Marcel Mule: His Life & the Saxophone内の記述で、ダニエル・デファイエについて触れられている部分を訳してみた。
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ドイツの指揮者・オーケストラについて、他になにか特別な思い出はありますか?
私は多くのオーケストラで演奏しましたが、時折ドイツの指揮者とも共演しました。その中のひとりが、ヘルベルト・フォン・カラヤンで、彼がまだ30歳のときにラヴェル「ボレロ」を一緒に演奏しました。彼は心から我々のサクソフォンの演奏について驚き、喜んでくれました。今日では、ベルリン・フィルハーモニックで重要なサクソフォンパートがある時、カラヤンはダニエル・デファイエを呼んでいます。
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時折、サクソフォンの音について、いわゆるフランスの音、だとか、アメリカの音、といったカテゴライズがなされることを耳にしますが、それについてどう思いますか?
その考え方は誤っており、サクソフォンを真に学んだ奏者はそのような分類を使いません。それに関連して一つお話をしましょう。1970年のジュネーブ国際コンクールのサクソフォン部門での出来事です。多くのフランス人奏者のみならず、アメリカやカナダといった他の国からも奏者が参加しましたが、フランスの奏者は良い結果を残せず、アメリカやカナダの奏者が良い結果を残しました(注:最高位はアメリカのジャック・クリプル)。私はこれについて、演奏時の身体の方向と関連があると考えました。デファイエ教授に、彼の生徒が審査員の方を直接向かず、45度身体の方向を変えるよう、示唆したのは私です。しかし、コンクールを聴きに来ていた地元の批評家が、ジュネーヴの新聞に書いた記事には、音の違いはフレンチ・スクールとアメリカン・スクールの違いから来るものだと書いていました。(…後略)
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ピエール・ブーレーズと仕事をしたことはありますか?
いいえ、ありません。しかし彼を良く知っています。(…中略…)最近ダニエル・デファイエに教えてもらったことにより、私はとても勇気づけられました。デファイエは、ブーレーズ指揮でアルバン・ベルクの「ルル」を吹きました。ブーレーズがデファイエに曰く「このように演奏される時にこそ、私はサクソフォンをとても好きになる」とのことです。このコメントは、奇妙でありつつも勇気づけられます。まずはじめに「ルル」のサクソフォンパートは極めてメロディックなものなのです。ブーレーズはこれを好きだ、と言ったのです!翻って、彼がそれよりもサクソフォンが貧弱に演奏されることを聴いたことがあるということをも暗示するのです。彼はデファイエに、サクソフォンの作品を書く、とまで言いました。もしかしたら実現するかもしれません!
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たくさんの作品があなたのために書かれました。いくつくらいあるのですか?
数えたことがありません。そして、楽譜ももはや所持していません。多くの楽譜は、引退のときに、ダニエル・デファイエなど、元生徒たちにあげました。私はこれらの作品を演奏しないのだから、楽譜を持ち続ける理由が無かったのです。