2011/09/30

伊豆へ

久々に(ほんと久々に)有給休暇を取って、二泊三日で家族と伊豆に来ています。いやー、充実した一日目だった(*^∀^*)

(メールの返信等、少し遅れるかもしれません)

木下直人さんから(デファイエの超レアPathé盤)

以前ブログでご紹介したフェルナンド・ウーブラドゥ・コレクションは、実はダニエル・デファイエが参加したサクソフォンの部分について注目してみると完全盤ではなかったという。件のLPに収録されていたのは:

Yves Lagaziniere - Ronde
Rene Vuataz - Incantation
Ivan K.Semeno - Giz-Fizz
René Herbin - Danse

の4曲だったが、実際に録音されたのは、この4曲に加えてプラス1曲の5曲だったそうだ。その残りの1曲が、

Charles Cushing - Hommage a A.Roussel

である。サクソフォンの単独版としては、Pathéの45回転レコードとして存在しており、「45 G 1052」という型番が付与されている。オモテ面には、

Rene Vuataz - Incantation
Ivan K.Semeno - Giz-Fizz

の2曲が、ウラ面には、

Yves Lagaziniere - Ronde
Charles Cushing - Hommage a A.Roussel
René Herbin - Danse

の3曲が収録されている。演奏時間としては、全体を通しても、10分に届かないくらいだ。
ちょっとスキャナの調子が悪いため、デジカメでラベルを撮影してみた…。


サクソフォンはダニエル・デファイエ、ピアノはフランソワ・ゴベである。45という回転速度のせいだろうか、いくつかのデファイエの33回転盤よりも、ぐっと眼前に迫るようなリアルな感触だ。音のアタック、ヴィブラート一つ一つに意識が引き寄せられる。もちろんそれだけではなく、木下直人さん所蔵の狭量な復刻環境によるものもあると思うのだが…。ああ、またご自宅に伺って、あの再生環境での音に溺れたい!

そろそ、自分の部屋にもそこそこの再生環境を整えないとなー。上を目指せばキリがないのだが、20万円くらいで…となると、どのような組み合わせが良いのだろうか。もしくは、最初はスピーカー、次はアンプ、と順番に揃えていくのが良いのだろうか。

と、話が逸れたが、こんな素晴らしい演奏と復刻ならば、ぜひみなさんに聴いてもらわなければ。興味がある方は、kuri_saxo@yahoo.co.jpまでご連絡を。

2011/09/28

いろいろなプログラム冊子

実は、昨日ご紹介したサクソフォン・コングレスのプログラム冊子にも、京青さんからいくつか面白いプログラム冊子のコピーを送っていただいたのでご紹介したい。とりあえず、リサイタル開催の日付順に…。

【'90 雲井雅人サクソフォーンリサイタル】
1990年1月22日@津田ホール、1990年1月24日@宝塚ベガホール、1990年2月23日@名古屋電気文化会館。京青さんが聴いたのは、宝塚ベガホール。服部吉之氏、服部真理子氏との共演でのリサイタル。「私的な演奏メモ」と題された曲目解説…というか、エッセイが面白い。服部先生も、ベルノーのソナタについて書いている!そうそう、デファイエ氏から一日だけという約束で自筆譜を借りて、当時珍しかったコピー機をパリで探しまくってなんとか楽譜を手に入れた、という話を思い出した。
J.P.オルステン - 不遜な組曲
F.プーランク/服部吉之 - トリオ
A.ベルノー - デュオ・ソナタ
J.S.バッハ/雲井雅人 - ソナタト短調
I.ダール - 協奏曲

【須川展也サクソフォン・リサイタル】
1990年2月16日@森の宮ピロティ小ホール。…ってどこだ?関西であることには間違いないのだが(情報をいただきました。大阪城近くのホールだそうです。関西では名の知れたホールだそうな)なんと強烈なプログラム…今の須川さんが、こんなプログラムでリサイタルを開いてくれたら嬉しいのだが。プログラム冊子の解説はおなじみ、磯田健一郎氏。クラシックサクソフォン初心者に向けて書かれた「サクソフォンのこと」と題されたエッセイが実に面白い。
伊藤康英 - ラモーの主題による変奏曲
D.ミヨー - スカラムーシュ
J.イベール - コンチェルティーノ・ダ・カメラ
E.グリーグ - 抒情小曲集より
P.M.デュボワ - ディベルティスマン
E.デニゾフ - ソナタ

【D.ドゥファイエ サクソフォンリサイタル】
日付・会場不明…ただ、おそらく昭和音楽大学を含むいくつかの会場で開かれた、1992年の最後の来日ツアー用のプログラム冊子だろう。京青さんが聴かれたのは、宝塚ベガホールでのリサイタル。不思議なのは、ピアノの岡崎悦子氏の名前の紹介が無いこと…。裏表紙には、セルマーサクソフォンを持ったデファイエ氏が!ちょっと衝撃。このリサイタルについては映像を持っているが、70歳とは思えない強烈な演奏が印象的だ。
P.ヒンデミット - ソナタ
J.シャルパンティエ - ガバンボディ2
I.ゴトコフスキー - ブリランス
P.M.デュボワ - 5つの性格的小品
C.ドビュッシー - ラプソディ
L.ロベール - カデンツァ

【第13回サクソフォンフェスティバル】
1994年5月29日@伊丹アイフォニックホール。これって、日本サクソフォン協会関西支部のフェスティバルなのだろうか?赤松二郎氏を中心とし、大城正司氏、篠原康浩氏をゲストに迎えた、手作り感満載のコンサート。うーん、こんな時代があったのだなあ。井上麻子さん、西本淳さんは、学生として大阪音楽大学のラージアンサンブルにクレジットされている。あれ?A.H.さんがいない…?
ちなみにこの翌年、阪神淡路大震災が発生して、しばらくフェスティバルが開けなくなったとのこと…。

【コレジオ・サックス四重奏団第1回演奏会】
1998年7月8日@愛知県芸術劇場中リハーサル室。雲井雅人氏率いる、コレジオの第1回演奏会ですよ、第1回!ちょっとレアな感じ。なんとなく、今の雲井雅人サックス四重奏団のプログラミングに通じるものを感じる。メンバーのプロフィールがおもしろすぎる。雲井雅人(ssax)、小山田和美(asax)、渡邊愛子(tsax)、真室香代(bsax)。
P.アルマ - 小組曲
A.ピアソラ - タンゴの歴史
M.ナイマン - ソングス・フォー・トニー
織田英子 - 東回りの風
C.パスカル - 四重奏曲

