2011/11/29

アントルモンが弾くジョリヴェ「ピアノ協奏曲」

今週木曜に迫った、ブルーオーロラSQ演奏会情報はこちら

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いやはや、グレート!である。フィリップ・アントルモンが弾くアンドレ・ジョリヴェの「ピアノ協奏曲(通称"赤道コンチェルト")」。LP時代に発売され、CD時代に移行してからはずっと入手不可能だった録音なのだが、どういうわけかこのとおり復刻されてしまった。何があったか知らないが、大変に歓迎すべき事態である。超おすすめ。Amazonなどでも容易に入手可能(→ジョリヴェ:赤道コンチェルト)。

「ジョリヴェ:赤道コンチェルト(Sony Music Japan SICC 1522)」。併録はミヨー「ピアノ協奏曲」と「世界の創造」。すべての作品でフィリップ・アントルモンがピアノを演奏。ちなみに「世界の創造」は、なんとピアノ五重奏版(pf, vn1, vn2, va, vc)での演奏である。

これまでジョリヴェの「ピアノ協奏曲」を聴こうとすれば、入手できた盤はリュセット・デカーヴが弾いたストラスブール放送交響楽団との共演盤くらいだったが、純粋な聴後感としてもいまいち不満があった。アントルモンの盤は、この曲に必要な最高のパワーでの録音ではないだろうか。昔から決定盤とされていたが、確かに聴けばわかる。世の中にピアノ協奏曲は数あれど、これだけパワーのある作品・演奏といえば、この他にはサンソン・フランソワが弾いたラヴェル「ピアノ協奏曲」と、フセイン・セルメが弾いたフローラン・シュミット「協奏曲交響曲」くらいしか思いつかない。

サクソフォン的興味としても面白い。こちらのページでDonaxさんが解説しているが、おそらく演奏しているのはダニエル・デファイエである。時にはピアノとのユニゾンで、大きな存在感を放ちながら見事な演奏を繰り広げている。ジョリヴェの「トランペット協奏曲第2番」のErato録音でのデファイエの演奏を思い起こさせる。

2011/11/28

再掲:BASQ演奏会情報

CD発売以降、なにかと話題のBASQ(バスク)ことブルーオーロラ・サクソフォン・カルテットの演奏会が近づいてきた。

さっそくCDを手に入れた人が口々に「これはすごい!」と言っているのをFacebook上でみかける。どこで見たかは忘れたが、あの超名演と言われるハバネラ四重奏団のグラズノフ「四重奏曲」のライヴ録音に匹敵する、という評まで。まじっすか。例えば、これはmckenさんのCD評。

ライヴで聴くのが、ますます楽しみだ!

ちなみに私は、チケットは購入したものの、仕事がふたたび繁忙期に突入してしまい当日の仕事の状況次第。なんとか伺えると良いのだが。

【ブルーオーロラ サクソフォン・カルテットCDリリース記念コンサート】
出演:ブルーオーロラ サクソフォン・カルテット
日時:2011年12月1日(木曜)19:00開演
会場:浜離宮朝日ホール
料金:一般5000円、学生3000円(当日各500円増)
プログラム:
J.S.バッハ - コラール・プレリュード
P.I.チャイコフスキー - 「四季」より10月
M.ラヴェル - 「クープランの墓」よりプレリュード
A.K.グラズノフ - サクソフォン四重奏団
詳細:
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2011/12/event897.html

上野耕路「四重奏曲」の楽譜

終業後、江古田の日本大学芸術学部キャンパスへ。上野耕路氏から「サクソフォン四重奏曲」の楽譜をお借りしてきた。これまでもブログで何度か取り上げたことはあったが、まさに知る人ぞ知る名曲。「N.R.の肖像」の認知度を10としたら、こちらは3か2くらいかもしれない。

かつてシナジー幾何学というレーベルから、この曲と「N.R.の肖像」と「コノテイションズ」という3作品が収録されたCD「Chamber Music」が出ていたのだが、レーベル倒産により廃盤となってしまったのだ。3作品のどれも傑作、かつ演奏も気合いの入ったもので、廃盤になるには惜しいCDであった。「N.R.の肖像」がアルモSQのアルバム「革命児(マイスター・ミュージック)」のアルバムにも収録されていたのに対して、「サクソフォン四重奏曲」は「Chamber Music」にしか収録されておらず、いまやマトモに聴くことができなくなってしまっている。

CDが手に入らないなら演奏するしかないじゃないか(?)ということで上野氏に連絡を取ったところ、楽譜借用をご快諾いただいた。伺った際にいろいろとお話を聞いてきた。第1楽章の冒頭など、アカデミックかつモーダルな響きがするので、そういう方向性で作曲したのかと思ったら、実はそうではないようで。システマティック…どころか、Basicで2つの曲線とサックスの音域をプログラミングして引き出した音運びだそうな。へえええ。そのほか、興味深い話がいっぱいだった。

どこかで取り上げたいと思っている。いくつか候補はあるのだが、さて…。また、「N.R.の肖像」についても、ちょっと違った編成での演奏をすることができるかもしれない。委細後日。

2011/11/27

いろいろ事務作業だったり、練習だったり

いま、なぜか無性にラーメンが食べたくなった!

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今日はあちらこちらへ移動。まず、朝一番の高速バスに乗って長野の実家から東京へと戻り、いろいろとTsukubaSQ関連の事務作業。その後、埼玉県のプラザウエストでTsukubaSQ練習。練習後、アマリリス合奏団の演奏会にも行きたかったが、我慢して自宅に戻り、またまた事務作業。

毎週末の練習と、いくつかの本番、そして各種申込が迫っているため、ドタバタ。ああ、サクソフォン交流会についても少しずつ話しが進んでおり、そちらの作業も進めなければ。

2011/11/26

佐藤渉 Saxophone Recital

「佐藤渉 Saxophone Recital(Cafua CACG-0175)」

C.ケックラン「練習曲 2, 5, 9」
N.シェドヴィル「"忠実な羊飼い"からソナタ第6番」
J.ウィリアムズ「エスカペイズ」
R.ムツィンスキー「ソナタ」
P.M.デュボワ「協奏曲」

雲井雅人サックス四重奏団のメンバーとしてもおなじみの佐藤渉さんの、ファーストアルバム。独奏としてのCD収録は、実はこれが初めてというわけではない。アメリカ時代にシンシナティ交響楽団と吹き込んだGerhard Samuel「Remembering Orpheus」(未聴)でのクレジットというものがあるが、これはそんなに日本では有名ではないだろう。

佐藤さんの演奏は、これまでも様々に聴く機会があったが、特に印象深いのはマスランカ「レシテーション・ブック」のレッスンを受けたときのことである。これが普段聴いているアルトサックス、圧倒的な鳴りと豊かな響きに驚いたものだ。呼吸法とアンブシュアによる鳴りのコツを教えてもらったのだが、なるほど、最近のフレンチ・スタイルとは一線を画すコンセプトに、私たちが雲井雅人サックス四重奏団の演奏で「マウンテン・ロード」や「レシテーション・ブック」を聴いたときの、感動の秘密を見たような気がした。

