もう1枚、木下直人さんから送っていただいたのが、大変珍しいMichel Mériot率いる四重奏団"Le quatuor de saxophones de la musique de la Sureté nationale(直訳すると、国家警察音楽隊サクソフォン四重奏団、ということだろうか)"の12センチ盤LPのトランスファーである。日本どころか、世界的に探してもほとんど手に入らないものであろう。毎度のことながら、木下直人さんには感謝申し上げる次第。
パリの"REGENCE"という聞いたことのないところからのリリース。収録曲は以下。"サクソフォン四重奏名曲ミニアルバム"といった趣である。
Isaac Albeniz - Sevilla
Pierre Vellones - Les dauphins
Jean Rivier - Presto
Nikolai Rimsky Korsakov - Vol du bourdon
非常にデッドな録音で、電気処理も(おそらくほとんど)加えられておらず、往年のLPの典型的なスタイルを思い出す。Thunderさんのところで取り上げられているパリ空軍バンドのロベール・レテリーの四重奏団のミニアルバムも同系統の録音であることを思い出した。初めて聴いたときは驚くが、繰り返して聴くにはこのほうがずっと良い。復刻についてはこれまでにも何度か書いているとおり、木下直人さんのトランスファー技術は単なる復刻ではなく、当時の空気感をも復刻しようとする世界最高クラスのものである。まさに、当時のフランスではこの音が聴かれていた…という部分を現代に蘇らせるのだ。
そのような最高の状態で聴くのだが、このキレキレな演奏はなかなかのカルチャーショックである。楽器の性能を十分に引き出し、超高密度の音で和声やリズムを組み立てていく様は、マルセル・ミュール四重奏団がフランセのオペラ「2人のパリ」を吹いた時の方向性に似ている。前述のレテリーの四重奏団の演奏にも類似している。当時のフランスのサクソフォン四重奏は、このようなベクトルを持つ演奏が流行していたのだろうか。貴重な記録だ。
最も興味を引いたのが、リヴィエの「プレスト」。「グラーヴェとプレスト」の「プレスト」部分の単純な抜粋(天理高校とかがアンコンでやってますね)だろうと思って聴き始めたのだが、まさかの超展開に驚いてしまった。最初聴いたときは、編集ミスかとも思ったが、いやはや。どおりで尺がやや長いわけだ…。
0 件のコメント:
コメントを投稿