【津田征吾&小川卓朗サクソフォーンリサイタル 東京公演】
出演:津田征吾、小川卓朗(以上sax.)、松浦真沙(pf.)
日時:2010年2月26日(金曜)18:30開演
会場:仙川アヴェニューホール
プログラム:
~第1部~
J.イベール - 2つの間奏曲(津田氏)
D.キャンフィールド - 協奏曲"after Gliere"より第3楽章(小川氏)
R.シューマン - アダージョとアレグロ(津田氏)
J.フェルドハウス - Grab It!(小川氏)
P.ヒンデミット - ヴィオラ・ソナタ(津田氏)
~第2部~
小林浩三 - プレリュード(委嘱作品)
F.メンデルスゾーン - ピアノ三重奏曲第1番
~アンコール~
V.モンティ - チャルダーシュ
会場へ向かう最中に東横線が止まり、慌てて経路変更(Googleトランジットは便利だ)したものの開演時間には間に合わず、二曲目から聴いた。仙川アヴェニューホール、初めて入ったのだが、音響的な意味も含めてなかなか素敵な空間だ。京王線があまり停まらないようで、駅へのアクセスが大変だった。
津田氏と小川氏、出身地を同じくする奏者のデュオリサイタル。前半はそれぞれのプレイヤーがソロを披露し、後半はサックス二本とピアノのトリオ。デュオリサイタルといえど、共通点は出身地くらいで、それぞれの方が持つテクニック、音楽性、レパートリーの差異を見るのが面白い。
最初に聴いたキャンフィールドは、タイで開かれたサクソフォン・コングレスで、ケネス・チェ氏によって初演された作品なのだそうだ。最近の作品とはいえ、ゲンダイオンガク的な感じはしない。今回聴いた第3楽章は、奏者のテクニックによって一気に聴かせるような雰囲気だったが、面白い作品だ。他の楽章も聴いてみたいな。
シューマンは、ソプラノサクソフォンでの演奏。この音域で演奏されると、なんだか別の曲のように聴こえる。それにしてもキラキラした素敵な音色だ。「Grab It!」は、多様な音色を使い分けており、驚嘆。この曲の楽譜って、ここはソニー・ロリンズ風に、とか、エリック・ドルフィー風に、とか書いてあるのだが、その指示を小川さんなりに解釈した結果だったのだろうか。なんとなくティエス・メレマの演奏を思い起こした。周りのお客さんは驚いていたようだったが(当たり前か)、どう受け止められたかは興味あるところだ。
ヒンデミットは、先日の洗足学園音楽大学のサクソフォン研究会定期演奏会で、同じ奏者(ピアニストも)、同じ曲目で聴いたばかり。いやあ、まったくブレないですね。洗足の講堂での演奏と、ほとんど同じ演奏だったように感じた。ということで感想は同じなのだが、リサイタルなのだし、もっと別の表現を聴いてみたかったかもしれない。
後半は、メンデルスゾーンの素晴らしさに尽きた。正直言うと、最初は30分も聴きとおせるかどうか自信がなく、さらに前半が良い演奏尽くしで十分すぎるほど満足していたため集中して聴くことは適わない、とも思っていた。だが、予想に反して、第1楽章の終わり頃には前半の演奏が頭からすっかりクリアされてしまい、メンデルスゾーンの印象のみが頭の中を支配していた。間違いなく本日の白眉であったと思う。
確かに良い曲なのだが、曲の良さだけでは済まされない何かがあったはずだ。また、飛び出してくる響きは、室内楽として果たして伝統的な「クラシック音楽」に勝るものであったかと問われても、それもちょっと違うと思う。だが、曲の主題を覚えて、ソプラノサックス、バリトンサックス、ピアノの音をそれぞれ辿ってくうちに、ぐいぐいと演奏に引き込まれてしまった。不思議な魅力を持った演奏だった。
アンコールは、ヴィットリオ・モンティの「チャルダーシュ」。ここでメンデルスゾーンの云々…とならないのが、サックスの醍醐味ですよね!(笑)
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