ソロ・リサイタルは都合が合わず伺えなかったので、ソロCD発売はずっと楽しみにしていた。選曲も気合いの入ったもので、ぜひ多くの人に聴いてもらいたいものだ。ちなみに、超個人的な感覚では、ウィリアムズとムツィンスキーというアメリカン・サクソフォンを代表する2曲が収録されているのが嬉しかったりする。

ケックラン作品から、その美しい音色と豊かなフレージングを堪能することができる。ケックランの第2楽章とは、また憎いところを持ってきたなあ。思いつきはしても、ケックランの緩徐楽章を冒頭に配置するなど、なかなかできる芸当ではない。(フランス産とはいえ)古典的な様式美を持つケックラン、続けてバロック風のシェドヴィルという、奏者の音楽性が裸にされる作品を並べるとは…。

ウィリアムズ(そう、あのジョン・ウィリアムズ)の「エスカペイズ」は、前の2曲に比べればかなり強烈な印象を残す。ウィリアムズらしいネオ・クラシックの雰囲気に乗せて、サクソフォンが目まぐるしく駆け回る。こういう曲をクラシックとポップスの絶妙なバランスでさばいてしまうのが、佐藤さんの魅力である。この曲がついに日本でも知られるところになった、というのも、嬉しいポイントだ(国内発売のCDに組み込まれる、というのは、ある作品にとっては大きな事件である)。

ムツィンスキーも名演と呼ぶにふさわしい。好きな曲であるので、なおのこと気になってしまうのだが…。特に第2楽章はスピード先行型かと思いきや、ゴツゴツしたリズムを丁寧に掴んで演奏しており、よい意味で裏切られた気分だ。最近はいろんなプレイヤーがムツィンスキーを吹き込んでいるが、その中でもトップクラスの演奏ではないだろうか。雲井雅人氏が指揮を振ったデュボワも、おそらく相当な準備の上に臨んだのだろう、あのルソーの演奏を思い起こさせるものであった。

ひとつだけ不満点を書いておこう。ライヴで佐藤さんの演奏を聴いたときに感じられる、あの強烈な響きが、CDからは感じ取れない。これは、演奏・録音云々の問題ということではなく、CDというメディアの限界なのかもしれない。というわけで、気になる方はCDを購入しつつ直接聴ける機会を心待ちにしましょう。

雲井さん、林田さん、佐藤さんと来れば、次は西尾さんのCDを期待してしまいますな(笑)

音楽を聴く環境

金曜の夜から、長野の実家に戻ってきています。明日の朝には東京に戻る予定…。

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自分のアパートの部屋では、ずっと前に買った30000円くらいのONKYOのミニコンポーネントシステムを使っている。ふつうに音を聴くぶんには構わないのだが、いつかはもう少し良いものを、ということを考えている。なにせ、良いものを聴いてしまうとその魅力には抗えない。いまだに、何年か前に木下直人さんのところで聴いたタンノイのオートグラフの音・定位感が耳に残っている。少しずつ買い揃えることになると思うのだが(オートグラフではないですよ)、10年くらいかければそれなりのものが揃うかもしれない。もしくは実家にある古いスピーカー、コンポを復活させられないだろうか、とも考えている。

電車やバスでの移動中は、だいたい携帯音楽プレイヤー(iriver Clix2という何年も前の機種)を使っていろいろな音楽を聴いている。クラシックサクソフォンに加えて、ラテンジャズやらプログレッシブロックやらが雑多に入っている。たまーにマルセル・ミュール氏やダニエル・デファイエ氏の演奏を携帯音楽プレイヤーに入れることもあるのだが、やはり気軽に聴けるものではないですね(笑)。こういうのはやはりきちんと聴かないと、バチが当たりそうだ。

2011/11/24

プロフィールを更新

毎年この時期恒例の、本家サイトのプロフィール更新を実施した。研究活動関連、演奏活動関連の記述を、数ヶ所修正。そういえば、最近はプログラムノートの執筆もあまりやっていないなあ…なんかネタがあったらやるので連絡ください。

いまや更新の大部分はブログに集約されており、本家サイトの存在意義がどんどんと無くなっていってしまうような感じなのだが(苦笑)、ジオシティーズが存在する限りは定期的にメンテしていこうと思っている。

2011/11/23

To "B" Continued...

テキスト入力目的で、QWERTYキーボード付きの端末がずっとほしかったところ、LifeTouch NOTEがずいぶんと安くなっていたので購入。最初ATOKの流儀に苦労したが慣れればガンガン入力できる。Jota Text Editorとの相性もすばらしく、持ち歩いて文字を打ち込む機会が増えそうだ。

下の文章は、LifeTouch Noteを使って書いた後、GmailでPCに飛ばして少々加工したもの。

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R.プラネル「バーレスク」
A.デザンクロ「四重奏曲」
J.マティシア「チャイニーズ・ラグ」
高橋宏樹「アルルのサックス展覧会」
J.S.バッハ「G線上のアリア」
石川亮太「日本の四季によるミニアチュアシンフォニー」
高橋宏樹「トゥー"ベー"コンティニュード」

おなじみQuatuor Bのアルバム、ようやく聴くことができた。ここ3年ほどで新生のカルテットはどんどんと出てきているが、それぞれ個性的な活動を展開しており(ありきたりな活動や、他の真似事をするような四重奏団はほとんどない)、聴く方にとっても楽しみが増えたなあと思っている。昔みたいに圧倒的にこの団体かこの団体ということはなく、それぞれが肩を並べながらオリジナリティを競っているようなイメージだ。

Quatuor Bについては、すでに多くの方がご存じの通り。各種リサイタル、CD録音、地域活性化事業、サキソフォックスのお友達…それぞれが独奏者として十分な技術と音楽性を持っているメンバーであり、かつエンターテイメント性にも優れた団体であると思う。デビューアルバムは、スタンダードから新作までをバランスよく集めた選曲となった。

プラネルの「バーレスク」とデザンクロの「四重奏曲」は、まっとうなプログラムにまっとうな演奏と、逆にちょっと物足りない位なのだが、堂々たるものである。10年ちょっと前であると、その曲を演奏をしたくなくなるような変な演奏も氾濫していたものだが、確実にサクソフォンの技術の底上げは継続しているのだなあという印象を受けた。おそらく、地方公演の際にロビーで売られるのはこのCDなのだろう。とある中高生にとっては、この演奏を通してデザンクロの存在を知るということだ…なんだか嬉しくもある。ただし、第3楽章最後のアーティキュレーションについては、ちょっと釘を刺しておきたい。

マティシアという、ちょっとひねくれた選曲もGood(まあ、クリスチャン・ロバですから)。遊び心いっぱいで、間合いの取り方など日本人が聴いてドンピシャの部分を突いていると思う。「アルルのサックス展覧会」は、これはサクソフォンの名曲をコラージュしたものであるが、楽譜も同時出版されているとのことで人気がでそうだなあ。おなじみの高橋宏樹氏による珠玉のアレンジ。

箸休めの「G線上のアリア」を聴いた後は、日本の四季をテーマにした組曲。石川亮太という素晴らしいアレンジャーのサポートの元、縦横無尽に駆けめぐる。サクソフォンのために書かれた日本の四季メドレーといえば、野村秀樹氏のものが有名であるが、全部入り&アタッカの野村氏編と比べると、厳選かつ抜粋可能という対比が面白い(素材は同じなんですが)。これも流行りそう。

