先日書いた記事に呼応して、おなじみ木下直人さんからLPのトランスファーを送ってもらった。ジョルジュ・プレートル指揮のパリ音楽院管弦楽団(いわゆるソシエテ)、1961年の録音。ダニエル・デファイエが参加したというダリウス・ミヨー「世界の創造」の録音が収録されている。ジャケット裏面には、Pathé Marconiの印字が。
「Trois ballets Francais contemporains」
Francis Poulenc - Les biches
Henri Dutilleux - Le loup
Darius Milhaud - La creation du monde
プーランクの「牝鹿」(こういう充実した作品をわずか24歳にして作曲してしまうというその才能には、恐れ入るばかり)と、デュティユーの「狼」が同時収録されるところはなかなか面白い。デュティユーをきちんと聴くのはこれがほぼ初めてなのだが、こんな聴きやすい作品なんだ。いかにもフランス音楽の系譜に乗っている感じの、輝かしい響きを堪能できる。
オケがパリ音楽院管弦楽団というところも良いですね。大してクレジットも確認せずまずは聴き始めたのだが、トランペットの鳴りがまさにあのラヴェル作品集で聴いたトランペットそのものであり、すぐにこのオーケストラだと判った。おそらくルイ・メナルディの音ではないかと思われるが…。そして、弦楽器の特徴的な艶やかさ、木管楽器群の超名人芸的プレイなど、特徴を挙げていけばきりがない。フランス音楽が最も充実していた時期である。
さて、デファイエ氏が参加したという「世界の創造」である。これが初聴きとなるが、ミヨーの自作自演盤で聴いたような、「開始4音でデファイエと断定できる」というものではなかったのが興味深い。やや音程のとり方が不自然な場所が散見され、デファイエ氏のコンディション的には、もしかしたらベストな録音ではないのかもしれない。要所をきっちりと抑えた高音域の輝きや、ヴィブラートの流儀など、さすがである。何より、パリ音楽院管弦楽団の中で吹いているデファイエなど、この盤でしか聴けないのではないか。
録音的にも、サクソフォンをしっかりと捉えたミヨー盤、バーンスタイン盤とは違い、やや音場が遠いものであり、サクソフォンがそれほどクローズアップされていないと感じた。皮肉にも、ミヨー盤を担当したアンドレ・シャルランの録音の素晴らしさが際立つ結果となっている。ワンポイントであの極上のバランスを再現してしまうなんて!
0 件のコメント:
コメントを投稿