2011/03/31

須々木由子さんのデニゾフ作品演奏

須々木由子さんより、洗足学園音楽大学大学院卒業で演奏したデニゾフ作品の録音を送っていただいた。卒業試験での優秀者には追加での演奏機会として「グランプリ演奏会」が与えられるそうなのだが、須々木さんは見事その機会を獲得したのだそうだ。以前このブログ上で論文を紹介したとおり、テーマはデニゾフ。サクソフォン界では最も有名であろう「アルトサクソフォンのためのソナタ」と、ドゥラングル教授のために書かれ、CDレコーディングも存在する「アルトサクソフォンとチェロのためのソナタ」が演奏されている。

「アルトサクソフォンとチェロのためのソナタ」は、ドゥラングル教授のBIS盤を聴いたことがあって、その自らをも手綱で抑えているかのような演奏からすると、あまりこの曲に興味をそそられなかったのだが、須々木さんの演奏を聴くと全然別の曲に聴こえてしまった。そうか、こういう曲だったのか、と。チェロと一触即発のセッション、という趣であり、勢いがあって、ダイナミックで、非常に感銘を受けた。しかも、ほぼノーミス。録音自体は客席から録ったような、音場の遠いものであるが、実際に会場で聴いたらもっと凄かったかもしれない。

「アルトサクソフォン・ソナタ」のほうは、第1楽章が時間の関係でカットされているのが残念…やはりこの曲は第1楽章から演奏されてこそだと思っている。というのも、第2楽章と第3楽章の演奏がこれまた素晴らしくて、数ある名演にも劣らないくらいなのだ。第1楽章の素晴らしさが想像できそう。

特にデニゾフの「アルトサクソフォン・ソナタ」について言える事だが、すでに作曲から40年(!)が経過し、すでに10年前には特殊奏法やフィンガリングの問題は完全に解決されたと言って良いだろう。「アルトサクソフォン・ソナタ」本作品の演奏は、次のステージに入ったのだ。すなわち、アカデミックで古典的な作品と同じように、完璧な技術を背景として、奏者がそれぞれの個性を出して、時代に残る名演を創りだしていく必要がある…と。須々木さんの演奏を聴いて、なぜかそんなことを再認識した。

2011/03/30

ご案内:第2回サクソフォン交流会

昨年に引き続き、第2回サクソフォン交流会を開催する。昨年は大成功のうちに終えることができたサクソフォン交流会だが、一年の間を空けて再び開催できることを嬉しく思う。今回もまた、西尾先生に、講評やラージアンサンブルの指導でご協力いただく。

アンサンブルは、昨年に引き続いて個性豊かな各団体の演奏が披露される。企画ステージは、「ラージアンサンブルレクチャーステージ」と題して、参加者全体を2グループにわけ、ゆっくりな曲/速い曲を、それぞれ30分ちょっとかけて、初合わせの状態からそれなりに演奏できる状態まで、西尾先生のレクチャーのもと進めていく、というもの。曲目も両極端で、どんなことになるのか想像もつかないが、楽しみだ。

地震の影響により、参加予定だったダッパーサクセーバーズさんとアレーズサクソフォンアンサンブルさんが不参加となってしまったのは残念だが、次回以降またご一緒できるのを楽しみにしていたい。

【第2回サクソフォン交流会】
日時:2011年4月30日(土曜) 12:00開場 12:30開演
会場:小松川さくらホール・多目的ホール(都営新宿線「東大島駅」徒歩10分)
料金:入場無料
プログラム:
各参加団体によるアンサンブルステージ
ラージアンサンブルレクチャーステージ
 →W.A.モーツァルト - "フィガロの結婚"序曲
 →O.レスピーギ - "リュートのための古風な舞曲とアリア"より
全体合奏
 →J.ヴァン=デル=ロースト/柏原卓之 - カンタベリー・コラール
参加団体(50音順):
Unknown Saxophone Quartet(東京)
カキツバタサクソフォンアンサンブル(愛知)
Saxofono Rosso(東京)
サクソフォンアンサンブル・なめら~か(神奈川)
THAT'S SAXOPHONE PHILHARMONY(東京)
しらこばと音楽団(埼玉)
Tsukuba Saxophone Quartet(茨城)
Duo Green Green(千葉)
Lion Saxophone Quartet(東京)
ラファンドゥモンド(東京)

チラシ画像:

2011/03/29

Christian Lauba's "Masai" on YouTube

クリスチャン・ロバの「Masai」という作品の演奏動画をYouTube上で発見した。アルトサクソフォンとバスクラリネットのためのデュエットで、知らない作品だった。それもそのはず、ロンデックスの2003年版目録を探したところ、リストされていなかった…つまり、比較的新しい作品だということだ。ロンデックスの目録にも数多くのロバの作品が紹介されているが、その後も順調にサクソフォンのための作品はその数を増やしていることが伺える。

クリスチャン・ロバの作品は、どれもが傑作である。われわれ、サクソフォンに取り組む向きとしては、良いレパートリーが増えることは大いに歓迎すべきであろう。

「Masai」の冒頭は、不意をつかれて日本的な響きから始まる。なんのことはない、ペンタトニックのを利用した"ごくごくありがちな"音世界であり、清水靖晃の「ペンタトニカ」でも聴いているような気分になるが、曲が進むにつれて短い即興的な走句や重音が出てくるのは、これこそロバ節!といったところだろう。また、曲全体が思わず踊りだしてしまいそうな愉悦感に溢れている。…ところで、中間部の不思議な動きは何なのだろうか(そういう楽譜の追い方をするように指定されているのかな?)。

演奏者は、タイのWisuwat Pruksavanich氏。以前、ドリーム・シアターの「Instrumedley」をサクソフォンで演奏した、という動画を紹介した。Pruksavanich氏は、特に現代作品への積極的な取り組みを行っているようだ。バスクラリネットは、Christhatai Paksama氏、とのこと。

2011/03/28

TsukubaSQの練習など

昨日は赤羽でTsukubaSQの練習。いつもは乗り換えのために通過する程度の駅だが、降りてみるとびっくり。池袋並…とまではいかないが、ずいぶんと賑やかな街でびっくりした。昨今の節電事情によりどうしても練習場所を見つけることができず、やむなくカラオケでの練習(いつ以来だろう?)。ちなみに今回ソプラノは不在。