2011/09/27

第9回世界サクソフォン・コングレス@川崎のプログラム冊子

紹介すべきものが、どんどんとたまっている(^^;
Tさんから送っていただいた昔のバンドジャーナル、木下直人さんから送っていただいたダニエル・デファイエの超レアミニアルバム(たぶん知っている人はほとんどいないだろう)等々。順にご紹介していくので、お楽しみに。

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著名なアマチュアサクソフォン奏者のひとり、京青さん(Nさん)から、1988年に日本で行われた第9回サクソフォン・コングレスのプログラム冊子のコピーを送っていただいた。貴重な資料をお送りいただき、この場を借りて改めて御礼申し上げる。

1988年か…たぶん保育園にも入っていなかった時期で、思い返すどころの時代ではない。そんな頃に、川崎でとんでもないイベントが開かれていたんだなあと、まあこれは想像というか夢というか、私にとってはそんな域を出ないのだ。だが、確かに、デファイえ四重奏団やロンデックスが協奏曲を吹き、クリスチャン・ロバが来日し、須川展也氏やアルモSQが全世界の賞賛を受けた、そんなイベントがあったことが、しっかりと記録されている。

一枚一枚ページを捲るたびに、新鮮な驚きが。さすがに全てを挙げていくわけにはいかないが、例えばロンデックスが指揮を振ったEnsemble international de Bordeauxのメンバー。あの驚異的なソプラニーノは、若き日のフェデリコ・モンデルチだったのか!とか、佐々木雄二氏以下、国内の主要なロンデックスの弟子たちが参加しているぞ、とか。実は、NewYork Saxophone Quartetが来日していたんだ!とか。フルモー四重奏団が、ベルノーの全曲を吹いていたんだ、とか。

当時、まだまだセkしレベルには達していなかった日本のサクソフォン界が、フランスに追いつこうと躍起になっている時代の空気を感じた。プログラムに直接書かれた、著名奏者のサインが妙にリアルである。当時このコングレスに参加していた奏者たちが予期した未来と、現代の日本のサクソフォン界は、どのような違いがあるのだろうか。コングレスの開催を待たずして白血病で亡くなった大室勇一氏は、現代の日本のサクソフォン界を見て何というだろうか。ふと、そんなことを考えてしまった(そんなことを考えさせてしまうだけの力が、この資料にはあるということだ)。

2011/09/26

モレティ氏演奏会のご案内

先日、ファブリス・モレティ氏の演奏についてブログ記事に取り上げたが、そのモレティ氏(たぶんいつも通り服部先生の招きで)今年も来日するそうだ。いつもは旧奏楽堂で開催されているが、今年はなんとルーテル市ヶ谷!また違った印象で聴こえそう。

モレティ氏の演奏は、マルセル・ミュール~ダニエル・デファイエと続いたサクソフォンの正統的フレンチ・スクールの演奏を、最良の形で現代に伝えるものだ。ぜひ、サクソフォンの人だけでなく、他の楽器の人(クラシック音楽ファン)にも聴いてほしいのだが、良い宣伝の方法はないものだろうか。

プログラム的に見ると、カントルーブの「オーヴェルニュの歌」がオススメ。伊藤康英先生の見事なアレンジは、まるでオリジナル曲のように響く。こんなメロディの宝庫がサクソフォンにあるなんて、幸せなことだ!

【ファブリスモレティ サクソフォンリサイタル】
出演:ファブリス・モレティ(sax)
日時:2011年11月15日(火) 19:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷
料金:一般\3,000、高校生以下\2,500(※当日券は各500円増)
主催:デュオの会
後援:鈴研音楽会
プログラム~:
J.S.バッハ - ソナタ第6番
P.M.デュボワ - フランス組曲より
C.ドビュッシー - ラプソディ
A.マルチェロ - 協奏曲
H.ヴィラ=ロボス - ファンタジア
J.カントルーブ/伊藤康英 - オーヴェルニュの歌
問い合わせ:
080-1208-6390(デュオの会:服部)
090-2921-4806(鈴研音楽会:鈴木)
musique_et_aimer「@」mail.goo.ne.jp(スパムメール防止のため@にカッコをつけています)

2011/09/25

That's Saxophone Philharmony 第7回ソロ・アンサンブルコンサート

ということで、That's Saxophone Philharmonyさんの演奏会にTsukuba Saxophone Quartetとして、ちょこっとだけ出演してきた。昨年に引き続きお声がけいただき、この場を借りて改めて感謝申し上げる次第。

朝からホールに入って、さらったり、笹飴食べたり、さらったり、休憩したり…。ラージアンサンブルでは、フェルヘルストの「A Song for Japan」に乗せてもらえた!いつか演奏したい曲だったので、感激だ。ラージの後は、ステージでTsukuba Saxophone Quartetのリハーサル。うーん、この不思議と響く感じ、久々だなあ。リハーサルが終わってお昼ごはんを食べていると、あっという間に開演時間。

【That's Saxophone Philharmony 第7回ソロ・アンサンブルコンサート】
出演:That's Saxophone Philharmonyメンバー、Espoir Saxophone Orchestra(ゲスト)、Tsukuba Saxophone Quartet(ゲスト)
日時:2011年9月24日(土)14:00開演
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟・小ホール
料金:入場無料
プログラム:
[ソロ・アンサンブル]
J.ドゥメルスマン - ファンタジー
長生淳 - 天頂の恋
正門研一 - イマージュ~サクソフォーン四重奏のために~
福田洋介 - ガラスの香り
H.ジマー - サークル・オブ・ライフ
東海林修 - Disco Kid for 4 Baritone Saxes
[ゲストステージ]
M.ラヴェル - 弦楽四重奏曲より第1楽章(TsukubaSQ)
A.ピアソラ - 乾杯(TsukubaSQ)
J.デュフリ - ラ・デリクール(EspoirSO)
広瀬勇人 - 春の小径(EspoirSO)
[ラージアンサンブル]
伊藤康英 - チャイコフスキアーナ
伊藤康英 - Fantasia Classica
S.フェルヘルスト - A Song for Japan

普段ラージアンサンブルとして活動している団体だが、ソロやアンサンブルを吹いても上手いのは反則だ(笑)というか、ソロやアンサンブルで演奏会が成り立ってしまうのなら、秋季定期演奏会として聴いてしまいたいくらい…(That'sさんは、普段4月にサックスオケ編成での定期演奏会を行っている)。アマチュアで、ソロやデュオをこのクオリティで仕上げられる人が、いったい何人いるのだろうか。

途中まで聴いて準備のため退出(「ディスコ・キッド」はできれば客席で聴きたかったが…)。休憩を挟んでTsukuba Saxophone Quartetの演奏。ラヴェルは、リハーサルなどではまあまあ上手くいっていたのだが…ドン!と音を出して、その勢いで最後まで行ってしまえるような曲ではなく、事故多発。うーむ、これは難しいかも。ピアソラは、予定調和のごとく勢いで駆け抜けた。

自分たちの演奏の後、楽屋に戻って少し休んだ後、そのままラージの準備。舞台裏で聴いた「古典幻想曲」が、なんだか妙に印象的。伊藤康英先生のメロディは、私にとってはやはり特別なものなのであると思う。最後に「A Song for Japan」の演奏に乗って、幕。この演奏はYouTubeにもアップロードされるとのことで、楽しみである。

演奏会の後は打ち上げ!結局二次会まで参加してしまった…いやあ、それにしても楽しかったなあ。帰ってきてカメラのSDカードを覗いたら、所々におかしな写真が(笑)。また皆さんとご一緒できるのが楽しみ!