最後に置かれたアンコール作品は、ポップス&ジャズスタイルの小品。セカンドアルバムでの、さらなる飛躍を期待させるものである。

Amazonでの購入リンクは、こちら(→To B Continued)。

クラシック・サクソフォンの源流を辿ると…(続きの続き)

ミュール派とラッシャー派の統合に成功した初めてのサクソフォン奏者は、クロード・ドゥラングル教授なのかもしれない。Garage SのSさんからの示唆をベースにした考え方なのだが、ドゥラングル教授が何を考えて、あのような緻密なコントロールを前提とした目指しているのかといわれれば、そのひとつの理由として、サクソフォンのクラシック楽器としての地位向上を目指している、という理由があるのだという。

例えば、ミュールを始祖とするフレンチ・スクールのスタイルで、ジャック・イベールの「コンチェルティーノ」を吹けば、たちまち見事な演奏になってしまうだろう。しかし、同じスタイルでアントン・ヴェーベルンの「四重奏曲」を吹くことができるだろうか…いや、そんなはずがない。完成されたクラシックの演奏として求められているのは、隅々までよくコントロールされた音色・音量・音程感・フレージング、etcなのである。

ドゥラングル教授は、自身の協奏曲集に吹き込んだイベール「コンチェルティーノ」の演奏で、第2楽章を全て元の楽譜の通りにアルティシモ音域で演奏していた。その理由も、クラシック・サクソフォン流派の統合といった次元の話で考えれば納得がいく。レパートリーに関しても、初期のドゥラングル教授はずいぶんと現代よりの作品ばかりを取り上げていたイメージがあったが、BISレーベルの型番が進むにつれ、アドルフ・サックスの時代の作品~エリザ・ホール周辺の作品~フランスの近代作品~現代作品等々、サクソフォンが存在していた時代のあらかたの音楽はカヴァーしてしまったように思える。

その試みは成功していると言えるだろう。ただ、ミュール派に感じられるサクソフォンの「趣味の良さ」が失われてしまった、と評する向きもあり、次世代のサクソフォンは、楽曲に応じて表現や音色をカメレオンのように変えられるような、そんなことが求められているのだろうか。

2011/11/21

Ma meets Madeleine Isaksson

フィリップ・アントルモンが独奏を弾いたジョリヴェの「ピアノ協奏曲」初めて聴いた!感動!

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21世紀に入ってリリースされた最高の室内楽のCDは、Ma Ensembleの「Ma(Nytorp 0001)」だと思っている。そのMa Ensembleだが、このNytorp以外の録音を知らなかったのだが、Phono SueciaレーベルにMadeleine Isakssonの作品を吹き込んだCDを見つけた。

「Madeleine Isaksson - Failles(Phono Suecia PSCD 134)」というアルバムで、一枚まるまるMadeleine Isakssonの作品集となっている。Madeleine Isakssonは、1956年ウェーデン生まれ、ストックホルムの王立音楽院出身の女流作曲家である。ブライアン・ファーニホウ、ヤニス・クセナキス、モートン・フェルドマンといった作曲家たちに影響を受けながら、独自の活動を展開したそうだ。彼女がMa Ensembleに曲を提供した経緯についてはよく判らなかったのだが、ともかくMa Ensembleの演奏を聴けるというだけで盲目的になってしまう。

一曲取り上げるならば、やはりサクソフォン(もちろん、クリステル・ヨンソン Christer Johnssonだ!)が参加した「Inné」であろう。いくつもの音の彩が複雑に絡みあって、まるで植物の成長するさまを音で表現したかのようだ。ストラヴィンスキーの「春の祭典」の第1楽章の冒頭を思い出した。アルバムとしての完成度は、さすがにNytorpのそれには及ばないものの、高水準の演奏であることに間違いはない。Amazonなどからも買えるので、興味ある方はどうぞ(→Madeleine Isaksson - Failles

2011/11/20

John Harle plays Schulhoff on YouTube

最近、ジョン・ハールってどんな演奏活動をしているのかなと気になっているのだが、まだまだ演奏活動は現役のようで。Erwin Schulhoffの名曲「Hot Sonata」を全楽章吹いている動画を見つけた。この曲、もともとはサクソフォン&ピアノのデュオの作品だが、なんとRichard Rodney Bennettによるウィンド・アンサンブル用編曲!編曲の妙を楽しむのも、また一興であろう。

ジョン・ハールは、現役のサクソフォン奏者のなかではドゥラングル教授と並んで大好きな演奏家である。CDのジャケットなどで見られる写真と比べれば、年を重ねたなあ、という印象。さすがにちょっと求心力のようなものは薄まってしまっているような気もするが、第4楽章の最終部に向けてのパフォーマンスなど、世界中でもハールしかできないような演奏だ。

第1楽章


第2楽章


第3楽章


第4楽章

2011/11/19

パイパーズにラッシャーの記事を書いた

管楽器専門誌としておなじみのパイパーズに、シガード・ラッシャーの記事を7ページぶん載せてもらった。パイパーズの方から9月頃にシガード・ラッシャーに関連した記事を載せたいとの連絡があり、私も常々パイパーズには記事投稿を行いたいと考えていたため、渡りに船ということで二つ返事で引き受けたのだ。

数年前にサクソフォーン協会誌"SAXOPHONIST"に投稿した記事をブラッシュアップし、さらに30%ほどラッシャー四重奏団や、ラッシャーの演奏に関する(主観的な)考えの部分を書きおろして追加し、メール等で打ち合わせを重ねながら最終版にこぎつけた。私は文章といくつかのポートレイトを提供しただけなのだが、担当の方によるレイアウトの素敵さは特筆に値するもので、ゲラ刷りが上がってきたときは本当に感動した。担当のS様には、この場を借りて改めて御礼申し上げる次第。

2011年12月号、11月20日発売(明日!)である。詳細はこちらから。

本日執筆者用の配布冊子が届いたのだが、他にも面白い記事がたくさん。お恥ずかしいことに、実は今までマトモにパイパーズを買って読んだことがなかったのだが、いつもはサクソフォンだけ追っかけているため、他の楽器の記事など新鮮な気持ちで読むことができる。アドルフ・ハーセス(シカゴ響の黄金時代を支えた伝説的トランペット奏者)と演奏活動をともにしたティモシー・ケントの連載など、痛快そのものだ。

ラッシャーのことについて日本語で書かれた文章は、これまであまりなかったはず。サクソフォーン協会誌にラッシャーの記事を書いたときには、商業誌ではないゆえ限られた範囲にしか読んでもらえなかったのが残念だった。その点パイパーズは大きな書店か大概の楽器屋なら日本全国どこでも手に入るからなあ。

というわけで、ぜひよろしくお願いします。感想などいただけると幸いです。

クラシック・サクソフォンの源流を辿ると…(続き)

前回の記事にて、伝統的なフレンチ・スクールのクラシック・サクソフォンを特徴付ける要素…甘美な音色、演奏会場中を満たす大音量、ヴィブラート、弦楽器をお手本としたフレージング…のルーツはポップス音楽、すなわち、世界の大多数でクラシック・サクソフォンと思われている演奏スタイルのルーツはポップス音楽にある、と結論づけてしまった。