サクソフォン交流会の曲(=ELPの「タルカス」)を中心に、あと5/22の演奏会の曲を少し。協会のコンクールがなくなったのは練習の進捗的にかなり痛くて、まだ「シャコンヌ」を通しで完成させられていないのだ。5/22の演奏会まで残り二ヶ月を切っている。ややペースが落ち気味だが、再度立て直して練習を加速しなければならない。懸案事項は練習に留まらず、なんとまだ「N.R.の肖像」が第1楽章しか来ていないのだ…。こちらも果たしてどうなることやら。

サクソフォン交流会のマネジメント、サクソフォニーの運営サイド活動、サクソフォーン協会誌関連の執筆等、さばかなければいけない案件も多く、これからの時期のフリータイムはサクソフォン関連に掛かり切りになりそうだ。ただ、こんな中でもブログは何にも増して優先度が高いため、更新が滞ることはあまりないと思う。

第3回JML国際コンクール参加者発表

本年、タイのマヒドン大学で開催予定である、第3回ジャン=マリー・ロンデックス国際サクソフォンコンクールの参加者が発表された。

http://www.adolphesax.com/index.php?option=com_content&view=category&id=99&Itemid=787&lang=es

アドルフ・サックス国際コンクールと違って、参加者の国籍が平坦化されているのが良いですね。またじっくりと見てみる予定だが、日本からの参加者が17人。参加者の名前を見てみると…わ!なんだか名前を知っている方ばかりだ。海外勢に関しては、新しく見る名前も多いが、この中からまた新たなスターが誕生すると思うと、ワクワクする。

課題曲含め、面白い経過を辿るであろう本コンクール。またまとめサイトなど作りながら、追っていきたい。

2011/03/26

Pluck Blow

発売からずいぶんと経ってしまったが、ジェラルド・マクリスタル Gerard McChrystal氏のサクソフォン×ギターのアルバム「Pluck Blow(Meridian Records CDE84546)」を入手した。以前mckenさんがご自身のブログ1000記事目で絶賛していたこともあり(3、4年前)ずっと欲しいと思っていたのだが、入手していなかった。最近、マクリスタル氏の参加CDをブログ上で紹介したことをきっかけに興味が再燃したのだ。金曜日の帰省直前にアパートに届き、速攻で携帯音楽プレーヤーに転送し、帰りの高速バスの中で聴いてきた。

「Pluck Blow」
Gerard McChrystal, saxophone
Craig Ogden, guitar
C.Farrell - The Shannon Suite
S.Greenbaum - Cloud Eight
A.Scott - Nemesis
G.Caffrey - Skipping
T.Davis - Incantation
B.Cowie - Romances
G.Caffrey - Pluck Blow
I.Wilson - Tern
I.Wilson - Icarus
U.Schultheiss - No Rest

サクソフォンとギターの組み合わせは、実に面白い。ギターの繊細な音色と、サクソフォンの自在な表現力の間に生まれる響きは、新鮮。そういえば、井上麻子さんと松尾俊介さんのライヴを聴いたこともあったが、そのときも充実した響きに感銘を受けたものだった。レパートリーは少なく、音量バランス的にも難しい部分が時々あると思ってしまうものだが、想像とはまったく違う響きが生まれる。

「Pluck Blow」では、演奏されている曲の面白さも手伝って、完成度の高いアルバムに仕上がっている。一曲目に置かれたファレルの「Shannon Suite」から、マクリスタル氏の美しい音色、そしてオグデン氏のテクニックに驚く。バランスは最適な状態で記録されており、サクソフォンとギターがせめぎ合う様子をリアルに感じ取ることができた。アンディ・スコット(ApolloSQのメンバーとしても有名)が作曲した「ネメシス」は、ロブ・バックランド「Towards the Light」ではピアノ、ビブラフォンとともに演奏されていた。少しミニマル風の、かっこいい作品であるが、これもギターでの演奏を聴くのは新鮮だった。

アルバムタイトルとなっている「Pluck Blow」や、最後に置かれた「No Rest」も、面白い。あまり知られていない曲の面白さを文章で伝えるのは限界があるので、マクリスタル氏のページのCD紹介ページへのリンクを張っておく。「No Rest」は試聴できるので、ぜひ聴いてみていただきたい。クレジットカードを使って購入も可能だ。

2011/03/25

実家へ

この週末は、所々の事情により実家へ戻って来ている。日曜日の昼間には東京へ戻る予定だ。戻ったあとは間髪入れずTSQ練習があるため、楽器と一緒に帰省中。

2011/03/24

演奏会のご案内:Saxophone Joint Concert

昭和音楽大学のサクソフォン専攻、竹原宏さんより、演奏会のご案内をいただいた。昭和音楽大学出身の4人による、演奏会のタイトル通りの「ジョイント・コンサート」なのだそうだ。この「ジョイント・コンサート」という形態は、私自身は非常に歓迎すべき形態だと普段から考えている。いろいろな奏者の演奏・プログラムを一度に聴けるし、それぞれの奏者間で負荷が分散して演奏の完成度が桁違いに高まることが多いからだ。気になる奏者は、いつかのソロリサイタルを楽しみに待つ、という先取り的な意味でも楽しむことができるだろう。

演奏が予定されている曲目を見てみると、ソロ→デュオ→トリオ→カルテット→ピアノ五重奏という、コンセプチュアルなプログラミング。テレマンはまあよくあるかなと思うが、ラフマニノフの「チェロ・ソナタ」やラヴェルの「ピアノ三重奏曲」をサクソフォンで取り組む、という例はあまり聴いたことがない。ドビュッシーをさりげなく配置したあと、最後に待ち構えるのはピアソラのコラージュ作品?これは実に面白そうだ。日にちも、金曜日ということで、なんとか伺えそう。