J.B.Singelee "Duo Concertant"の楽譜

That'sさん演奏会出演の詳細はまた書く予定。打ち上げは二次会までお邪魔してしまった(楽しかった!)。

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昨日の飲み会で話題になった楽譜:Jean-Baptiste Singeleeの「Duo Concertant, Op.55」の楽譜は、アンリ・ルモワンヌ社からの出版。ざっと探したところ、下記サイト等で見つかった。また、国内のいくつかの販売店(アクタスの通販サイトなど)での取り扱いを見つけた。

ただ、「在庫有り」となっているところが無いのが気になるなあ。もしや版元在庫切れなのだろうか。

http://www.sheetmusicplus.com/title/Duo-Concertant-Op-55/19471279
http://www.partitionsvandoren.fr/product_info.php?products_id=166739&osCsid=dfc1e5a90000e85805a8874bab3d43d5

2011/09/24

昨日と今日

昨日は一日、TsukubaSQ練習。練馬区の総合教育センターにこもって、朝から夕方まで各曲を合わせた。

午前は、本日の演奏用にTさんをバリトンに迎えて合わせ。午後は10/5演奏用の合わせ。練習が終わりに近づく頃には、疲れからか妙に眠くなってしまった。家に帰ってご飯を食べて横になり、気づいたらこんな時間Σ(`□`/)/部屋の片付けをしたかったのに…。

というわけで、これから今日の本番。…8:30集合なので、その前にできるだけ家のことをやろう。お時間ある方はお越しください!


【That's Saxophone Philharmony 第7回ソロ・アンサンブルコンサート】
出演:That's Saxophone Philharmonyメンバー、Espoir Saxophone Orchestra(ゲスト)、Tsukuba Saxophone Quartet(ゲスト)
日時:2011年9月24日(土)14:00開演
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟・小ホール
料金:入場無料
プログラム:
[ソロ・アンサンブル]
・長生淳 - 天頂の恋
・正門研一 - イマージュ~サクソフォーン四重奏のために~
・東海林修 - Disco Kid for 4 Baritone Saxes
[ラージアンサンブル]
・伊藤康英 - チャイコフスキアーナ
・伊藤康英 - Fantasia Classica

2011/09/22

第28回管打コン大賞演奏会の動画(抜粋) on YouTube

先日開催された第28回日本管打楽器コンクールの、大賞演奏会の模様の一部がYouTubeにアップロードされていた。サクソフォン部門の優勝は上野耕平氏、尾高忠明指揮東京ニューシティ管弦楽団との共演である。エドワード・グレグソン「サクソフォン協奏曲」の第3楽章の最終部が抜粋で紹介されている。



うへー、オケがとんでもないことになっている(^^;いくらグレグソンとはいえ、もうちょっと丁寧に弾いてほしいなあ(指揮が的確なだけに、なおさら)。それを差し引いても、ソリストの存在感は抜群。上野氏はこの演奏で特別賞を受賞することになるのだが、それも納得だ。

【演奏会の案内】That's Saxophone Philharmony 第7回ソロ・アンサンブルコンサート

【That's Saxophone Philharmony 第7回ソロ・アンサンブルコンサート】
出演:That's Saxophone Philharmonyメンバー、Espoir Saxophone Orchestra(ゲスト)、Tsukuba Saxophone Quartet(ゲスト)
日時:2011年9月24日(土)14:00開演
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟・小ホール
料金:入場無料
プログラム:
[ソロ・アンサンブル]
・長生淳 - 天頂の恋
・正門研一 - イマージュ~サクソフォーン四重奏のために~
・東海林修 - Disco Kid for 4 Baritone Saxes
[ラージアンサンブル]
・伊藤康英 - チャイコフスキアーナ
・伊藤康英 - Fantasia Classica


週末に迫ったThat's Saxophone Philharmonyさんのアンサンブル演奏会に、昨年に引き続きTsukuba Saxophone Quartetでちょっとだけ出演させてもらうこととなった(いちおうゲスト?扱いらしい。嬉しい!)。バリトンのHさんの都合がつかなかったため、ロッソ等で活躍するTさんにヘルプをお願いしました。…ということで、めずらしいメンバーによるTsukubaSQの演奏が聴けます。

もちろん本編でも、バリトン四重奏版「ディスコ・キッド」があったり、「A Song for Japan」の演奏が予定されていたりと、見どころ満載。ぜひお越しくださいませ。

TsukubaSQの演奏曲目:
M.ラヴェル/鈴木研吾 - 弦楽四重奏曲より第1楽章
A.ピアソラ - 乾杯

モアレ・サクソフォン・アンサンブル第14回定期演奏会

9/18と9/19の2日間、福島県のモアレ・サクソフォン・アンサンブルの演奏会に参加してきた。最初に参加したのが4年前、当時まだつくば市在住の大学生で、おなじみF-Windsさんからのお誘いがきっかけだった。今となっては私自身のサクソフォンでの交友関係は日本各所に広がっているが、当時、このモアレ演奏会へ参加したことで、東北や名古屋方面の友人・知人が増えるきっかけとなったのだった。

4年前、3年前と連続で参加し、2年前は自身の都合で参加できず、1年前はモアレの演奏会自体が開催されなかった。今年はぜひにということで話が進んでいたところに3月の震災が直撃、一時は開催も危ぶまれたそうだが、関係者の尽力によりこうして実現した。私は、今回は8重奏("みずのもりコンサート"でのメンバーとほぼ同じ)、そしてラージアンサンブルへと参加した。

9/18:
自宅を6:30に出発し、電車でつくば市へ。F-Windsさんの車に乗せてもらい、福島へと向かった。途中、常磐道の標識にリストされている"南相馬までの距離"が、マスクされているところなど見かけた。いわき市のジャンクションから磐越道へ、その後東北道へ。渋滞にも遭わず、順調。途中休憩した安達太良SAで、埼玉からいらっしゃったゆうぽんさん夫妻と遭遇!びっくりした。

