KAIROSレーベルより、大石将紀氏をフィーチャーした、細川俊夫氏のサクソフォン作品集「Light an Darkness」が発売された。演奏者は他に、宮田まゆみ(笙)、イルゼ・イーレンス(ソプラノ)、吉野直子(ハープ)、大宅さおり(ピアノ)、葛西友子(打楽器)。武生国際音楽祭にゆかりの深い奏者による布陣。
私が細川俊夫氏のサクソフォン曲に初めて触れたのはクロード・ドゥラングル氏の演奏による「Vertical Time Study II」であり、その後もヨハネス・エルンスト氏演奏の「サクソフォン協奏曲」、ドゥラングル氏演奏の「3つの愛のうた」などを録音で聴いた。魅惑的な作品が多いが、氏のサクソフォン作品集は初めてだと思われる。
「Vertical Time Study II」など、聴き慣れた曲は、大石氏のしなやかなサクソフォンによって耳を洗い直され、ドゥラングル氏との解釈の差分を面白く聴くことができる。笙とサクソフォンのための「明暗」やハープとサクソフォンのための「弧の歌」など、初めて聴く細川氏の編成の作品では、音色のブレンドや楽器間のインタープレイに、じっと聴いていると「細川氏の独特の節まわし」のようなものが感じられてくるのが面白い。
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以前、「3つの恋のうた」の題材となった短歌について、自分なりに調べて解釈した現代語訳を載せておく。
【暗きより 暗き道にぞ 入りぬべき はるかに照らせ 山の端(は)の月 - 和泉式部】
歩けば歩くほどに、暗い暗い中に迷い込んでしまいそうだ。山の端の月よ、どうか行く先を照らしてくれ。※ここでの「暗き道」とは、「煩悩の道」のことをも言っているそうだ。
【あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな - 和泉式部】
私は間もなく死ぬだろうが、せめてものこの世の最後の思い出に、あなたにもう一度だけ会っておきたい。
【物おもへば 沢の蛍も 我が身より あくがれいづる 魂(たま)かとぞみる - 和泉式部】
恋に悩めば、沢に飛び回るほたるも、私の身体から抜け出していくたましいではないかと思えてしまう。
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