少なくとも、サクソフォンの発明者であるアドルフ・サックスが意図した方向性とはまったく逆の流れである。シガード・ラッシャーの流派は、こんにちどちらかと言えば亜流と捉えられているが、ラッシャー派のほうがよほど"クラシック"なのかもしれない(アドルフ・サックスは、まさか自分が発明した楽器のメインストリームが、このような方向に進むとは夢にも思っていなかったことだろう)。

数あるコンサートやコンクールやレコーディングが"ポップスがルーツ"の演奏スタイルを軸に評価されていると考えると、ある意味不思議と言うか、ちょっと怖いものがある。いや、サクソフォンの中で閉じていれば全く問題はないと思うのだが、他の楽器からの視線などを考え始めてしまうと、ちょっといたたまれないものすら感じる。サクソフォンがオーケストラに入れなかった理由も、クラシック音楽でなかなか使われなかった理由も、実はそのあたりにあるのではないか。

サクソフォンを取り巻く諸々の事情が、"クラシック・サクソフォンのルーツはポップスである"という考えのもとに成り立っていると考えていけば、これまで説明をつけられなかった様々なことに明確な理由を与えられるかもしれない。今後は、フレンチ・スクールのサクソフォンを考えるときに、そういった切り口も組み入れたい。

2011/11/17

クラシック・サクソフォンの源流を辿ると…

先日、某管楽器専門誌の方と話している中で、話題に出て気付かされたことを書き留めておきたい。

言うまでもなく、現在のクラシック・サクソフォンの元祖として認知されているのは、マルセル・ミュールの演奏である。ミュールが開拓し、ダニエル・デファイエが継承たこのスタイルだが、少なくとも1990年ころまではクラシック・サクソフォンの標準であったと言えるだろう。その後も、例えば日本国内のサクソフォンは、ミュールやデファイエのスタイルこそが王道だという根深い考えのもとに発展を遂げているし、フランスにだってその考えは残っている(先日、ファブリス・モレティ氏がらいにちしたばかり)。

ともかく、世界中のサクソフォニストほぼすべての共通認識として「マルセル・ミュール=クラシック・サクソフォンの元祖」という考えがあることは間違い無いだろう。

それでは、ミュールはどうやってクラシック・サクソフォンと呼ばれるジャンルを確立したのか。ミュールの演奏も最も強く特徴付けているのは、ヴィブラート、弦楽器をお手本としたフレージング、甘美な音色、演奏会場中に響き渡る大音量、といった要素である。では、ミュールはそれをどこから取り入れたのか。ミュールの初期の経歴を読んでみると"ダンスバンドでの仕事をしていた…"というような記述を見つけられるとおり、ポピュラー音楽からそれらの特徴を仕入れてきたのだ。

つまり、極端なことを言えば、クラシック・サクソフォンのルーツはポピュラー音楽である、と言ってしまえるのだ。

続く(かも)。

2011/11/16

作曲家の個展、という妄想

「作曲家の個展」というテーマでいくつかサクソフォン四重奏の演奏会を開いてみたい、という構想(というか妄想)がある。ひとつの作曲家をテーマにした演奏会、というのはちょっとした夢であるが、どんなことができるのか考えてみた。

ざっと思いつくのは、J.S.バッハ、JacobTV、上野耕路だろうか。

バッハは、栃尾克樹氏編曲の「イタリア協奏曲」、伊藤康英先生編曲の「シャコンヌ」、成本理香氏編曲「パルティータ第4番」という名アレンジが連なっており、楽譜探しには苦労しなさそうだ。ただしバッハはバッハであり、お客様に変化に富んだラインナップをみせたければ、すこし変化球のアレンジを加えるなどすればなんとかなりそう。

JacobTVに関しては、これはもう大石将紀さんがやってしまったが、例えば「Heartbreakers」とか、「TATATATATA」など、いくつか取り上げられていないネタもある。また、継続的にJacobTVの音楽を広めていくためには、再びこのコンセプトで演奏会を開くことも重要だろう。

上野耕路氏がサクソフォンのために書いた作品といえば、「サクソフォン四重奏曲」と「N.R.の肖像」あたりが有名だろうが、たとえばここに「コノテーションズ」とかその他の作品の編曲を混ぜたら「サクソフォン×上野耕路」というテーマでひとつの演奏会が開けそうだ。夢のまた夢だが、もし何か作品を委嘱…ということになれば、上野耕路氏にお願いしたい、などとも考えて(妄想して)いる。

んー、夢が広がるなあ。全部実現できることになるのは、何年後、何十年後だろうか。

2011/11/14

Quatuor Versaillesが演奏するグラプレ

先日のMichel Meriotの四重奏団の記事に呼応して、SaxofanのまさのびさんからQuatuor de Saxophone de Versaillesが演奏するジャン・リヴィエ「グラーヴェとプレスト」を聴かせてもらった。Meriotの四重奏団の演奏を初めて聴いたときは、まるで「グラプレREMIX(とは、宮崎真一さんのコメント)」とも表現できるような原曲無視っぷりに驚いたものだが、まさかそれと同じ演奏が他に存在するとは知らなかった。

Quatuor de Saxophone de Versaillesは、フランスのサクソフォン四重奏団。件のグラプレが収録されたアルバム「Pourquoi Pas?」録音当時は、mckenさんのサイト情報によると下記のようなメンバーで活動していたようだ。

Claude KELOGLANIAN, Soprano
Xavier RASSELLE, Alto
Michel OBERLI, Tenor
Dany AUBERT, Baritone

一時期は、Xavier Rosselle(ソプラノ)、Claude Brunel(アルト)というメンバー構成となったこともある。ちなみにその時の録音は、作曲家Demis Visvikisのサイトなどで聴くことができる。Claude Brunelは、ダニエル・グレメル Daniel Gremelleとのデュオ活動でも有名だ。

「グラーヴェとプレスト」がMichel Meriotの四重奏団と同じように演奏されていたということは、どこかに楽譜が存在するのではないか。出版されているとは考えにくいので、Meriotがプライヴェートに作ったか、作ってもらったかして録音し、その後受け継がれていった…といったところだろうか。それとも、Quatuor de Saxophone de VersaillesがMeriotの四重奏団の録音を聴いて、採譜したのだろうか。

さらに驚いたのはQuatuor de Saxophone de Versaillesの演奏スタイル。ほぼノン・ヴィブラートを貫いており、音色も軽量、まるで現代の四重奏団の演奏そのもので、1991年の録音だということが信じられない。現代の四重奏団の演奏だといって聴かされても信じてしまうかもしれない。驚きが驚きを呼んできた、という感じだ。

2011/11/13

午前~午後練習

12月のプラザノースでの本番(管楽アンサンブル)と、TsukubaSQでの四重奏の練習。それにしても、夕方のプラザウエスト~浦和駅は時間がかかるなー。京浜東北線沿線の遅延にも巻き込まれ、まさか練習場所から自宅に帰り着くまで、2時間半もかかってしまった(^^;プチ旅行気分。

四重奏のほうは、しばらく「N.R.の肖像」の第3楽章を練習していくこととした。また、フィル・ウッズの「3つの即興曲」も少し音出ししてみたのだが、こちらも良くできている曲だなあと感じ入った。

