2010/03/24

冬の旅 ~Saxophone meets Schubert~

先日(の飲み会の席上で)、なぜかこのCDのことをふと思い出した。買ったのは、大学2年生のときに聴きに行ったサクソフォンフェスティバルの会場だったかな。良く覚えているのは、フェスティバルの会場で伊藤康英先生と雲井雅人氏にサインをもらったこと。その数週間前に、大学の吹奏楽団にトレーナーとして訪れた伊藤康英先生に、「ベーゼンドルファーで出しているピアニシモの音が凄いから聴いてみて!」と言われて、しばらく探していたっけ。

「Saxophone meets Franz Schubert(Alquimista Records ALQ-0008)」
雲井雅人, Alto Saxophone
伊藤康英, Piano (Bosendorfer)
布施雅也, Narration
林望, translation
松本重孝, director

Franz Schubert - Arpeggione Sonata
Franz Schubert - Winterreise

初めて手にとったとき、「贅沢なアルバムだなあ」とふと声を漏らした。しかし、この豪華な布陣が"シューベルト"という、ある意味すでに固定された音素材をどのように調理するのかは、まったく想像がつかなかったものだ。「冬の旅」の冒頭を聴いて驚いた!原曲の歌のメロディはサクソフォンへと置き換えられ、代わりにナレーターによってテキストが読まれるという、実にセンセーショナルなアレンジであった。時には、歌とサクソフォンが役割を交代して、サクソフォンがオブリガード的に配される場所も見られるが、全く新しい「冬の旅」に驚いた。

この「冬の旅」作品、冗長だと評されることもあるけれど(フラれた男がこんなに恨みつらみをダラダラと長く述べるものか、という)、そんなことはないです。私もわかりながら聴いているつもりだが、フラれた男というのはこういうものだと思う。その言葉ひとつひとつが、現代の感性で再構築され、さらに若い方の声で読まれるもんだから、リアルでリアルで…。変な話、現代の「失恋ソング」と言い切ってしまっても良いのかなあと思うほどだ(別に私が最近失恋したとかではありません笑)。

このCD、今はどこで入手できるのだろうか。

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