【SAXOPHONE JOINT CONCERT】
出演:高梨寛子、森山宙香、竹原宏、中村賢太郎(以上sax)、中村文香(pf)、藤原耕(perc)
日時:2011年4月15日(金)開場18:30 開演19:00
会場:神奈川区民文化センターかなっくホール
料金:一般/2000円 高校生以下/1500円
プログラム:
G.P.テレマン:無伴奏フルートのための12のファンタジーより 第1番、第3番(S.sax)
S.ラフマニノフ:チェロ・ソナタ(B.sax+pf)
M.ラヴェル:ピアノ三重奏曲(S.T.sax+pf)
C.ドビュッシー:ベルガマスク組曲(S.A.T.B.sax)
村田淳一:El CUENTO… ~Hommage A Piazzolla~(委嘱初演)(S.A.T.B.sax+pf+per) 他
問い合わせ:
http://profile.ameba.jp/saxophone-joint-concert/

チラシオモテ面。このポップで素敵なデザインは、トリトンというデザインスタジオの作品なのだそうだ。












チラシウラ面。

IS05へ機種変更

携帯を持ち始めた頃からauユーザーで、SANYO→SANYO→Sony Ericssonと乗り換えてきたのだが、つい先日4台目へと乗り換えた。1台目、2台目は、どちらも非常に気に入っていた機種。レスポンスも素晴らしく、使っている中でもまったく不満はなかった。…だが、3台目のソニエリの「re」でハズレくじを引いてしまった。レスポンスが遅い&バッテリーが弱いという、携帯電話にあるまじき弱みを持っており、買って2週間経った時点から、とにかく利用するのが苦痛でしょうがなかった。よくもまあ2年と3ヶ月も使い続けたものだ。

自らの、ブログ&mixi&Facebookというソーシャルメディア利用率の高まりから、次は確実にスマートフォンだろうと考えていたのだが、auのスマートフォンのダメっぷり(筆箱型のとても携帯とは言えないIS01、鳴物入りだった割にバッテリー容量が異常なほど小さいIS03、なぜかCメール非対応のIS06…等)のため、ずっと乗り換えられないでいたからである。

今回購入したIS05は、CMでよく流れている「Android au」の一連の流れに乗る、最新のスマートフォンである。IS03と比較してバッテリー容量が大きいこと、Snapdragonの45nmプロセスルール版を搭載していること、やや小さめなこと、この3点が購入のきっかけとなった。どうもauスマートフォンのラインナップの中では、「女性向けのお洒落なスマートフォン」という位置づけのようなのだが、スペックを参照する限り性能は一番高いはずだ。

ということで、買っていろいろと遊んでいるのだが…。いやあ、良いですね!これまでPCで行っていた作業のいくつかを、携帯だけで行うことができるようになったのは嬉しい。Android 2.2付属のブラウザならば、大抵のウェブサイトは閲覧することができるし、アプリケーションをインストールすればmixiやFacebookへのアクセスも便利。レスポンスやバッテリーに対する不満も、今のところまったくない。3台目の「re」は買って1週間で不満が噴出し、2週間目で修理に出したという思い出があるが、一転、この4台目は非常に良い買い物をした、と思える。

サクソフォン奏者のなかでも、ブログやツイッター、Facebookの利用率が高まっているが、これらのSNSは、やはりスマートフォンから利用してこそ本来の力を発揮するのではないだろうか。私の周りではiPhoneの利用率も多いが、AndroidでIS05ほどの完成度を目の当たりにしてしまうと、iPhoneを選択する理由もあまりないように思える。

ということで、おすすめです。auユーザーの方は検討してみては?(いったい何のブログだ)

music (to you)

3/21は、大学時代の先輩が主催するコンサート、music (to you)が開催された。

【music (to you)】
出演:渡瀬英彦(フルート) 梅原光洋(テノール) 荒井絵梨(ヴァイオリン) 飯野和英(ヴィオラ) 宮澤等(チェロ) 中根康美(ギター) 五味こずえ(ピアノ)
日時:2011年3月21日(月・祝) 17:00開演
プログラム:
アストル・パンタレオン・ピアソラ:「タンゴの歴史」より
ジャック・イベール:間奏曲
ブラジル・ショーロス:Tico Tico, Primeiro Amor
フランソワ=ジョセフ・ゴセック:タンブーラン
アストル・パンタレオン・ピアソラ:Oblivion
フレデリック・ショパン:仔犬のワルツ
吉松隆:「優しき玩具」より
ヴィットォーリオ・モンティ:チャルダッシュ
アンドレ・ジョリヴェ:リノスの歌
セルゲイ・タネーエフ:弦楽三重奏曲 Op.31より第三、四楽章
武満徹:ソングス・フォー・ギターより "Over the reinbow"
カンツォーネ:帰れソレントへ
クロード・ボラン:「ジャズ組曲」より "Baroque and Blue"
セザール・フランク:「ヴァイオリン・ソナタ」より

急遽開催が決まった演奏会だが、主旨としては、こんなところである。この文章も、主催の先輩が書いた。

街から歌が、消えかけています。
圧倒的な、想像を遥かに越えた暴力。被災された方々へ手を差し伸べることも出来ない無力感、 怖れや不安、消耗していく心。街は、驚くほど静まり返っています。
そんな今だからこそ、改めて音楽の持つ力を信じたい。
音楽には生きることの全てが詰まっています。
時に優しく、時に厳しく、時に鼓舞し、時に寄り添う。
音楽はそれ故、私たちの(あなたの)心を揺さぶるのでしょう。
今回は困難な状況の中で、趣旨に賛同頂いた音楽家が集まり、街角から音楽を届けます。
いつの日にかまた笑顔が取り戻せるように。
それは本当にささやかな祈りですが、確かな光になることを願って。

写真撮影を頼まれていたため、リハーサルから聴いた。演奏家たちの姿をカメラに収めながら、じっくりと音を聴くことができる機会などめったにない。それぞれが素敵な音楽だった。ここ数日の沈んだ気持ちが、少しずつ回復するような気がした。

演奏会本番の時間帯では、依頼されてIS05を利用したUstreamでの中継にトライ。前半はギリギリなんとかなったが、後半の途中で熱とバッテリーが限界を迎え、あえなくアプリがダウン。うーむ、通信しっぱなしになるため、1時間半が限界ということか…。いつ落ちるかと気が気でなく、あまり演奏を楽しむ余裕もなかったのだが、通信が落ちてからは落ち着いて聴くことができた。

2011/03/23

3/21は…

3/21は特別な日。サクソフォンの特許が取得(フランス特許番号:3226号)された日であり、バッハの誕生日である。本年のサクソフォーン協会コンクールが中止となってしまったのは残念だったが、もし実現していたら、3/21に、バッハの「シャコンヌ」を、サクソフォン四重奏で吹くことが出来たのだった。うーん、なんという偶然。

そして、3/21は自分の誕生日でもあった。バッハとちょうど300年違いなのが密かな自慢なのである。メール、mixi、Facebook等で心温まるメッセージをたくさんいただいて、とても嬉しかった。今年も、いろいろと手を広げてやっていきたい!

