昨日の記事の続き。マスランカ氏の書いた「交響曲第7番」をNMLで聴きながら、このブログ記事を書いている。これもまた、長大で一筋縄ではいかない曲だ。
【D.Maslanka x Saxophone レクチャーリサイタル】
出演:雲井雅人、雲井雅人サックス四重奏団、大澤知代、渡辺賢吾
日時:2010年3月10日 19:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷
プログラム:
(全てディヴィッド・マスランカ氏の作品)
「サクソフォン協奏曲」より第1楽章(雲井雅人)
「ソプラノサクソフォン・ソナタ」(大澤知代)
「アルトサクソフォン・ソナタ」より第3楽章(渡辺賢吾)
「レシテーション・ブック」(雲井雅人サックス四重奏団)
それにしても、こういった催しが国内で実現したということに、改めて驚きを覚える。10年前には、「マウンテン・ロード?なにそれ?」という状況だったのが、今や「マウンテン・ロード」や「レシテーション・ブック」といった四重奏曲については、アマチュアでも取り組む団体が増え、超難曲とされた「アルトサクソフォン・ソナタ」も、音大生くらいであれば試験で取り上げることも珍しくないという。ある意味、ちょうど良い時期だったのかもしれないなあ。
到着の遅延により、マスタークラスには間に合わなかったマスランカ氏だが、このレクチャーリサイタルには間に合った。舞台裏から現れたマスランカ氏に、大きな拍手が沸き起こる。その姿を拝見した瞬間に、鳥肌が立ってしまった。見た目は小顔で長身のおじさん、といった趣なのに、ものすごいオーラを感じる。奥様とともに客席前方から2列目に座り、一曲一曲の前に解説を喋りながら(通訳は佐藤氏)演奏会が進行した。
たった一人の存在によって、演奏者と客席の集中力がここまで高まるものなのか、というほどの時間だった。そういえば、ソプラノサクソフォンのソナタは初めて聴いたのだが(オーボエ・ソナタからの編曲だそうな)、とても美しい旋律線が印象に残った。吹いている大澤さんという方も、素晴らしく良い音色とテクニックの持ち主で、素晴らしかった。まだ大学4年生なのだそうだ…唖然。
そしてやはり、「レシテーション・ブック」だろう。会場を満たす響きは、我々の貧弱なものとは比べ物にならなくて、マスランカ氏を触媒に、各楽器の間で響きあう音がお互いを呼び合うように会場に広がっていって、ちょっと信じられないくらいの音空間が形成されていた。2007年5月に東京文化会館で聴いて以来だっただろうか。複雑な精神状態の中、じっと音に身を委ねていた。
終演後、少しだけではあったが、マスランカ氏と話すことができた。一年前、演奏会で全曲を取り上げたときにYouTubeにアップロードしたTsukuba Saxophone Quartetの演奏を、URLだけ送って聴いてもらったのだが、そのことも覚えてくれていた。
打ち上げでは、ちょっと酔っ払ってしまって、、、あああ。
0 件のコメント:
コメントを投稿