先日、某管楽器専門誌の方と話している中で、話題に出て気付かされたことを書き留めておきたい。
言うまでもなく、現在のクラシック・サクソフォンの元祖として認知されているのは、マルセル・ミュールの演奏である。ミュールが開拓し、ダニエル・デファイエが継承たこのスタイルだが、少なくとも1990年ころまではクラシック・サクソフォンの標準であったと言えるだろう。その後も、例えば日本国内のサクソフォンは、ミュールやデファイエのスタイルこそが王道だという根深い考えのもとに発展を遂げているし、フランスにだってその考えは残っている(先日、ファブリス・モレティ氏がらいにちしたばかり)。
ともかく、世界中のサクソフォニストほぼすべての共通認識として「マルセル・ミュール=クラシック・サクソフォンの元祖」という考えがあることは間違い無いだろう。
それでは、ミュールはどうやってクラシック・サクソフォンと呼ばれるジャンルを確立したのか。ミュールの演奏も最も強く特徴付けているのは、ヴィブラート、弦楽器をお手本としたフレージング、甘美な音色、演奏会場中に響き渡る大音量、といった要素である。では、ミュールはそれをどこから取り入れたのか。ミュールの初期の経歴を読んでみると"ダンスバンドでの仕事をしていた…"というような記述を見つけられるとおり、ポピュラー音楽からそれらの特徴を仕入れてきたのだ。
つまり、極端なことを言えば、クラシック・サクソフォンのルーツはポピュラー音楽である、と言ってしまえるのだ。
続く(かも)。
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