2011/03/20

好きな3人の作曲家は?

「あなたの好きな作曲家を3人挙げてください」…と言われたら?

J.S.バッハ
結局のところいちばん好きだ。多彩な作風、さりげないドラマ性、フルオーケストラからシンセサイザー音源までを受け入れる懐の深さなど、理由をあげればキリがない。サクソフォンでバッハの音楽に触れることができるのは実に幸いなことだ。最初は「イタリア協奏曲」、その後「フーガの技法」や「シャコンヌ」などを吹いた。年をとっても、バッハだけは吹き続けたいなー。

M.ラヴェル
中学校の音楽の授業で「ボレロ」に触れて以来(音楽の先生が、授業で西村雅彦主演の"MAESTRO"をみせてくれたのだ)ずっと好き。当時父にねだって買ってもらったのがロリン・マゼール指揮フランス国立管弦楽団演奏のラヴェル作品集だった(…ねだった、といっても「これを買ってちょうだい」ではなく「ボレロ」が入っているCDが欲しい、というお願いの仕方だったような)。そこに収録されていた「ボレロ」「スペイン狂詩曲」などを入り口に聴き始めた。今では、木下直人さんから送ってもらったアンドレ・クリュイタンス指揮のラヴェル作品集こそがバイブルである。

P.A.グレインジャー
「羊の皮をかぶった狼」。民謡というシンプルな素材を、複雑に絡み合わせる筆致に恐れ入る。幾つかの作品は、相互に有機的な繋がりを持ち「あ、このメロディは!」と思うこと多々。Chandosがきっちりと全作品のレコーディングを用意してくれており、手を出しやすいのも良い。グレインジャー自身がサクソフォンと関わりが深いのも、嬉しいですね。

2011/03/19

Iannis Xenakis「XAS」の楽譜

だいぶ前にSheet Music Plusで購入した「XAS」の楽譜が到着した。サクソフォン四重奏曲のなかでも、もっとも美しい構造を持つ作品のひとつであり、大好きな曲のひとつ。CD録音については、ざっと見渡しても、委嘱者であるRascher Saxophone Quartetの録音から、ハバネラ四重奏団による大阪国際室内楽コンクールの伝説的ライヴ録音(Alphaレーベルにもセッション録音を吹き込んでいる)、そして最近ではSonic Art Saxophone Quartetがデビューアルバムに吹きこむなど、非常に多い。

まあ、とにかく好きな曲である。アメリカのAmethyst QuartetがYouTubeに映像をアップロードしているので、知らない方はこの機会にぜひ。


で、大好き→演奏したい!と思うのは当然で、頑張ればTsukuba Saxophone Quartetあたりでも演奏できるかなと思い、楽譜を購入してみたのだ。幸い、送料含めて3500円程度とお安く入手できた。到着した大きな包み(1ページがA4よりも大きい変形版)に期待も高まり開封してみると…。

ええと、想像を絶する難しさでした(^^;

さすがにRascherSQのために書かれただけあって、とにかくハイトーンが容赦ない。ざっと眺めたところ、バリトンサックスにオクターヴキイを押した「シ」の、さらに2オクターヴ上の音が出てきていたぞ。こんな音まともに出せる人いるの?あまりに凄すぎて、楽譜眺めて20分でお蔵入り決定、だったのだった。あちゃー…。(もしかしたら)この一曲に1年かければ、20%くらいの確率で人前に出せるようにはなるかもしれないが。

2011/03/18

SaxAntiqua Ustream Live

Daniel Duranさんからの情報。スペインの著名なラージアンサンブル、SaxAntiquaが、スペイン時間3/18 20:30(=日本時間 3/19 4:30)よりマドリードで演奏会を開く。Adolphesax.comのスタッフの協力により、今回の演奏会はUstreamで中継されるそうだ。演奏曲目は、ヴィヴァルディ、バッハ、コレルリなど…SaxAntiquaが得意とするバロックのレパートリーをたっぷりと楽しむことができそうだ。

ちなみにこのSaxAntiqua、そんじょそこらの普通のラージアンサンブルではない。スペインのサクソフォン界のなかでも、折り紙付きの名手が参加したアンサンブルであり、あのAntonio Felipe Belijarなども参加しているほど。このページから試聴できるが、ヴィヴァルディの「四季」など、トンデモない演奏に恐れ入る。

あした、早起き…できるかなあ(笑)ま、頑張ってみよう。



Free Videos by Ustream.TV

2011/03/17

松下洋さんによるA.ウェニアン「ラプソディ」の演奏

大西智氏さんのリサイタルでお知り合いになった、松下洋さんの演奏を貼り付け。洗足学園音楽大学の卒業試験での演奏で、この演奏で松下さんは見事主席を獲得したそうだ。演奏曲目は、アンドレ・ウェニアンの「ラプソディ」。昨年のアドルフ・サックス国際コンクールの本選課題曲である。

かなり激烈な演奏で、初めて観たときは興奮したものだ。審査していた先生の中には100点満点を付けた先生もいたようだが、この動画を観てみるとなるほど、と思えるかも。小川卓郎さんといい、松下洋さんといい、ここ数年の洗足学園音楽大学のサクソフォンの活発さは目をみはるものがある。

前半


後半

2011/03/16

山本哲也「チャラサックス」新録音

以前このブログで紹介した、山本哲也さんの「チャラサックス」について、新しい録音をご紹介したい。国立音楽大学のGreen Ray Saxophone Quartetという団体の演奏だそうだ。今回ご紹介していただいたもののほうが隅々まで丁寧に作り上げられていて、好きかも。