プラザウエストからバスに乗って帰る途中で、Ustreamをつないでみたところ、ちょうどサクソフォニー・フェスティバル沖縄のステージが佳境となっていた。サックス100人の演奏に乗せてホール全体が踊るカチャーシー…これはその場で体感したら、さぞかし凄かっただろうなあ。しかし、リアルタイムで演奏を観ることができるなんて、良い時代になったものだ。

東京文化会館アーカイブ

先の記事のコメント欄にて、おなじみThunderさんからオーケストラのことや指揮者のことなど様々な情報をいただいた。

その際リファレンスとなっていたのが、東京文化会館のアーカイブ。私は今まで存在を知らなかったのだが、これが面白いのなんのって。なんと、開館(1961年)から現在までの、すべての演奏会情報を調べることができるのだ。プログラム冊子の表紙のデータもあり、興味深い。

http://i.t-bunka.jp/

当たり前のように、「サクソフォン」「サクソフォーン」「サキソフォン」「サキソホン」などと調べてみるのだが、とにかく圧巻である。東京文化会館は、都内の数あるリサイタル・ホールの中でもある意味特別な位置を占める、そんなイメージがある。平たく言うと「デビュー・リサイタルはここ!」という感じ。少なくともサクソフォンに関して言えば、重要なリサイタルの多くが東京文化会館で開かれていると思っている。

例えば、最初に東京文化会館にサクソフォンが登場したのは、おそらくこの演奏会が最初であろう。なんと、石渡悠史氏が参加した修了演奏会だ。

例えばこれ。キャトル・ロゾーの最初期のリサイタル@東京文化会館の記録。この頃はまだキャトル・ローゾとなっていた時代であり、冨岡和男氏の名前も川俣和男となっている。それにしても、ゲストが超豪華だな…。

1975年のダニエル・デファイエ来日公演。そうそう、後半は打楽器との共演だったのだ。録音も聴いたことがある。

トルヴェール・クヮルテットのファーストリサイタルだって、記録が残っている。メンデルスゾーン、デザンクロ、ウッズ…いかにもこの時代のトルヴェール、という感じ。

時代は飛ぶが、第20回記念となったサクソフォーン・フェスティバルのプログラムとか。なかなか面白い。

とまあ、全部書いていくときりがないのだが、他にも、例えば田中靖人氏のファーストリサイタルがとてもシリアスな曲目だったり、平野公崇氏のリサイタルがすごく普通の曲目だったり(写真の若さにも注目)、アポロ四重奏団が来日してリサイタルを開いたり、さらには自分が聴きに行ったリサイタルの記録をたどってみたりと、見所が多い。みなさんもぜひ、検索して遊んでみることをおすすめする。

2011/11/11

彦坂眞一郎 plays Tomasi "Concerto" on YouTube

トルヴェール・クヮルテット等の活動で有名な、彦坂眞一郎氏の演奏動画をYouTube上で発見した。1986年…ということだから、彦坂氏が東京藝術大学を卒業した年だろうか、その頃のアンリ・トマジ「協奏曲」の演奏である。なんでこんな演奏が突然YouTubeにアップロードされていたのか、知る由もないが、貴重な記録である。

彦坂氏のソロは、実に真っ当かつ安定したもので、曲のパワーを存分に引き出すことに成功している。カデンツァや第2楽章では大胆な部分も散見され、ツボを押さえた、名演と呼ぶにふさわしいものだ。会場は東京文化会館とのことだが、指揮者・オーケストラの情報は無し…(ご存知の方がいたら教えてください)。トマジは、力量の低いオーケストラがやると強奏部で爆発気味になってしまうものだが(ドゥラングル&シンガポール交響楽団とか、ロンデックス国際第1回でのタイ交響楽団とか)、このオーケストラはずいぶんと落ち着いた演奏だ。高速部での、指揮者のまとめ方も素晴らしい。

・第1楽章


・第2楽章

2011/11/10

A.Tchaikovsky "Concerto for Saxophone Quartet" on YouTube

残念ながらPyotr Il'yich Tchaikovskyではなく、Alexander Tchaikovskyである。紛らわしいなあ。まあ、有名な作曲家と同じファミリーネームを持つ人物が作曲家となったところで、別段珍しいこともない。1946年、モスクワ生まれの作曲家であり、モスクワ音楽院で作曲を学び、現在同音楽院で教鞭をとっているそうだ。

それほど聴きこんではいないが、面白い作品であることは間違いない。パーカッションやピアノも使いながら、豪華なサウンドに仕上がっている。本作品の成立についてはきちんとした情報を見つけられなかったが、何度か再演されているようだ。そのうち、日本でも演奏される機会があるのではないだろうか。

この演奏におけるメンバーと使用楽器が、下記のように記述されていた。ソプラノサックス(途中アルトサックス持ち替え)を吹いているアレクセイ・ヴォルコフは、カプースチンとエシュパイのサクソフォン協奏曲集で独奏を担当していたプレイヤーとして名前を知っていた。他のプレイヤーについては、特に情報を見つけられなかった。

Alexei Volkov - soprano saxophone Selmer serie III
Leonid Drutin - baritone saxophone P. Mauriat 302
Igor Gurevitch - tenor saxophone P. Mauriat 66
Dmitri Sarasek - alto saxophone Selmer serie III

・前半


・後半

2011/11/09

木下直人さんから(Meriot率いる四重奏団)

もう1枚、木下直人さんから送っていただいたのが、大変珍しいMichel Mériot率いる四重奏団"Le quatuor de saxophones de la musique de la Sureté nationale(直訳すると、国家警察音楽隊サクソフォン四重奏団、ということだろうか)"の12センチ盤LPのトランスファーである。日本どころか、世界的に探してもほとんど手に入らないものであろう。毎度のことながら、木下直人さんには感謝申し上げる次第。

パリの"REGENCE"という聞いたことのないところからのリリース。収録曲は以下。"サクソフォン四重奏名曲ミニアルバム"といった趣である。

Isaac Albeniz - Sevilla
Pierre Vellones - Les dauphins
Jean Rivier - Presto
Nikolai Rimsky Korsakov - Vol du bourdon

非常にデッドな録音で、電気処理も(おそらくほとんど)加えられておらず、往年のLPの典型的なスタイルを思い出す。Thunderさんのところで取り上げられているパリ空軍バンドのロベール・レテリーの四重奏団のミニアルバムも同系統の録音であることを思い出した。初めて聴いたときは驚くが、繰り返して聴くにはこのほうがずっと良い。復刻についてはこれまでにも何度か書いているとおり、木下直人さんのトランスファー技術は単なる復刻ではなく、当時の空気感をも復刻しようとする世界最高クラスのものである。まさに、当時のフランスではこの音が聴かれていた…という部分を現代に蘇らせるのだ。

そのような最高の状態で聴くのだが、このキレキレな演奏はなかなかのカルチャーショックである。楽器の性能を十分に引き出し、超高密度の音で和声やリズムを組み立てていく様は、マルセル・ミュール四重奏団がフランセのオペラ「2人のパリ」を吹いた時の方向性に似ている。前述のレテリーの四重奏団の演奏にも類似している。当時のフランスのサクソフォン四重奏は、このようなベクトルを持つ演奏が流行していたのだろうか。貴重な記録だ。