蓬莱学習センターで前日リハーサル。啼鵬さんを始め、何人かの方々と久々の再会。まずは「Akari Breeze & Sky(啼鵬さん作曲の「てっぱん」の曲)」「紫蘇ダンス」ほか、8重奏を合わせる。ピアノはもちろん啼鵬さん!、そして当日には齋藤たかし氏のドラムも入るとのことで、超豪華!「Akari~」が妙に難しく、焦った…。すでに演奏経験がある「Sister MARU」や「for you...」は、まあなんとかなったか。。。

その後、ラージアンサンブル練習へと移行。啼鵬さんは指揮!北は仙台、南は名古屋まで、なんと総勢30名近くの参加!鎮魂の意味を込めたサミュエル・バーバー「アダージォ」、ピアソラ「Oda para un Hippie」、アルベニス「スペイン組曲」を合わせる。特に「スペイン組曲」はかなりハイレベルな楽譜で、なかなか苦労した。最後に一回通しを行って、終了。

練習の後は、お酒(ほぼ)ナシの前夜祭。イタリアンのお店で、お腹いっぱいになるまでご飯をいただいた。その日は、福島駅西口のリッチモンドに宿泊。かなり新しくて綺麗なビジネスホテルだが、素泊まりで一泊5000円!これは嬉しい価格設定だ。部屋の設備も心地よく使うことができ、次の日に備えてゆっくり休めた。

9/19:
7時に起きて、ゆっくりと出発準備。福島駅の東西連絡通路を通って東口へ、そしてさらに歩いて福島テルサへ。雨が心配されていたが、なんとか天気がもったようで良かった。各種準備のため、ホール、楽屋、音楽室と見て回っていると、なんとなく3年前の記憶が蘇ってきた。ああ、ここはこんな構造だったっけ、とか、楽屋の中のここでお弁当食べたなあ、とか。不思議なのは、舞台裏とステージと客席がどうなっていたかをすっかり忘れていたこと。何かトラウマでもあるのかな(笑)。

八重奏、ラージを順にリハーサル。この日に福島入りした齋藤たかし氏も加わって、昨日からさらに演奏がパワーアップ。八重奏は間近で齋藤たかし氏のドラム、啼鵬さんのピアノやバンドネオンが鳴り響き、実にエキサイティングである。パーカッションのやまーさん(しらこばと音楽団でおなじみ)も参加しているのだが、これまた相変わらずの超高クオリティ…うーむ。すごい。

リハーサルを終え、お弁当を食べていると、あっという間に開場・開演時間。

【モアレ・サクソフォン・アンサンブル第14回定期演奏会】
出演:モアレ・サクソフォン・アンサンブル、啼鵬(cond. bandneon. pf.)、齋藤たかし(dr.)
日時:2011年9月19日 14:00開演
会場:福島テルサ FTホール
プログラム:
広瀬勇人 - 春の小経
A.ボロディン/石川亮太 - だったん人の踊り
J.リヴィエ - グラーヴェとプレスト
長生淳 - 天頂の恋
啼鵬 - along with you
啼鵬 - あかり breeze & sky
NAOTO/啼鵬 - for you...
啼鵬 - Sister MARU
NAOTO/啼鵬 - 紫蘇ダンス
S.バーバー/啼鵬 - 弦楽のためのアダージョ
A.ピアソラ/啼鵬 - ヒッピーへのオーダー
I.アルベニス/啼鵬 - スペイン組曲より
~アンコール~
ラテンメドレー
啼鵬 - 森のくまさん

開演中はめまぐるしくいろいろな曲に乗っていたため(とはいえ、出ずっぱりのkidadahaさんは、なんと全曲乗り…プロ顔負け!)、あまりよく覚えていないのだが、一曲一曲が実にエキサイティングだった。8重奏は(自分が)いろいろとヒヤヒヤだったが、なんとか。全体を通して、特にピアソラの集中力はすごかったなあ。アンコールがきちんとはっちゃけられるのは、サックスならでは。

演奏会終了後は、打ち上げへ。これもまた楽しかった!いろいろとおしゃべりして、たくさん写真を撮ったのだが、そのあたりは全てFacebookでアルバムを作成した。21:15くらいまでしっかり飲んで、21:24の新幹線に乗車し、23:30には最寄り駅へ到着。

長いようで短いめまぐるしい2日間、充実していたなあ。また来年も、ぜひ。

2011/09/21

管打コン慰労会

昨日は、角口圭都さんの管打コン慰労会@新宿。

なかなか濃いメンバーが集まり、楽しかったなー。取りまとめのmckenさん、ありがとうございました。

2011/09/20

モアレ演奏会でした!

いやー、演奏会から打ち上げまで楽しかった。21:15まで打ち上げに参加し、21:24福島発→23:30ちょっと過ぎには自宅着。近くてびっくり!

詳細についてはまた書く予定。写真はFacebook上にアップロードしよう。

2011/09/18

福島入り

早朝に東京を出発し、まずはつくばへ。その後、F-Windsさんの車に乗せてもらって、常磐道、東北道と辿って福島入りした。

様々な方との久々の再会を楽しんだ。今回は、モアレ周辺がきっかけとなって知り合った方だけでなく、その他のお知り合いもたくさんいる。やまーさんとか、ゆうぽんさん夫妻とか、みつえさんとか、たーひらさんとか、しゅんさんとか…(こちらの顔ぶれは、おなじみ)。見渡すと、なんだかサクソフォニーぽくもある。午後から八重奏練習、そして30人規模のラージ練習をこなし、19時からほぼノンアルコールの前夜祭。

啼鵬さんに駅前の宿まで送ってもらって、グダグダしてたらこんな時間。明日は9時か集合…今日は早目に眠ろう。

【演奏会情報】佐藤渉さんのドルチェ・コンサート

いやー、飲み過ぎた…。恵比寿麦酒祭、楽しかった。

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佐藤渉さんから、アルバム「Saxophone Recital」を送っていただいた。これがまた素晴らしいアルバムで、ケックランが~だったり、ウィリアムズが~だったり、デュボワが~だったりと、とにかく書きたいことが多い。ちょっとCDのレビューは先送りにして、まずは24日に開かれるというCD発売記念のドルチェ・コンサートをご案内。

【佐藤渉 CD発売記念サロンコンサート】
出演:佐藤渉(sax)、山崎早登美(pf)
日時:2011年9月24日(土)17:00開演
会場:アーティストサロン Dolce(ドルチェ楽器管楽器アヴェニュー東京)
料金:2000円
プログラム:
N.シェドヴィル - "忠実な羊飼い"からソナタ第6番
C.ケックラン - 練習曲集より
J.ウィリアムズ - エスカペイズ
M.ブルッフ - ロマンス