山本哲也さんのMySpaceページから聴くことができる。
http://www.myspace.com/olivieryamamoto

ちなみに、個人的には団体名に食いついてしまった。Green Ray(=グリーン・フラッシュ)というのは、太陽が水平線の彼方に沈み始めたときに、オレンジ色の光のはずの太陽が、緑の光線を放つ自然現象のことである。ジュール・ヴェルヌの「The Green Ray」という小説も有名だろう。

2011/03/15

ジオターゲティングで…

本日予定されていたリエゾンSEの演奏会は、中止となった。

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ブログ右下に貼りつけてあるジオターゲティングのウィジェットは、都道府県別のアクセスを示している。地震後も(数は少ないが)福島県や宮城県からアクセスがあることに、少しほっとしている。

まだまだ予断を許さない状況が続くが、明日辺りから通常の更新スタイルに戻していきたい。

2011/03/14

日本サクソフォーン協会第8回アンサンブルコンクール中止

Tsukuba Saxophone Quartetとして本選出場予定だった、日本サクソフォーン協会の第8回アンサンブルコンクールは中止となったとのこと。公式アナウンスはこちら

2011/03/13

この週末

この状況のなか、金曜日~土曜日にかけて、NHKの公式Ustreamを観ていたところ、土曜日の夜くらいに、精神的に参ってしまった。普段滅多なことではこんなことにはならないのだが、思った以上に気を張っていたということか。幸い眠ったところ回復したが…。

今日は当初予定した四重奏練習を中止とした。むた、思いきって少し外出したり、ニュースを控えて音楽を聴いたりして過ごした。何事もバランスが重要だと感じた週末だった。だが、まだ被災地でライフラインもない中過ごしている方々がいると思うと心が痛む。

まずはできることから。明日はきちんと会社に行く。また、ヤフーを通じて募金をしてみた(皆さまもぜひ)。

2011/03/11

本日の地震

被災地の方々に、心よりお見舞い申し上げます。という自分(@東京)もまだまだ予断を許さない状況なのかもしれないが…とにかく断続的に襲ってくる余震が怖い。

私は、16:30に会社から帰宅指示、17:00に徒歩で帰宅。その後はNHKの公式UstreamとFacebookをモニタリングしながら、情報を仕入れている。こういう時に固定電話やインターネットは強い。これを機に家族と携帯電話以外以外の連絡手段を取り決めようと思った。

東北~北関東にはサクソフォン関連の知り合いもたくさんおり、非常に心配。どうかご無事で。

自分の家族向け連絡

地震がありましたが、大丈夫です。17:00頃には帰宅済みです。

2011/03/10

Gerard McChrystal氏参加CD二題

ジェラルド・マクリスタル Gerard McChrystal氏が参加したアルバム。イギリスのサクソフォン奏者であるマクリスタル氏は、「meeting point(Silva)」を始めとしたいくつかのソロCDをリリースしているが、オムニバスアルバムにふと名を連ねることも多い。有名な一枚に、トゥルトゥリエがアルスター管弦楽団を振ったドビュッシー作品集における、「ラプソディ」への参加があるが、あまり知られていない、2つのアルバムを紹介しようと思う。

John T. Metcalfe作品集「METCALF: In Time of Daffodils / Paradise Haunts… / 3 Mobiles(Signum Classics SIGCD103)」。ここでマクリスタル氏は、グラント・レウェリン指揮BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団とともに「3 Mobiles」というサクソフォン協奏曲を演奏している。

聴きやすい感じで始まるのだが、始まったと思ったら、あれ?もう終わり?と驚いてしまうくらいの小品。実際、3分、8分、3分と、巷のサクソフォン協奏曲と比べたら急速楽章のボリュームが小さめなのである。ちょっとミニマル風のテイストも含まれた純粋なクラシック音楽のひとつなのだろうが、まあ聴いても聴かなくても良いかな(苦笑)。マクリスタル氏の演奏は、もちろんハイクオリティ。

上のアルバムに比べたら、作品としてはこちらのほうがずっと面白いだろう。シアラン・ファレル作品集「Perfect State(RTE lyric fm RTECD113)」。ジャケットが美しいのもポイント高し。ここでは、ソプラノサクソフォンとギターの共演、そして弦楽四重奏との共演を披露している。

ギタリストは「Pluck Blow(Meridian)」でもおなじみの"おぐでん"氏こと、クレイグ・オグデン Craig Ogdenである。吉松隆「天馬効果」のシャンドス・レコーディングでも大活躍なのはご存知のとおり。弦楽四重奏のほうは、イギリスの著名な室内楽団のひとつ、Smith Quartetだ。

それはさておき、まずソプラノサクソフォンとギターの音色が実に良い!音量バランスを心配される向きもあるだろうが、マクリスタル氏の優しく美しい音色はギターとの共演にぴったりで、バランスが悪いと感じるところはまったく無い。「シャノン組曲」というアレンジ作品だが、少し民族音楽風の印象も残しつつ、サクソフォンもギターも快活に動きまわるのだ。聴いていて実に楽しい作品であり、かつマクリスタル氏のサクソフォンを堪能できるという点で、おすすめしたい。

…が、ここまで書いてはたと気付いた。「シャノン組曲」って、「Pluck Blow」に含まれているじゃないか!

次に、弦楽四重奏との共演は「The Pilgrim's Return」であるが、すこしシリアスな響き、しかしものすごい畳み掛けるようなフレーズの音楽で、圧倒されてしまった。こちらも大変オススメできる。同じ作曲者ながら、ずいぶんと違う響きであり、その差を楽しめるのも良いな。

2011/03/09

須々木由子「デニーソフ<アルトサクソフォンとピアノの為のソナタ>曲目分析」

今年洗足学園音楽大学の大学院を卒業される予定の、須々木由子さんから、大学院の卒業試験の副論文を頂戴した。デニゾフ(デニーソフ)「ソナタ」について書いたということで興味を持ち、私の方から連絡して送ってもらったものである。須々木さんにはこの場をお借りして改めて御礼申し上げる。

