Andy Jacksonからメールが来ていた。何気ない内容(ご無沙汰しているけど元気?的な)で、こちらも元気ですと返信。ふと彼から送ってもらったシガード・ラッシャー Sigurd Rascherの録音を聴き返した。インゴルフ・ダールの協奏曲で、初演時の録音である。1949年5月17日、マーク・ハインズレー指揮イリノイ州立大学ウィンドアンサンブルと、ラッシャーとの共演。
現行のバージョンと、オリジナルのバージョンに大きな差異があることについては、このブログでも度々触れてきた。現行バージョンに慣れすぎてしまったせいか、初めてこの初演録音を聴いたときは、あまりしっくりこなかったのだが、今、改めて聴いてみると自然に聴ける。
現行バージョンは、3つの楽章に分かれた急-緩-急(Recitative, Adagio(Passacaglia) - Allegretto - Adagio, Rondo)のいかにも典型的な構成を取る。それぞれの楽章間は、独立した作品としても考えられるほどに分離されており、それぞれの間に有機的な繋がりはあまり感じられない。オリジナルのバージョンは、大きく2つの楽章に分かれてはいるものの、まるで一本の大河の流れのような中に、数々のドラマが織り込まれているような、そんな感覚で聴くことができる。
超絶技巧の部分もさることながら、美しい部分が本当に美しいのですよ!これは、決して改訂版では味わえない感覚だろうなあ。ダールは、むしろこういった部分に力を入れて作曲したのではないか、と思えるほど。
アメリカのほうでは蘇演も行われたようだし、そろそろライヴでこのオリジナルのバージョンを聴いてみたい。自分から動こう(吹くわけではなく)かとも思っているのだが、必要なリソースが多く、ちょっと踏みとどまっている。とはいえ、まずはオリジナルスコアの入手からかな…。
ラッシャーの録音について、購入等の詳細はこちらからどうぞ。
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