問い合わせ:
http://www.dolce.co.jp/concert/tokyo/concert-tokyo.html

四重奏のレッスン等で、佐藤渉さんの音を間近で聴く機会がこれまで何度かあった。その音の印象は強烈なもので、今まで聴いたプロフェッショナルのサクソフォン奏者の中では、最も輝かしく響き渡る音である…というようなものだった。CDというメディアでは、その音の印象までを捉えるには至っていないように感じた。これは、録音云々というより、CDというメディアそのものの限界なのかもしれない(SACDモードで完璧な再生環境を整えれば、もしかしたら生で聴く印象に近づくのかもしれない)。

ということで、佐藤渉さんの演奏を生で聴いたことがない方、ぜひ一度ライヴで聴いてみてくださいな。私はあいにく、この日自分の本番であり、伺うことができないのが残念…。

2011/09/15

Fabrice Moretti plays Gotkovsky etc. (音だけ) on YouTube

ファブリス・モレティ Fabrice Moretti氏といえば、ダニエル・デファイエ最後の弟子の一人であり、パリ国立高等音楽院を審査員特別賞を受賞して卒業したサクソフォン史上たった2人のうちの1人(もう一人は、なんとジャン=マリー・ロンデックスだ!)であり、現在ベルリオーズ音楽院の教授であり、第1回のアドルフ・サックス国際コンクールの第3位入賞者であり、ビュッフェ・クランポンのテスターであり…と、まあ書き並べてみるだけでもとんでもなく輝かしい経歴の持ち主であることがわかる。

服部吉之先生と親交が深く(初めてフランスで会ったとき、まだモレティ氏は14歳だったそうだ)たびたび来日したり、レコーディングを日本で行ったりしている。CDも何枚か持っているし、コンサートを聴きに行ったこともある。これまでにモレティ氏について取り上げた記事は、下記の7つ…けっこう多い。

2006年の来日リサイタルについて
2007年の来日リサイタルについて
ダニエル・デファイエの生徒として
モレティ氏参加のヴェローヌ作品集
服部吉之先生のアルバムにゲスト出演
モレティ氏のアルバム「SONATA!」について
リュエフのソナタ名録音

そのモレティ氏が、ゴトコフスキーやクレストンを吹きまくっている演奏をYouTubeで見つけた。残念ながら、映像はなく音だけであるが…。しかし、まずは次の演奏を再生してみてほしい。

イダ・ゴトコフスキー「ブリヤンス」第4楽章


Dorotea Ceiというピアニストとの共演。とにかく速い!ぶっ飛び系で、ところどころミスも散見されるが、音を煌めかせながら目にも留まらぬ速さでフレーズを畳み掛ける。この録音は2002年の録音とのことだが、もしかしたらこれを超える演奏をできる奏者は、2011年現在でもほとんどいないかもしれない。この衝撃は、ダニエル・デファイエ氏や雲井雅人氏が演奏する「ブリヤンス」を聴いたとき以来かもしれない。

他の演奏へのリンクも、下記に用意した。どれも楽しい。
ドビュッシー「月の光」
リュリ「優しい歌とクーラント」
クレストン「ソナタ」第3楽章
ゴトコフスキー「ブリヤンス」第1,2楽章
ゴトコフスキー「ブリヤンス」第3楽章
ゴトコフスキー「ブリヤンス」第4楽章

2011/09/14

Jonathan Wintringham "Walimai"

ジョナサン・ウィントリンハム Jonathan Wintringham氏から、デビューアルバム「Walimai(Wquilibrium EQ98)」を送っていただいた。まずはこの場を借りて改めて御礼申し上げたい。

ウィントリンハム氏は、アメリカと日本で学んだサクソフォン奏者。アリゾナ州立大学でティモシー・マカリスター氏に師事し、学士号を得た後に、来日して雲井雅人氏や須川展也氏他に学んだ。日本への留学期間が終わった後も、坂東邦宣氏らと親交が深く、たびたび来日している。

すでにスタンダードとなったサクソフォン・レパートリー、そして新作(世界初録音を含む)をバランスよく配置して一枚のアルバムとしてまとめ上げている。この選曲感覚は、アメリカと日本の双方で学んだウィントリンハム氏ならではのものであろう。長生淳の「天国の月」作品はおそらく須川展也氏から、ヒンデミットの「ヴィオラ・ソナタ」はおそらく平野公崇氏から、それぞれ影響を受けたものだろう。

Jun Nagao - La lune en paradis
Michael Djupstrom - Walimai
Evan Chambers - Deep Flowers
Graham Lynch - Spanish Café
Evan Chambers - Greensilver (guest: Timothy McAllister)
Paul Hindemith - Sonata

チェンバースの「グリーン・シルバー」にはティモシー・マカリスター氏が、またアルバムタイトルにもなっている「ワリマイ」の演奏には、作曲者自身がピアノで参加している。

長生淳から再生してみたが、とにかく上手い。楽器のコントロールという点で言えば、満足いくレベルを完全に超越してしまっている。現代のサクソフォンCDの流れだ。そして、セルマーのサクソフォンでこのようなふくよかな音色が出るのか、という驚き。最初聴いたとき、YAMAHAのサクソフォンかと思ったほど。これはどのような曲でも一貫しており、ここでも楽器のコントロール能力の高さを思い知らされる。

プログラムの最初を飾る華やかな「天国の月」は、極限までの安定度と、適度なドライブ感。これはもう誰が聴いても文句のつけようがない演奏だ。例えばこのクラスの演奏が今年の管打楽器コンクールの二次予選で演奏されていたとしたら…やはり上へと進んでしまうのだろう。続く「ワリマイ」は、不思議な重心感覚を持つ作品で、ふわりふわりとサクソフォンのフレーズ、ピアノのフレーズが宙を舞ったあと、後半にかけて怒涛の畳み掛けが出現する。

無伴奏曲の「ディープ・フラワー」だが、「Come Down Heavy!」のチェンバース氏作曲ではないか。さすがに無伴奏曲となると、さらに音色のパレット・ダイナミクス幅を増やしてほしいが、これはCDというメディアの限界なのだろう。「スパニッシュ・カフェ」はちょっとピアソラ風なセンスあふれるゆったりとした作品。続く「グリーン・シルバー」では、師匠であるマカリスター氏と丁々発止の、まるで火花が飛び散るような演奏を展開している。実はこのトラックが一番の聴きモノだったりして。

ヒンデミットも強烈な巧さ。ここまでサクソフォンで吹けてしまえば、もはやヴィオラのためだけの作品ではない、とも言えるだろう。ただ、個人的には、「ヴィオラ・ソナタ」はやはり平野公崇氏のような、ある意味音が散っているような演奏が好きだ。平野公崇氏の演奏は、決して手に入れられないものを、ひたすらに足掻いて手に入れているような、そんなギリギリのテンションで演奏されている印象を受ける。対して、ウィントリンハム氏の演奏は、一足飛びでマリオのスーパージャンプのように1upキノコを手に入れてしまいました…のような(例えが変だ)。憧れは憧れのままにしておきたかった、というものに惹かれることもあるのだ。