デニゾフの「ソナタ」については、さすがに有名な作品だけあって、本ブログでこれまでも何度か取り上げている。そのどれもが、ちょっとつまみ食い程度に調べたものであり、これまで体系的に調査を行ったことはなかった。デニゾフの経歴について記事にしたこともあったのだが、実はかなり付け焼刃的な調べ方によるものであり、あまり気に入ってはいなかった。
エディソン・デニゾフの経歴
デニゾフ「ソナタ」の作曲経緯
デニゾフ「ソナタ」の別アプローチ

須々木さんの論文は、私のデニゾフの「ソナタ」に関する興味を、十分すぎるほど補ってくれるものであった。デニゾフが、どのような苦労(ソヴィエト連邦時代の政府による圧力)を経て、ソヴィエト~現代ロシアを代表する作曲家の一人となったかが丁寧に時代に沿って解説されており、面白い。デニゾフが、西側の作曲家…ブーレーズやシュトックハウゼンといった作曲家と、どのように関わっていたかについても書かれており、初めて知るエピソードばかりであった。

「ソナタ」については、特にジャズからの影響について深く掘り下げており、譜例を示しながらこちらも充実した解説がなされている。こうしてピアノスコアを見てみると、いかに厳格に書かれているかが判る。第3楽章など、聴くだけであると勢い先行のようにも思えるが、ずいぶんと緻密な書かれなんだなあ。

いやいや、本当に面白い。デニゾフ「ソナタ」を演奏される方は、サクソフォン奏者もピアノ奏者も、ぜひ一度は読むべきだと思う。洗足学園音楽大学の図書館所蔵になるのかな?

ちなみに、本試験(演奏)では、須々木さんはデニゾフ「アルトサクソフォンのためのソナタ」「アルトサクソフォンとチェロのためのソナタ」を演奏されたとのこと。予定が合えば聴きに伺いたいくらいだったのだが、残念ながらかなわなかった。

2011/03/08

パイプオルガンでラーション

先日大西智氏さんのリサイタルでお知り合いになった松下洋さんの演奏をご紹介する。L.E.ラーション「サクソフォン協奏曲」の第2楽章の演奏なのだが、なんと弦楽パートをパイプオルガンにトランスしてしまったというもの。



こうしてパイプオルガンに置き換えて聴いてみると、ラーションの作品が新古典主義と評される理由がより一層判る気がする。和音の重なり具合とか、ひとつひとつの音型の動きとか、まさにバロック~古典あたりの音楽とそっくりではないか!そういう意味で、このアイデアは実に理にかなったものであると思う。松下さんの演奏は、ライヴならではの疵がいくつか散見されるものの、中音域~高音域の響きが実に美しく感じられた。実演で聴いてみたいと思った。

2011/03/07

Clover Saxophone Quartet "Precious"

先日のクローバー・サクソフォン四重奏団の演奏会の時に、会場で購入したCDである。待望のセカンドアルバム…のはずだが、そういえばまだファーストアルバムを手に入れていない(!)。版元も大きいし、いつでも手に入るだろうと油断しているせいで、購入が先延ばしになってしまっているのだ。というわけで、録音媒体としてはセカンドアルバムが初聴きとなった。ちなみにこのアルバム、なんとレコード芸術「特選盤」、音楽の友「今月の推薦盤」、読売新聞「推薦盤」に選ばれたそうだ!

「Precious(King Records KICC 909)」
J.B.サンジュレ - 四重奏曲第1番作品53
A.デザンクロ - 四重奏曲
F.シュミット - 四重奏曲作品102
J.S.バッハ/伊藤康英 - G線上のアリア

サンジュレ、デザンクロ、シュミット、そしてアンコールとして配置された「G線上のアリア」という王道のプログラムからして、メンバーがこのアルバムにかける気合いの大きさを感じる。また、クローバーSQの実演の素晴らしさを知っている私からすれば、この並びを見るだけでワクワクしてしまうというものだ。

収録されている演奏も、期待通りである。サンジュレの冒頭から、極上の音色と均整のとれた楽器間バランス、そして豊かな音楽性などに安心して身を委ねることができる。先日の演奏会でも演奏された第4楽章が好きだなあ…。この時代のサクソフォンでこそ、敢えてサンジュレを演奏する意味があるのだという主張が聴こえてくる。往年のフレンチスタイルな演奏も好きだが、これはこれで良いなあ。

デザンクロは、第1楽章がかなりアグレッシヴな感じで始まり驚かされるが、隅々まで神経を行き届かせた構成に感心する。どちらかというと、第1楽章の主題提示部はユルフワ系(なんじゃそりゃ)が好きなので、ちょっと自分の趣味からは外れるかな。展開部はかなりそのアグレッシヴさが良い方向に働いていると感じたのだが。第2楽章で、朧気な音色とともに長いフレーズをじっくりと歌っていくあたりはさすがである。第3楽章のめまぐるしく曲想が変わる様子を、こちらも見事に表現している。

Thunderさんが絶賛していたシュミット。いや、これも凄いですよ。第1楽章は(誤解を恐れず言えば)初めて聴くような解釈であり、その内面を掘り下げるような激烈なフーガにおののいた。シュミットは、デファイエ四重奏団の演奏を度外視とすれば、Syrinx Saxophone Quartetの演奏がこれまでのベストだったが、私の中ではそれと同格かそれ以上の録音かもしれない。特に第3楽章のようなゆっくりとした部分では、クローバーSQに軍配が上がりますね。

ということで、この時代にサンジュレ?デザンクロ?シュミット?とか思っている方には、ぜひ聴いてみてほしいと思う。現在は、Amazon等で購入可能である。

2011/03/06

TsukubaSQの練習など

今日の午後は練馬総合教育センターにてTsukuba Saxophone Quartetの練習だった。午前や夜間の練習が、通常の練習施設だと概ね3時間~3時間半といった枠であるのに対し、午後枠はほぼ4時間。休憩を挟みつつも、じっくりと練習することができた。

しかし難しい曲は難しい。目下、一番苦労しているのはやはり「タルカス」かなあ。そもそも管楽器で演奏することを前提としていない繰り返しや跳躍と、摩訶不思議なスケール&コード進行など、練習しても練習してもなかなか染み付いていかない部分が多い。4/30のサクソフォン交流会で演奏する予定なので、上手く付き合っていかなければならない。