最も興味を引いたのが、リヴィエの「プレスト」。「グラーヴェとプレスト」の「プレスト」部分の単純な抜粋(天理高校とかがアンコンでやってますね)だろうと思って聴き始めたのだが、まさかの超展開に驚いてしまった。最初聴いたときは、編集ミスかとも思ったが、いやはや。どおりで尺がやや長いわけだ…。

2011/11/08

木下直人さんから(Trois ballets)

先日書いた記事に呼応して、おなじみ木下直人さんからLPのトランスファーを送ってもらった。ジョルジュ・プレートル指揮のパリ音楽院管弦楽団(いわゆるソシエテ)、1961年の録音。ダニエル・デファイエが参加したというダリウス・ミヨー「世界の創造」の録音が収録されている。ジャケット裏面には、Pathé Marconiの印字が。

「Trois ballets Francais contemporains」
Francis Poulenc - Les biches
Henri Dutilleux - Le loup
Darius Milhaud - La creation du monde

プーランクの「牝鹿」(こういう充実した作品をわずか24歳にして作曲してしまうというその才能には、恐れ入るばかり)と、デュティユーの「狼」が同時収録されるところはなかなか面白い。デュティユーをきちんと聴くのはこれがほぼ初めてなのだが、こんな聴きやすい作品なんだ。いかにもフランス音楽の系譜に乗っている感じの、輝かしい響きを堪能できる。

オケがパリ音楽院管弦楽団というところも良いですね。大してクレジットも確認せずまずは聴き始めたのだが、トランペットの鳴りがまさにあのラヴェル作品集で聴いたトランペットそのものであり、すぐにこのオーケストラだと判った。おそらくルイ・メナルディの音ではないかと思われるが…。そして、弦楽器の特徴的な艶やかさ、木管楽器群の超名人芸的プレイなど、特徴を挙げていけばきりがない。フランス音楽が最も充実していた時期である。

さて、デファイエ氏が参加したという「世界の創造」である。これが初聴きとなるが、ミヨーの自作自演盤で聴いたような、「開始4音でデファイエと断定できる」というものではなかったのが興味深い。やや音程のとり方が不自然な場所が散見され、デファイエ氏のコンディション的には、もしかしたらベストな録音ではないのかもしれない。要所をきっちりと抑えた高音域の輝きや、ヴィブラートの流儀など、さすがである。何より、パリ音楽院管弦楽団の中で吹いているデファイエなど、この盤でしか聴けないのではないか。

録音的にも、サクソフォンをしっかりと捉えたミヨー盤、バーンスタイン盤とは違い、やや音場が遠いものであり、サクソフォンがそれほどクローズアップされていないと感じた。皮肉にも、ミヨー盤を担当したアンドレ・シャルランの録音の素晴らしさが際立つ結果となっている。ワンポイントであの極上のバランスを再現してしまうなんて!

2011/11/07

【演奏会ご案内】野村亮太さんのリサイタル

上野の居酒屋"大統領"に飲みに行きたい今日この頃です。寒いような暖かいような、そんな季節。

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【野村亮太サクソフォンリサイタル】
出演:野村亮太、大川千都(sax)、粥川愛(pf)
日時:2011年11月19日(土曜)14:00開演
会場:アクタス・アンナホール
料金:全席自由2000円
プログラム:
N.バクリ - 叙情的なソナチネ
W.オルブライト - ソナタ
E.タンギー - リトルネッロ
R.シューマン - 5つの民謡風小品
N.バクリ - アメリカン・レターズ

洗足学園音楽大学、オルネイ=ス=ボワ音楽院で学んだサクソフォン奏者として有名な、野村亮太さんからリサイタルのご案内をいただいた。確か最初はジェローム・ラランさん繋がりでお知り合いになったのだが、その後もサクソフォン交流会やサクソフォーン協会絡みでお世話になっている。

国内でこれまでも何度か単独のリサイタルを開いているはずだが、今回のリサイタルはプログラムがなかなか強烈である。ニコラ・バクリの聴いたことのない作品(いずれもサクソフォンがオリジナルではないようだが)や、私も大好きなウィリアム・オルブライトの「ソナタ」、シューマンも「幻想小曲集」とかではなく、知らない作品。タンギーにいたっては、スペルがわからず調べることすらかなわなかった(苦笑)。

ゲスト出演の大川千都さんも、野村さんと同じく洗足学園音楽大学を卒業され、フランスへの留学経験がある。バクリの「アメリカン・レターズ」で共演するようだ。大川さんも、なんだかんだで繋がりがあるのだがお会いしたことはないんだよなあ。

2011/11/06

久々のTsukubaSQ練習

大田区にて、先月の練馬の本番以来のTsukuba Saxophone Quartet練習。Oくんを加えて5人体制へ移行した、その初の練習だった。伊藤康英先生の「琉球幻想曲」、吉松隆「Atom Hearts Club Quartet」、そしてエルッキ=スヴェン・トゥール「ラメンタティオ」を合わせた。琉球とAtomは、まあなんとかなるが、トゥールはめちゃくちゃ難しいっす(苦笑)。

12月の本番まで合わせの時間がほとんど取れないが、その中でどこまでできるか…。なんとか上手くやっていきたい。

2011/11/05

Saxofanのブログバージョン

"クラシック・サクソフォン界ウェブ黎明期"なんていうものが定義されるとしたら、それを支えた2大サイトがThunder's WebFantastic Classical Sax、そしてそこに続く4つの有名サイトがSaxophone Box!!、SAXOLOGIE(閉鎖)、Saxofan、真珠の母(閉鎖)だと思っている。

この中で"まさのび"さんが管理されていたSaxofanは、ドビュッシーの「ラプソディ」について調べたことのある方にはおなじみだろう。「ラプソディ」の成立について、当時からCDのブックレットには情報として掲載されていたけれど、インターネット上のまとまった情報は、Saxofanにしかなかったはず。まさのびさんとは、1年ちょっと前にFantastic Classical Saxの管理人、mckenさんのご紹介で初めて対面することができ、それ以来演奏会や飲み会などでお会いしている。

さて、そのSaxofanだが、ここ最近ブログに移行し更新が再開しているのだ→http://saxofan.at.webry.info/

横浜楽器フェア2011の、Garage Sブースのレポートもアップされていた。アドルフ・サックス社製の楽器出展は、明日11/6まで!