Amazonでも取り扱っていた。もし入手を希望される方は、こちらから→Jonathan Wintringham "Walimai"

2011/09/13

本日予約開始!サクソフォックス2ndアルバム

The SAXに「2ndアルバムの発売が待ち望まれます…」などと書いたら、このとおり実現してしまった(別にそう書いたから発売された、というわけではない笑)。というわけで、本日より予約開始!タイトルは「サキソフォックスのとっておき」である。

おなじみ、サクソフォックスの4匹(ラトゥール、ラフィット、マルゴー、ムートン)によるポップス曲集。アレンジに高橋宏樹氏、石川亮太氏ほかをフィーチャーしており、第1作と並ぶ超高クオリティのアレンジが期待できる。個人的には、第1作よりも曲目的にツボなものが多く、楽しみだ。「ドレミの歌」「サザエさんメドレー(タラちゃんだかイクラちゃんだかの足音も入っているという噂。ほんとか!?)」「どんぐりころころ」「アンパンマンメドレー」「津軽海峡・冬景色」「ズルい女」「マルサの女」「ルージュの伝言」「茶色の小瓶」「宝島」…あたりが気になる。特に、超名アレンジの「ズルい女」、そしてサクソフォン四重奏で「宝島」だなんてちょっと想像できないくらい。

初回限定仕様として、録音用スコアブック付きのCDが10500円。買ってしまおうか(笑)。18曲の楽譜がついて10000円と考えれば…。購入先のリンクは、こちら。いつの間にやら、ぬいぐるみも売り出しが開始されている。うーん、ほしい。

そういえば、ジャケットにルノーキャトルが写っていることに気づいただろうか。そう、サクソフォン四重奏だから、Renault "quatre"なのである。

以下、ウェブページから曲目リストをコピペ。

01)ドレミの歌/作曲 RICHARD RODGERS(編曲 高橋宏樹)
02)おもちゃの兵隊の観兵式/作曲 LEON JESSEL(編曲 高橋宏樹)
03)星に願いを/作曲 LEIGH HARLINE(編曲  滝澤俊輔)
04)トリッチ・トラッチ・ポルカ/作曲 ヨハン・シュトラウス2世(編曲 高橋宏樹
05)狼なんかこわくない/作曲 FRANK E CHURCHILL(編曲  新川奈津子)
06)サザエさんメドレー/作曲 筒美 京平(編曲 高橋宏樹
07)どんぐりころころ in Jazz/作曲 梁田 貞(編曲 高橋宏樹)
08)アンパンマンメドレー/作曲 馬飼野 康二、三木 たかし(編曲 高橋宏樹)
09)津軽海峡・冬景色/作曲 三木 たかし(編曲 高橋宏樹
10)ズルい女/作曲 つんく(編曲 石川亮太)
11)バッハのメヌエット ト長調/作曲 クリスティアン・ペツォールト(編曲 石川亮太
12)SHORT SHORTS/作曲 Thomas Austin/Bob Gaudio/Bill Crandall/Bill Dalton(編曲 高橋宏樹)
13)マルサの女/作曲 本多 俊之(編曲 石川亮太)
14)ピンク・パンサーのテーマ/作曲 HENRY MANCINI(編曲 中川喜弘)
15)ルージュの伝言/作曲 荒井 由実(編曲 木村綾)
16)FUNK de 茶色の小瓶/アメリカ民謡(編曲 石川亮太)
17)旅立ちの日に/作曲 坂本 浩美(編曲 石川亮太)
18)宝島/作曲 和泉 宏隆(編曲 高橋宏樹)

2011/09/12

今週末はモアレ

取り急ぎ、今週末の宣伝を。福島のモアレ・サクソフォン・アンサンブルの演奏会の、8重奏ステージ&ラージステージへ参加する。F-Windsさんの計らいで交流ができてから、もう4、5年くらい経つのかな。そういえば当時名古屋組だったゆうぽんさん、maimaiさん、ゆかべえさんと初めてお知り合いになったのも、ここだった。

6月のみずのもりコンサートでやった曲も、演奏する。

宿泊場所は確保した(リッチモンド。コストパフォーマンス最強!)。あとは、交通手段をもう少し考えねばなるまい。帰りは新幹線として、行きをどうするか…?

【モアレ・サクソフォン・アンサンブル第14回定期演奏会】
出演:モアレ・サクソフォン・アンサンブル、啼鵬(pf, cond)、齋藤たかし(dr)
日時:2011年9月19日(月曜・祝) 14:00開演
会場:福島テルサ FTホール
入場料:500円
プログラム:
NAOTO/啼鵬 - 紫蘇ダンス
I.アルベニス/啼鵬 - スペイン組曲第一集

問い合わせ:
http://moire.shinsuke.com/

2011/09/11

ラッシャーの演奏について感じること

とあるお誘いで、再びしガード・ラッシャーに関する記事を書くことになったのだが、その下準備の一環として、ラッシャーの演奏に対して感じることを取り留めなく書いていきたい。

一番最初にラッシャー、そしてその弟子たちの演奏を初めて聴いたときの印象は、実はあまりよく覚えていない。クラシック・サクソフォンにハマり、各種CDを見境なく集めていた時期に手に入れた、John Edward Kellyの協奏曲集が最初だろう。日本やフランスの奏者の演奏を好き好んで聴いていた私は、単純に「あまり興味がない」演奏として分類し、ほとんど聴くことがなかったのだ。そのCDには、イベールの他に、マルタンやラーションの協奏曲(今ではどちらも好きな曲)まで入っていたというのに、それらの作品にすら興味が起きなかったのだ!当時の自分にとっては、それだけ魅力がなかったということになるのだが…。

ミュールが創り上げデファイエが継承した、フレンチ・スタイルの演奏は、弦楽器のフレージングやヴィブラートを参考としている。デファイエにいたっては、パリ音楽院でヴァイオリンを学んでいたほどである。その華麗な演奏は、耳の肥えたクラシック・ファンをも納得させるものであると思う。また、楽器の進化とともにサクソフォンが獲得した芳醇な響き…ミュールはセルマー、デファイエはクランポンという違いはあるが、その音色を最大の武器とした。