あとは、J.S.バッハ/伊藤康英「シャコンヌ」と、吉松隆「Atom Hearts Club Quartet」と…5/22の演奏会に向けて、なかなか大変な状況になってきた。合わせの回数が少ないのはしょうがないので、そのなかで何をやっていけるか、どこまでレベルを引き上げられるかの最適解を見つけ出していくしかない。

ZOOM H1を使ってみた

練習時はこれまでiriver clix2の内蔵モノラルマイクを利用して録音していたが、それなりにきちんと使える(例えばサクソフォーン協会の録音審査用とか)レコーダーが欲しいと思い、いくつか候補を挙げて探していた。とは言っても、プロフェッショナル用途で必要であるというわけではなく、ウン十万円の超高音質ナントカみたいなものは必要ないとも思っていたため、どの辺を落としどころにするかが悩みの種であった。

結局購入したのがZOOM H1というリニアPCMレコーダー。なにがすごいって、Amazonあたりで9000円ちょっとというその安い価格である。多くのリニアPCMレコーダーが20000円台からという中で、最初はこんな価格でマトモに録れるのか?とも思ったのだが、各所で聴くことのできるサンプルやデモを聴いて、これならいけるかもと思い購入に踏み切った。

第一印象は、写真のとおりにとにかく小さいということ。外装の箱もかなり小さくて驚いたのだが、本体の小ささの印象はさらに強い。長さが14センチ未満。もちろん非常に軽い。マイクは華奢に見えるが、きちんとガードが付いており安心感がある。実際に録音してみた印象はというと…サクソフォン四重奏を録ってみたのだが、LR分離がやや弱いものの(これはしょうがない)、まんべんなく高音域から低音域まで録れており、十分使えると思えた。おそらく、クラシックの室内楽にはかなりマッチするのではないかな。eneloopを使って利用しているが、電池の持ちも、それなりに良い。

不満点をいちおう書いておくが、「側面のボタンが安っぽく押しづらい」「風切音が入る:ローカットもあまり効き目なし」「液晶の表示速度が遅い」以外は満足である。つまり、基本機能としてはほとんど問題ないのだ。

リニアPCMレコーダーの世界では、廉価版だがそれなりの性能を持つものが少しずつ登場しつつあるようだZOOM H1はその草分け的存在だと思うが、近日中に発売予定となっているTASCAM DR-05も同じコンセプトに基づく製品で、今後ますます廉価版のラインナップが充実してくることが予想される。例えば、普段の練習にはZOOM H1かDR-05、きちんと録りたい時にはZOOM Handy Recorder H4nとかTASCAM DR-100とRODE NT5マイクあたりを組み合わせて使う、というような状況に応じたソリューションが流行るだろう。

2011/03/05

幸区でサクソフォニー本番

というわけで、本日はサクソフォニー関東の本番@さいわい区民音楽祭、だった。11時に集合して、フィナーレステージ(出演者全員で「かわさきの音色」の合唱)の練習、そして音出し、お昼ごはん、リハーサルとやっていたら、あっという間に本番の時間。

J.ヴァン=デル=ロースト - アルセナール
L.バーンスタイン - ウェストサイド・ストーリーより

リハーサルでは、ともすれば爆発しようとする音量、テンポ、音色等々との戦いだったが、実際にステージに乗ってみるととても端正な演奏をこなすことができたと思う。さすがに「ランブル」と、「アメリカ」の後半部分ではバタついてしまったが…。やっぱ指揮のagitato氏のまとめかたはすごい…本当に勉強になる(毎回、出た言葉の出来る限りをメモって持ち帰っているのだ)。

諸事情により打ち上げは出られず。うーん、打ち上がりたかったなあ(>_<)

今日はさいわい区民音楽祭

今日は、サクソフォニー関東のメンバーとしてこれに出ます。

【さいわい区民音楽祭 ~しあわせコンサート~】
日時:2011年3月5日(土)13:30開演
会場:幸市民館大ホール
料金:入場無料
プログラム:
南河原中学校 吹奏楽部 - 地元幸区の中学校による吹奏楽演奏
Prhythm(プリズム) - カバー曲を中心としたアカペラコーラス
山田一博 with OUGA - インド音楽など、民族楽器での演奏
Saxophony Project KANTO - サクソフォンオーケストラ
コーロ・フィオーリ - 女声コーラスグループ
岩見淳三トリオ with YAYOI(ゲスト)

サクソフォニー関東は、J.ヴァン=デル=ローストの「アルセナール」と、L.バーンスタインの「ウェストサイド・ストーリー(抜粋)」を演奏予定。さて、そろそろ準備をしなければ。

2011/03/03

東邦音楽大学サクソフォーンアンサンブル第21回定期演奏会

今日はサクソフォニー関連の話し合いだったが、仕事がおして行けず…(>_<)

今日は、昨日伺った演奏会について感想を書こう。

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ということで、佐藤淳一さんからご案内いただいて伺った。さすがに平日18:30開演は間に合わず、一曲目をロビーにて聴き、二曲目から聴いた。あまり意識したことがなかったのだが、文京シビックホールってあんな場所にあるのですね。後楽園という駅で降りたのも初めて、もちろん文京シビックホール(小ホールではあるが)も初めて。フラットな空間に、後方から電動可動式の客席が出てくる仕組みのようだ。

【東邦音楽大学サクソフォーンアンサンブル第21回定期演奏会】
出演:東邦音楽大学サクソフォーン専攻生、佐藤淳一(以上sax)、佐々木雄二(cond)
日時:2011年3月2日(水)18:30開場
会場:文京シビックホール・小ホール
プログラム:
O.レスピーギ - リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲
E.グリーグ - 組曲「ホルベアの時代から」
A.K.グラズノフ - 四重奏曲作品109
A.K.グラズノフ/J.M.ロンデックス - サクソフォン協奏曲(独奏:佐藤淳一、ベーレンライター版日本初演)
P.I.チャイコフスキー - くるみ割り人形
~アンコール~
P.マスカーニ - カヴァレリア・ルスティカーナ

前半のグリーグとグラズノフは、それなりに思い切った表現などもあって若々しさが感じられたが、音符が落ちたり音程がぶっ飛んでいたりで、ちょっと感想は書けない(ごめんなさい)。大学によって、かなりレベル差があるのかなあ、などとも感じてしまった。