コンフローレ室内合奏団第28回大学祭コンサート(11/5)

tfmさんにご案内いただいて伺った。会場は千葉大学のキャンパス内。面白い所で演奏会が開かれるんだなあと思っていたら、到着してびっくり!なんと学園祭の真っ最中じゃないですか。先月に伺った母校の学園祭とはまた違った雰囲気を楽しんだ(といっても、出店の前を通過しただけだが…)。

本日のコンサートは、2日連続で開かれるうちの1日目。会場となった"B号館"と呼ばれる建物は、ひとつの建物がそのまま大教室になっているような場所だった。音響は大丈夫なのかなあとおも思ったのだが、意外にも聴きやすい。黒板が上手いこと反響板の役目を果たしていたのかもしれない。演奏者と聴衆の距離もほどよく、良い具合に音が飛んでくる。

【コンフローレ室内合奏団第28回大学祭コンサート】
日時:2011年11月5日(土曜)14:00開演
会場:千葉大学西千葉キャンパス総合校舎B号館
プログラム:
W.A.モーツァルト - フルート四重奏曲第1番より第1楽章 [fl, vn, va, vc]
H.C.ワーク - 大きな古時計 [2tp]
いずみたく - 見上げてごらん夜の星を [2tp]
永野紗希 - 5本のフルートのための小品 [5fl]
G.ホフマン - ヴァイオリン四重奏曲 [4vn]
E.ラロ - ピアノ三重奏曲 [vn, vc, pf]
J.イベール - コンチェルティーノ・ダ・カメラより第1楽章 [asax, vn1&2, va, vc, cb, fl, ob, cl, fg, hr, tp]
L.v.ベートーヴェン - 三重奏曲より第3,4楽章 [fl, ob, cl]
J.S.バッハ - 2つのヴァイオリンのための協奏曲より第1楽章 [vn1&2, pf]
R.シューマン - ピアノ四重奏曲より第3楽章 [pf, vn, va, vc]
A.ハチャトゥリアン - 仮面舞踏会より第1楽章 [pf]
J.S.バッハ - チェンバロ協奏曲第1番より第1楽章 [pf, vn1&2, va, vc, cb]

弦楽器、管楽器、ピアノまで、さまざまな室内楽編成を聴くことができた。プログラムだけ見るとかなりの有名曲が並ぶが、時々「おっ、これは!」という新たな発見や、めちゃくちゃ上手い演奏があったりして面白い。お客さんもかなり多く入っており、後半にかけては会場がどんどんと熱気を帯びていった。

さて、お目当てのイベール。とても難しい曲だし、いくら名手が揃っているとはいえアマチュアだし、どんなもんかなと思って聴き始めたのだが、冒頭のドミナント・コードの響きからすごく良い演奏が聴こえてきて、驚き!オーケストラの緊張感も心地よいし(いくつかのCDで聴かれるオケが低調な演奏と、今日の演奏はかけ離れている)、サクソフォンが導入部を演奏して弦楽器パートのピツィカートと絡むところなんか、ぞくぞくしてしまった。サクソフォンパートも、熱いだけではなく技術的に作り込んであって、実に聴きごたえがあった。いやあ、ブラヴォーでした。お客さんの反応も上々。

テンポ設定に関しては、すっかり耳を洗いなおされてしまった。これまではどちらかと言うと、ミュールやデファイエのようなかっとび系演奏が好きだったのだが、今日の演奏を聴き、須川展也氏&BBC&佐渡裕氏のようなテンポもアリなのだなあと思えるようになった。

ふと考えてみたのだが、音大生を除くアマチュアで、イベールをオケバックでやったことある方って…Thunderさんくらいしか思い当たらないのだが(笑)tfmさんの行動力には恐れ入る。今度はアンドレ・カプレの「伝説」とかやってほしいなあ。

Vibrato Polycarbonate Saxophone

明日のtfmさんの演奏を宣伝!オケバックでイベール!すごいなあ…。私も聴きに行きます。

【コンフローレ室内合奏団大学祭コンサート】
日時:2011年11月5日(土)14:00開演
会場:千葉大学西千葉キャンパス総合校舎B号館
プログラム:
イベール「アルトサクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲」
問い合わせ:
http://saxastfm.blog.fc2.com/blog-entry-56.html

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昨日の楽器フェアでは、Garage Sのブース以外にもいくつか伺った。ひとつお目当てだったのは、イシバシ楽器のブース。

最近何かと話題の、Vibrato社製ポリカーボネイト・サクソフォン A1/A1Sである。先週末にトラクシオン・アヴァンの演奏会で、宮崎真一さんが吹いているのを聴いたばかりだったが、まさかこんなに早くに実際吹ける機会が巡ってくるとは思わなかった。スタッフの方にお願いして、A1/A1Sを両方共吹かせてもらった。

取り合わせは、通常のアルトサクソフォン用のSelmer S90-180とVandoren Traditional 3番リード。直前までアドルフ・サックスの楽器を吹いていたせいか、吹きこんだ瞬間の音量にはびっくり。さすがに、金属の楽器のような引き締まった音は望むべくもないが、意外と普通に吹けてびっくり。屋外で遊びで吹く用途なんかには、もってこいなのではないかな。2本あれば、もっと楽しそう!この楽器をつかってストリートで演奏…など、いろいろと夢(?)が広がる。

隣で試奏していた方はジャズの方だったが、低音から高音までしっかりした鳴りが特徴的。クラシックというよりは、ポップス用途・ジャズ用途では楽しく使えそうだ。もし楽器フェアに行かれる方、ぜひイシバシ楽器のブースもいかがだろうか。もちろん、アドルフ・サックスの楽器が吹けるGarage Sのブースは、全サクソフォン奏者必須!

お店の方に聞いた(書けそうな)ことをご紹介しよう:

・A1とA1Sの違いについて。"S"はソリッドのSであり、管体の材質が違うそうだ。A1Sのほうがどちらかと言うと固めで引き締まった材質でありまとまった音を、A1のほうはよりスモーキーかつブライトな音を、それぞれ想定しているとのこと。個人的にはA1のほうが好きかな…?という感触。

・パッドはシリコン製で、塞ぎを調整する必要がない、いわゆるメンテナンスフリーを謳っているが、このパッドが実は高品質。さすがにメーカーは教えてくれなかったが、自動車用部品と同じ製造ラインで作られているそうだ。実際の製造は、部品をプラモデルのように組み立てる作業が主体であるが、その組立て自体も質が高く、例えば管体と部品の接合などは見た目よりも頑丈で、思い切り衝撃を与えても実はダメージは皆無(さすがに試せなかったが)とのこと。

・日本への初回入荷分は、とっくに予約で埋まってしまった。タイ製で、やはり洪水の影響もあり部品の納入が難しくなっているそうだ。幸い、出荷のロジスティクスについてはノーダメージであるとのこと。今のところ継続して生産・出荷を続けているそうだ。

・すでにウェブページには書いてあるとおりに、いずれはテナー、そしてその先までの計画(これは楽しみにしておきましょう)があるそうだ。この情報にはドキドキしてしまった!笑

・日本で売り出される形になるまで何度かバージョンアップがあった。例えばバネ。最初は針バネを使っていたが、どうしてもタッチに違和感があり、螺旋バネに変更して、比較的良いレスポンスを得たそうだ。管体は某楽器をそのまま型取りコピーしたものだが、音程を獲得するためにトーンホールの位置を修正した。ネックの中間部にあるオクターヴホールも、もともとは通常のサックスのような形をしていたが、耐久性等の観点から現在の位置(中間部下側)に変更された…等々。

2011/11/03

ガレージエスのブース@楽器フェア2011

パシフィコ横浜で開かれている"楽器フェア"に伺った。2年間に一度開かれている催しで、楽器メーカーから販売店まで多くの出展・デモを楽しむことができる。事前に伺っていた話だと、関係者がだいぶ多いということだったのだが、会場に足を踏み入れるとそんなこともない印象を受けた。休日ということもあって家族連れや若い方々も多く、なにより楽器のイベントであるためにぎやか!仕事で行くような展示会とは大違いだ。