ラッシャー派の演奏は、フレージングセンスという点で言えば、残念ながらフレンチ・スタイルの後塵を拝している…と言い切ってしまっても良いだろう。「易しいことを追い求めよ」と、通常音域の中での技術的・芸術的トレーニングを重視するミュールらの演奏と比べ、音域拡張など別の場所にもフォーカスしたゆえだろうか。また、音色に関しても、ヴィンテージ楽器、そしてチェンバーが広いマウスピースを使うことにより、ややこもり気味で落ち着いた(悪く言えば地味な)ものである。

100人が聴けば、ほぼ間違いなく100人がフレンチ・スタイルの演奏を好むだろう。これはJ.E.ケリーが…ということではなく、ラッシャー自身の演奏を聴いても、その他のラッシャー派の演奏を聴いても、同じ印象である。また、残念ながらミュールと同じ曲の演奏を聴き比べてしまうと、基本的なテクニカル面(例えば跳躍、音程、音色の均一性など)で明らかな差が聴こえてしまうのだ。ミュールと同時期に生まれた悲劇とも言うべきか…50年早かった天才だという評も聞く。

それでは、ラッシャーの功績は、フラジオ音域の開拓とサクソフォン作品の委嘱だけなのか…という思われるかもしれないが、聴きこんでいく中で不思議とその演奏に魅力を感じ始めるのだから、不思議である。一聴してこもり気味だと思われた音色は、様々な録音を収集する中で、とんでもなく純度の高い音色だということを気づく。無菌室で培養したような、ノイズを取り去った音色、そして、発音のクリアさや一音一音のとんでもない安定さに驚嘆する。サクソフォンから出てくるひとつの音のコントロールで言えば、世界最高レベルなのかもしれない(ただ、一音だけではただの"音"であって、"音楽"には成り得ないところがアレだが)。

楽器の捉え方というか、音楽に対する捉え方というレベルからして違うのだろう。他の楽器の模倣ではなく、サクソフォンが数ある管楽器の中でどのような役割を果たすべきか、もちろんアドルフ・サックスの意図を汲み取りながら、そしてアドルフ・サックスが意図しなかった方向に進みつつあったサクソフォン界に警告を発しつつ、考えて、演奏・教育活動として実践していたのであろう。

結果として世の中の大半の流れはフレンチ・スタイルとなっているが、独自の世界を築き、弟子を増やしながらその世界を啓蒙し続けた姿勢は、高く評価されるべきだ。

2011/09/10

練習とか

昼から家で個人練習、夜は埼玉で四重奏練習。明日は、午前中につくばでスタジオ練習、午後は練馬で四重奏練習。楽器漬けの週末で、体力的には大変だが精神的にはかなりリフレッシュできる。仕事のほうもまた忙しくなってきたが、なんとか。

いくつかの本番が近付いてきた。9月に2回、四重奏(代々木)とサックスラージ(福島県)。10月にも2回、こちらは、練馬公民館でTsukubaSQのステージを一時間、そして中旬には初めてサックス以外の楽器の本番(実はサックス以外の楽器を吹くのって、小学校以来なのかも)。どれもチャレンジングで、楽しみなステージだ。

本番が近付いたら、また順にご案内したい。

2011/09/09

Trouvère Quartet "My Favorite Things"

本日のトルヴェール・クヮルテット、伺えなかった…(´・ω・)

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まだ東芝EMIがクラシック音楽事業に力を入れていた頃のアルバムより。トルヴェールのCDと言えば、衝撃的なデビューアルバム「The Trouvère Quartet」であるが、演奏内容以上に衝撃だったのは、あれほど素晴らしいアルバムが2度、レーベル都合の廃盤という憂き目に合っていることである。

その点、東芝EMIのアルバムは比較的良く流通したため、所持している方も多いことだろう。一番好きなのは「A Homage to Marcel Mule(TOCE-55284)」なのだが、それと同じくらい好きなのがこの「My Favorite Things(TOCT-8606)」である。この2枚があれば、トルヴェール・クヮルテットがカヴァーする範囲のほとんどを張ることができるのでは?コテコテのクラシック⇔プログレッシブロック系、秩父ミューズパーク音楽堂⇔スタジオ録音、オトナの演奏⇔ノリノリ、という感じで、同じアーティストでここまで相反するアルバムができるというのも、トルヴェールならではだろう。

まず、楽曲を提供したアーティストがものすごい。プロデューサーだった磯田健一郎氏パワーなのだろうが、それにしても一筋縄ではいかない布陣である。

R.ロジャース/真島俊夫 - My Favorite Things
菅野よう子 - Strange Grass Hopper(この頃はまだ"菅野洋子"とクレジットされている)
S.ロリンズ/真島俊夫 - St.Thomas
A.ピアソラ/啼鵬 - 勝利
A.ピアソラ/啼鵬 - ブエノスアイレスの夏
A.L.ウェバー/宮川彬良 - 私が愛したロイド・ウェバー
J.アンダーソン/佐橋俊彦 - Roundabout
本多俊之 - The 7th Wonder
佐橋俊彦 - Bigmuff
長生淳 - Ultra Violet
King Crimson/磯田健一郎 - 21st Century Schizoid Man

真島俊夫、菅野よう子、啼鵬、宮川彬良、佐橋俊彦、本多俊之、長生淳…てなもんで。1994年当時はどのアーティストもまだ売り出しのスタート時期だったのだろうが、今からは考えられないほど豪華なメンツである。プロデューサー氏の先見性というか、大きなパワーを感じる。

そして名前だけでなく、実際の作品・アレンジも秀逸なものばかり。「My Favorite Things」は、サクソフォン用となるとこれ以上のアレンジを聴いたことがない。ピアソラは相変わらずサクソフォンとピアノを上手に絡めてくるし、宮川彬良氏の手にかかったロイド・ウェバー・メドレーなんて、想像するだけでワクワクしてしまうではないか?イエスやキング・クリムゾンの名曲をサクソフォン用にアレンジしていしまうという発想も、夢にみることはあるかもしれないのだが、こうして高次元で結実してしまった。

オリジナル作品もアツイ。菅野洋子名義で書かれた「Strange Grass Hopper」も、こんなにヘンテコな8ビートの曲があっただろうか。本多俊之の「The 7th Wonder」…7という数字はやや特殊な位置を占める。7thはもちろん、コードを構成する7thノートのことを指すはずだが、それ以外にも、神秘的な数字である6(Sixth Sense & Happiness)を超越した7という数字が、"Wonder"だと言っているのだ(?)。佐橋俊彦の「Bigmuff」は、これは解説にも書いてあるとおり、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックからの濃い影響を受けていることがわかるし(冒頭のリフ…!)、長生淳も本領発揮。

この強烈な楽曲たちを難なくこなせてしまう面々こそ、トルヴェール・クヮルテットなのである。時に熱く、時に鼻歌交じりに、時に大人っぽく…しかし根底に流れているのは、楽曲に対する深い共感と遊び心ではないかな、と思うのだ。聴いていて先の展開が読めないアルバムは、他になかなかないだろう。