休憩時間もなんとなくあまりよい気持ちで過ごせなかったのだが、後半は一転、ちょっと驚いてしまった。別人のような完成度の高さ。また、指揮の佐々木雄二氏のダイナミックな煽りや、佐藤淳一さんの見事な演奏に触発されるように・共感するように、音楽が見事に立ち上がった。グラズノフのバックに聴かれる短いソロも、きちんと演奏されている。

さて、そんな強力なバックを得た佐藤淳一さん。そういえば佐藤さんのロマン派の演奏をきちんと聴くのは初めてかもしれない…のだが、素晴らしかった。音の輝きはやはりサクソフォンオーケストラパートとは数段違う(当たり前か)。各々のフレーズは、自然に沸き上がってくる部分と、明確な論理に裏付けられた部分を、調度よい割合で混合しているように思える。佐藤淳一さん自作のカデンツァも演奏され、後半からはこれでもかというくらい煽る煽る。すごかった。

最後は、「くるみ割り人形」。こちらもとても楽しく聴くことができた。「くるみ割り人形」という曲を良いなと思ったのは、もしかしたら今回が初めてだったかもしれない。今回は東邦音楽大学のオリジナル編曲だったようだが、曲ごとに見せる多彩な表情の変化を感じ取ることができた。こちらでの佐々木雄二氏の指揮も、目一杯の表現を全身で表現するようなもので、実に面白い。なにはともあれ、指揮者と演奏者のお互いの共感は、聴き手にも充実感を与えるものだ。

2011/03/02

大西智氏さんのリサイタル

今日は東邦音楽大学の演奏会に伺った。こちらの感想は明日に回し、まずは昨日のことについて。

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昨日は大西智氏さんの演奏会のお手伝いに伺った。午後2時過ぎには会場入りして、リハーサルを拝聴。デニゾフ、ヴィラ=ロボスなど聴き、さらに続いてヴァイオリンとサクソフォンとピアノのリハーサルなどを聴いた。現代作品が多いが、サクソフォンの音色が美しいせいでストレスは感じない。また、トリオ編成は三人それぞれに見事な音楽を奏でていた。ピアノとの合わせでは大西さんは若干ナーバスな感じだったが、トリオではかなり吹っ切れていたような。ヴァイオリンの中村ゆか里さん、ピアノの成田良子さんも、素晴らしいプレイヤーだ。

リハーサル後、インタビューの予行演習。何となく長かったのでいろいろとカット。しかし、こんな素敵な音楽に、自分なんかが(インタビュアーとはいえ)くっついて良かったのかしらん。…その後開演まではフラフラと過ごす。大西さんのご家族お手製の、楽屋に置いてあったおにぎりやお菓子が美味!また、裏方の手伝いで小川卓朗さんと松下洋さんがいらっしゃっていたので先日の洗足卒試(首席松下さん、次席小川さんだったそうな)の映像など見せてもらっていた。

【大西智氏サクソフォンリサイタル】
出演:大西智氏(sax)、中村ゆか里(vn)、成田良子(pf)
日時:2011年3月1日(火曜)19:00開演
会場:大泉学園ゆめりあホール
プログラム:
E.デニゾフ - ソナタ
S.ローロフ - リット・リズム
H.ヴィラ=ロボス - ファンタジア
棚田文則 - ミステリアス・モーニングIII
I.ゴトコフスキー - トリオ
J.C.アンリ - リード、弓、ハンマー

前半は客席で。やはりフランスで学ばれたということもあり、音色や発音のコントロールはちょっと日本人ばなれしている。サクソフォンを学ぶために留学して獲得するスタイルにはいろいろとあると思うのだが、大西さんはかなり大きい割合でフランスの風を持ち帰ってきているようだ。デニゾフの第二楽章などは非常に良い方向に働いているように感じた。

ローロフは、個人的には前半一番のヒット。ちょっと聴いただけでは想像がつかない無伴奏サクソフォンのためのスコアだが、外見は明らかにロックである。構成感がいいよなあ。クライマックスでここぞとばかりに使われる打撃音も楽しい感じ。大西さんの演奏も、なかなかキレているような印象で、とても聴き応えがあるものだった。こういう内面を掘り下げた演奏が好きだ。そういう意味では、ヴィラ=ロボスはちょっと自分の好みではなかったかな。普段から、もっとガツガツしたリズミカルな演奏を聴いているせいかも。

第一部最後は、「ミステリアス・モーニングIII」を即興ダンスとの共演で。なんだかダンスにばかり目がいってしまって、後半はあまり演奏を聴いている余裕がなかったのだが、そう、その白井さんのダンスの凄かったこと!暗闇のなか客席後方から登場するや、驚異的な身体コントロールとともに会場を縦横無尽に駆けまわる。クラシック・バレエのバックグラウンドを持つ方であり、時に信じられないような動きも交えながらフィニッシュ。いやあ、凄かった。身体コントロールの難しさという点では「ミステリアス・モーニングIII」とも通じる部分があって、この共演はとても互いにマッチしていると感じた。

後半は舞台裏に引っ込んでおり、まともに聴けていないため感想は書けないが、やはりゴトコフスキーの「トリオ」が強い印象を残したようだ。いかにも、というゴトコフスキー節を、畳み掛けるように聴かせる20分は、非日常の最たるものだろう。大西さん、成田さんはもちろんだが、やはりというかヴァイオリンの中村さんが驚異的な演奏をするのですよ。三つの元素から成る化学反応により、いやはや実に素晴らしいパフォーマンスが展開された。アンリ「リード、弓、ハンマー」は、ほとんど日本初演ではないかと思えるが、こちらも集中力の高い名演だった。

アンリの後にステージ上に出ていってインタビュー(たぶんなんとかなった)。続いてアンコールは、イベールの「二つの間奏曲」から第一楽章を、再びダンスと一緒に。

終演後、出演者の皆さんで撮った写真がこれ。みなさん、いい笑顔だなあ。打ち上げもご一緒させていただいた。こちらも大変楽しかった!最後は終電を逃し「最寄り駅」から徒歩25分の後になんとか帰宅できた(苦笑)。