今回の一番の目的は、"ガレージ エス(Garage S)"のブース。以前もこのブログで取り上げたが、アドルフ・サックス社のサクソフォンを試奏可能な状態で展示しているのだ。ブースでは、浜松サクソフォンクラブのてるてるさんやその旦那さん(初めてお会いした)、明後日にイベールの本番を控えたtfmさんにもお会いした。

"ガレージ エス"ウェブページ→http://garages.p-kit.com/
楽器フェアの"ガレージ エス"出展内容紹介ページ→http://musicfair.jp/exhibitor/information.html?id=MF11012

まずは、持ってきた現代のマウスピース:Selmer S90-180を使ってアルトサクソフォン(息子、エドゥアルドの時代のサクソフォン)を吹かせてもらう。出展されていたアルトは2本で、いずれもエドゥアルドの時代のもの。片方はコンセルヴァトワールの主席卒業生に寄贈品として贈られたもので、もうひとつは普通の楽器だそうだ。手にしただけで作りの丁寧さが感じられる。メカは少なく、管の円錐型の開きがよく分かる。吹いてみると、意外にも簡単に音が出た。オクターヴ・キィを離したソ以下の低音部は、現代風の奏法で演奏することができず、アンブシュアを緩めにコントロールしなければならなかった。高音域は、オクターヴ・キィが2つに分かれており、ラの運指あたりから切り替えなければならない。もちろん、音程感覚は現代の楽器とはかけ離れている。

続いて、その楽器に付属していたというメタルのマウスピースをお借りして吹いてみた。マウスピースから先が共鳴して、現代のマウスピースとの組み合わせで感じられた違和感がなくなった。5分ほど音域を行ったり来たりしていると、アンブシュアが慣れてきて、いよいよ吹くのが楽しくなってくる。そんな状態で「アルルの女」のフレーズやグラズノフの冒頭など吹いてみると、得も言われぬ魅力的な音がするのだ。オーケストラ・スタディなど持ってくれば良かったかなあ。

現代の楽器で演奏するときにやるような、しっかりと息を吹きこんで音量を出す、という感覚からは程遠い。それほど息を吹き込まなくとも、アンブシュアとマウスピースと楽器が、勝手に響きを作ってくれる感じ。周りがにぎやかだったのではっきりとはわからないのだが、それでも体内を通して跳ね返ってくる音は、いままで体感したことのないようなものだ。

ジャズなどで求められるような"ソリッドな"音は、この楽器・奏法では出すことができない。アドルフ・サックスがクラシックの楽器としてサクソフォンを開発したということがよく分かる。現代の楽器は、キャパシティが大きすぎるとも感じる。フュージョンやジャズには合っているかもしれないが、クラシックは現代の楽器の性能の何%を使っているのだろうか。そして、果たしてクラシックの演奏に、現代の楽器は必要なのだろうか…などとも考えてしまった。

続いて、ラッシャーのマウスピースとBuescherのTrue Toneの組み合わせ。アドルフ・サックス社のサクソフォンを吹いた後にこの組み合わせに移行すると、全く違和感がない。音色のコンセプトはそのままに、操作性と音量が正統的に進化している、という感触。同じように「アルルの女」や「世界の創造」など吹くが本当にアドルフ・サックス社のオリジナルに近い感覚だ。

そして、驚いたのがこのあと。ガレージエスのSさんが、デファイエの演奏する短いフレーズをiPodで聴かせてくれたのだが、驚いたことにアドルフ・サックス~ラッシャーと続く、その延長線上にデファイエの響きが位置するように聴こえたのだ。…デファイエはクランポンとセルマーの楽器を使っていたが、出てくる音は、同じ楽器を使ったとしても誰も真似できない音である。もしかして、デファイエの奏法はアドルフ・サックスの楽器を吹くときのものに似ていたのか?

ちなみにこれらの楽器、販売もしているとのこと。ちなみにアドルフ・サックス社の楽器は、私なんかには簡単に手が出せない値段だが、食指が動いたのはラッシャーのマウスピースとBuescher True Toneの組み合わせ。比較的安価(ぜんぶ組み合わせても10万円くらい?)にアドルフ・サックスの意図した響きを再現できそうだ。

いやはや、数10分のうちに本当にいろいろ貴重な経験をさせてもらった。楽器フェアは6日までやっているので、サクソフォンを吹いている方ならぜひぜひ行って体験すべきだ(強烈にオススメする)。楽器に対する考えが根本から覆ってしまうかもしれない。ご案内いただいたSさんには、改めて感謝。

2011/11/01

ミヨー指揮の「世界の創造」(デファイエ参加)

ダニエル・デファイエ Daniel Deffayet氏が参加したダリウス・ミヨー「世界の創造」の録音といえば、まず代表的なのはバーンスタイン盤である。もし、これを聴いていないサクソフォン吹きがいたら迷わず買って聴いて頂きたい(これを聴かずにオーケストラの中のサクソフォンを語ることなどできない)。その音色、そして音楽の存在感は、ギイ・ダンカンらを始めとするフランス管楽器界の名手たちの自由闊達なプレイの中にあってもなお、圧倒的だ。1976年録音で、フランス国立管弦楽団との共演。

もうひとつ有名なのは、プレートルがパリ音楽院管弦楽団を振った盤。こちらは、実は聴いたことがないのだが、Thunderさんのページに記載があるので挙げておく。1961年の録音だそうだ。

そして最近、フルートのさとうさんに聴かせてもらったLPが、ダリウス・ミヨー指揮シャンゼリゼ劇場管弦楽団との共演盤。著名なバーンスタイン盤に先立つこと20年(!)デファイエがまだ30代前半のころの貴重な録音である。実はクレジット情報は書かれていないようなのだが、演奏を聴くと(最初の4音くらいで)ほぼ間違いなくデファイエと断定できる演奏。オーケストラの演奏も良く、バーンスタイン盤に匹敵するような、質の高い録音だと感じた。

驚異的なのは、1976年だろうが1956年だろうが、デファイエが吹くサクソフォンパートの解釈はほとんど変わっていないということ。30代前半にして、確固たる音楽感を持っていたというのも凄いことではないか。また、1956年ならば、まだマルセル・ミュールも現役だった時期だが、デファイエが指名されたのはなにか理由があってのことなのだろうか。

サクソフォーン・フェスティバル愛好家ステージ出演者募集

実行委員の方に依頼されたので宣伝:2011年のサクソフォーン・フェスティバル、愛好家ステージの出演団体を募集中だそうだ。私もこれまでに2、3回ほど、Tsukuba Saxophone QuartetやEnsembleΦで出演したことがあるが、今年もEnsembleΦ+豪華ゲスト、という編成で出場し、啼鵬さんアレンジを数曲演奏する予定。

年末の忙しい時期だが、参加費以上の楽しみ・交流を得られるのではないかな。参加申し込み締め切りは、11/7ということでやや差し迫っているが、特にまだ出場したことのない団体の方、ぜひ前向きに出場を検討されてはいかがだろうか。Thunderさんのブログでも取り上げられているので、そちらもお読み頂きたい。

参加要項は、PDF化して下記URLにアップロードした。
http://dl.dropbox.com/u/311270/festival2011.pdf