ジェラルド・マクリスタル Gerard McChrystal氏が参加したアルバム。イギリスのサクソフォン奏者であるマクリスタル氏は、「meeting point(Silva)」を始めとしたいくつかのソロCDをリリースしているが、オムニバスアルバムにふと名を連ねることも多い。有名な一枚に、トゥルトゥリエがアルスター管弦楽団を振ったドビュッシー作品集における、「ラプソディ」への参加があるが、あまり知られていない、2つのアルバムを紹介しようと思う。
John T. Metcalfe作品集「METCALF: In Time of Daffodils / Paradise Haunts… / 3 Mobiles(Signum Classics SIGCD103)」。ここでマクリスタル氏は、グラント・レウェリン指揮BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団とともに「3 Mobiles」というサクソフォン協奏曲を演奏している。
聴きやすい感じで始まるのだが、始まったと思ったら、あれ?もう終わり?と驚いてしまうくらいの小品。実際、3分、8分、3分と、巷のサクソフォン協奏曲と比べたら急速楽章のボリュームが小さめなのである。ちょっとミニマル風のテイストも含まれた純粋なクラシック音楽のひとつなのだろうが、まあ聴いても聴かなくても良いかな(苦笑)。マクリスタル氏の演奏は、もちろんハイクオリティ。
上のアルバムに比べたら、作品としてはこちらのほうがずっと面白いだろう。シアラン・ファレル作品集「Perfect State(RTE lyric fm RTECD113)」。ジャケットが美しいのもポイント高し。ここでは、ソプラノサクソフォンとギターの共演、そして弦楽四重奏との共演を披露している。
ギタリストは「Pluck Blow(Meridian)」でもおなじみの"おぐでん"氏こと、クレイグ・オグデン Craig Ogdenである。吉松隆「天馬効果」のシャンドス・レコーディングでも大活躍なのはご存知のとおり。弦楽四重奏のほうは、イギリスの著名な室内楽団のひとつ、Smith Quartetだ。
それはさておき、まずソプラノサクソフォンとギターの音色が実に良い!音量バランスを心配される向きもあるだろうが、マクリスタル氏の優しく美しい音色はギターとの共演にぴったりで、バランスが悪いと感じるところはまったく無い。「シャノン組曲」というアレンジ作品だが、少し民族音楽風の印象も残しつつ、サクソフォンもギターも快活に動きまわるのだ。聴いていて実に楽しい作品であり、かつマクリスタル氏のサクソフォンを堪能できるという点で、おすすめしたい。
…が、ここまで書いてはたと気付いた。「シャノン組曲」って、「Pluck Blow」に含まれているじゃないか!
次に、弦楽四重奏との共演は「The Pilgrim's Return」であるが、すこしシリアスな響き、しかしものすごい畳み掛けるようなフレーズの音楽で、圧倒されてしまった。こちらも大変オススメできる。同じ作曲者ながら、ずいぶんと違う響きであり、その差を楽しめるのも良いな。
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