD。
「Classic Sax Vol.1」
Andre Beun アンドレ・ブーン
Georges Porte ジョルジュ・ポルト
Bernaud Beaufreton ベルナール・ボーフルトン
Michel Trousselet ミシェル・トゥルーセル
Maurice Delabre モーリス・ドゥラブル
曲目:
A.Dvorak - Humoresque
J.S.Bach - Suite en B minor
A.Vivaldi - Concerto in C major
G.Gershwin - Summertime
L.Boccherrini - Adagio
J.S.Bach - Aria
R.Boutry - Improvisation
J.S.Bach - Allemande
五重奏とはいえ、微妙にソロなどが含まれており、びっくりする。アンサンブルはしっかりしているが、良い意味での体温の低さを感じ、「スタンダード」という言葉が脳裏に浮かんだ。収録時間が短めであるのだが、これはLPがオリジナルの音源なのだろうか。
「Classic Sax Vol.2 - Musique Francaise du XXeme siecle」
新録音メンバー:
Georges Porte ジョルジュ・ポルト
Jean-Pierre Baraglioli ジャン=ピエール・バラグリオリ
Marc Duchene マーク・ドゥシェーヌ
Philippe Chebrou フィリップ・シェブロー
Michel Trousselet ミシェル・トゥルーセル
旧録音メンバー:
Andre Beun アンドレ・ブーン
Georges Porte ジョルジュ・ポルト
Bernaud Beaufreton ベルナール・ボーフルトン
Michel Trousselet ミシェル・トゥルーセル
Maurice Delabre モーリス・ドゥラブル
曲目:
M.Nicolas - Tango baroque (SATTB)
J.Naulais - Atout Sax (SATTB)
J.M.Defaye - Dialogue(AATTB - SnSATB)
C.Terranova - Metamorphose(SATTB)
J.C.Naude - Sun, Sand, Sea, Sax(SATTB)
L.Robert - Flammes et fumees(SnSATB)
五重奏のためにかかれたオリジナル曲を集めたCDであり、前半が新録音。後半は以前木下さんより譲っていたLPの音源と重複している。とにかく良い曲がないと言われる五重奏ではあるが、このCDを聴いてしまうとそんなことは言えなくなってしまう。ジャズから影響を受けた音楽あり、ガチガチの現代音楽あり…しかし、管楽器を愛してきた国、フランスの作品だけあって、根底には同じものが感じられるような。演奏もアツい!
「Classic Sax Vol.3」
Georges Porte ジョルジュ・ポルト
Jean-Pierre Baraglioli ジャン=ピエール・バラグリオリ
Marc Duchene マーク・ドゥシェーヌ
Philippe Chebrou フィリップ・シェブロー
Michel Trousselet ミシェル・トゥルーセル
曲目:
A.Corelli - Concerto grosso No.8
J.S.Bach - Petit livre d'orgue
J.Savari - Quintetto
J.Massenet - Phedre (Ouverture)
J.S.Bach - Kleine fugue
J.S.Bach - Jesus, que ma joie demeure
再び、トランス物。サヴァリの作品はオリジナルだが、この作品を聴くことのできるCDもなかなか少ないため、貴重な音盤だ。驚くべきは、マスネの作品におけるクリスチャン・ヴィルトゥ Christian Wirth氏の参加(!)。もしかして、ヴィルトゥ氏の公式な録音としては初めてのものではないだろうか?DGのセクエンツァ集とどちらが早いのだろう。Vol.1と比較してみると、メンバーが変わっているせいかサウンドが変わっており、面白い。
…そして、1987年にギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団が来日した際の音源から。FMで放送された、2時間に及ぶ長大なNHK505スタジオ・ライヴの模様である。すごい!ちなみにこの来日時、神奈川県立音楽堂でも演奏会を行ったそうだ。
Andre Beun アンドレ・ブーン(S,A)
Georges Porte ジョルジュ・ポルト(Sn,S,A)
Bernaud Beaufreton ベルナール・ボーフルトン(T)
Michel Trousselet ミシェル・トゥルーセル(A,T)
Maurice Delabre モーリス・ドゥラブル(B)
曲目:
N.リムスキー・コルサコフ「くまんばちの飛行」
J.C.ノード「太陽、砂、海、サックス」
G.ガーシュウィン「サマータイム」
J.ノレ「サックスの切り札」
M.ストラル「五重奏のためのバラード」
J.S.バッハ「バディネリ」「アリア」「ラルゴ」
A.ヴィヴァルディ「協奏曲ハ長調」
R.ブートリー「即興曲」
L.ロベール「炎と煙」
J.M.デュファイ「対話」
~アンコール~
A.ドヴォルザーク「ユーモレスク」
CDと同じ曲がたくさん含まれており、聴き比べが楽しい。司会者、ゲストのお話を交えながら(五重奏という不思議な編成から、司会者とゲストがうろたえまくっているのがわかる笑)、ジャズ・トランス・オリジナルという3部構成にてパリ五重奏団が吹きまくる。こと、ブートリー、ロベール、デュファイを驚異的な集中力でもって連続して演奏する様子は、まさに圧巻である。即興的な解釈になったり、微妙に事故があったりするのも、ライヴ録音ならではで楽しいな。
NHK-FMということもあり、途中にニュースが挟まれるのだが、為替史上で円の史上最高値1ドル135円をつけた、と言っている。平均株価は2万2千円だとさ。時代を感じます。
4 件のコメント:
そのFM放送聴いてましたね。
サックスのサの字もやっていない頃ですが、なんだかサックスってすごいなと思っていた記憶があります。
> wind-fさん
おお、リアルタイムで聴いていらっしゃったのですか!凄いですね。この頃は、パリ五重奏団が最も充実した活動を展開していた時期と言えるのではないでしょうか。
このFM放送音源、私も木下さんにいただきました。
木下さんのご意向としては、私から興味のありそうな方にばら蒔いてほしかったのかもしれませんが、忙しさにかまけてそれが出来ず、ちょっと申し訳なく思っています。
CDは、Vol.1と2は所有しています。
Vol.1の姉妹品で、「Jazz Sax」ってのもあるんですよ。(中身はJazzというほどでもない)
神奈川県立音楽堂でのリサイタルは、同日に石橋メモリアルホールで池上政人さんのリサイタルがあり、悩んだ末そっちに行ったことを覚えています(自分のブログに書いたかもしれない)。
> Thunderさん
Quantumから出ていたCDは全部廃盤になってしまっているようで、私はパリ五重奏団を聴いたのは今回が初めてでした。しっかりした技術と、良い意味での体温の低さが印象的でした。「Jazz Sax」なんてのもあるのですね(内容がちょっと気になります)。
パリ五重奏団と池上政人氏のリサイタルのバッティングですか…時代を感じてしまいます。1984年というと、私はまだ生まれてもいないです(汗)。
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