ちなみに私がこのアルバムを購入したのは、高校生の頃だった。このアルバムを入手した後に、興味の対象となる音楽ジャンルの裾野を広げようとしなかった(原曲を聴くためにCD集めに走ることがなかった)のは、今思うと不思議だ。当時はまだインターネットもそれほど発達しておらず、手に入れられる情報が少なかったからだろうか。あとは、やはりこの演奏で満足しきってしまったというところが大きいだろう。プログレッシブ・ロックの方面に興味が出てくるのは、Sax 4th Avenueの「Delusions de Grandeur」を聴いたあとのことである。

このCD、いまどこで手に入るのだろうか。

芸大サックス科のブログ

原博巳さん角口圭都さんが紹介しているが、東京芸術大学サックス科のブログができたそうだ。

http://geidaisax.seesaa.net/

他の大学のサクソフォン専攻科も、ウェブページやブログを開設しているのは見たことがあるが、ずっと更新が続いているブログは見たことがない。代替わりのタイミングでぱたっと更新が止まってしまうんだよなあ。…ということで、ぜひ末永く続けて頂きたいと思う次第。

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京青さん情報:10年前はウェブページがあったらしい。まじっすか。

2011/09/08

Mario Marzi plays Glazounov & Ibert

イタリアのサクソフォン奏者、マリオ・マルツィ Mario Marzi氏の素晴らしさについては、これまでも何度か取り上げてきた。未だライヴでは聴いたことがないものの、いくつかのCDや動画からはそのずば抜けた才能を存分に感じることができる。

サクソフォンが含まれたCDとして、心の底から楽しめる一枚が、マルツィ氏が参加したこの一枚。

http://kurisaxo.blogspot.com/2008/08/blog-post_19.html

上記リンク先でも絶賛しているが、まあとにかく凄い。曲もかっこいいし、サックスは聴いたことがないほどにご機嫌だし、欠点という欠点が見つからず、聴いていくうちに掛け算方式で楽しくなってしまうCDだ。ちなみに、サクソフォン以上にアコーディオン奏者(そう、バンドネオン奏者ではなく、アコーディオン奏者)がキレキレであり、アコーディオン世界の際限無き部分を堪能できるのも一興である。

マルツィ氏といえば、上記のようなポピュラー系?アルバムばかりをリリースしているイメージであったので、このCDを見つけたときは驚いた。フレンチ・レパートリーの系譜に属するグラズノフ、ドビュッシー、イベール、ミヨー2曲、ヴィラ=ロボスを取り上げ、あの史上最強オーボエ奏者のハンスイェルク・シェレンベルガー氏を指揮に迎えて、ミラノ交響楽団とともに演奏してしまった、というアルバムである。

「THE ART OF SAXOPHONE(ARTS arts47748-8)」と題されたこのアルバム、やはり気になるのはマルツィ氏がコテコテのクラシックを吹いた時の音楽性だが、これがまた至極真っ当な解釈、そしてさりげない遊び心が加えられており、実に良い録音であると思った。グラズノフは、イタリア人が落ち着いて歌い上げるロシア歌曲、といった趣である。第3楽章でもテンポは中庸で、隅々まで気配りがある音楽に惚れ惚れしてしまった。イベールでは、一音一音のニュアンスが私の好みだ。なぜか現代の録音って、イベールが全てベタ吹きな方向になってしまっているのだが、この録音にはなんとなくミュールのような愉悦感が浮かんで見えるような気がする。グラズノフでの弦楽器の響きも良いなあ。いままで聴いたことのないような音がいくつも聴こえる。

ということで、まだグラズノフとイベールしか聴いていないのだが、じっくり聴きこんでいこうと思っている次第。完成度が高い協奏曲集に正座して向き合って聴くことはあまり無かったものだから、久々のことで嬉しいのである。Amazonへのリンクは、こちら(→The Art of Saxophone

2011/09/07

Yanagisawaウェブサイトリニューアル

昨日ドルチェ楽器に伺った際に、プリマ楽器の営業の方に教えていただいたのだが、サックスメーカーの老舗、Yanagisawaのウェブサイトがリニューアルしたそうだ。

http://www.yanagisawasax.co.jp/

「ヤナギサワ・アーティスト」のページは、今まで無かったものだと思う。新井靖志氏、栃尾克樹氏、川口力氏、池谷隼人氏など、Yanagisawaのサクソフォンを使用する奏者について紹介するコーナーが新設されている。海外アーティストのコーナーに、Jean Denis Michatの名前が無いのが残念だな…Yanagisawaもしくはプリマ楽器のオーガナイズで、ぜひ来日してもらいたいと思っている。

「工場見学」のページが面白かった。動画でないのが残念だが、ひとつひとつの楽器製作の作業に見入ってしまう。おすすめ。

2011/09/05

Leslie Bassett "Music for Saxophone and Piano"

レスリー・バセット Leslie Bassett(1923 - )は、アメリカの作曲家。カリフォルニア州に生まれ、幼少の頃よりピアノ、トロンボーン、チェロを学んだ。まもなく、第2次世界大戦の開戦により、第13機甲師団の音楽隊で、トロンボーン奏者、作曲家、アレンジャーとして、アメリカはもとよりヨーロッパ戦線でも活躍した。ミシガン州立大学でRoss Lee Finneyに学び、フルブライト奨学金を得てパリへ遊学、エコール・ノルマル音楽院でアルテュール・オネゲルに、また、名教師ナディア・ブーランジェに個人レッスンを受けた。フランス留学中の1961年には、作曲家の登竜門であるローマ大賞を受賞している。ローマ大賞受賞後、イタリアのメディチ荘へ短期留学を行い、課題制作で「Variations for Orchestra」を作曲し、RAI国立交響楽団によって初演されている。

アメリカ合衆国への帰国後は、ますますその活躍の幅を広げた。1965年にはユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団によって「Variations for Orchestra」がアメリカ初演、1966年にはピューリッツァー賞を受賞した。1976年には、アメリカ建国200周年を記念して、国家芸術財団とフィラデルフィア管弦楽団より、「Echoes from an Invisible World」が委嘱され、これまでに60回以上も演奏されている。1991年には、クーセヴィツキー音楽財団とデトロイト交響楽団から「Concerto for Orchestra」が委嘱され、ネーメ・ヤルヴィ指揮デトロイト交響楽団によって初演されている。

管弦楽のみならず、他の編成への作品提供も多く、協奏曲、吹奏楽、室内楽、独奏曲等、手がけた作品は多岐に渡る。サクソフォン関連の作品では、2000年にアメリカ音楽協会より「Concerto for Alto Saxophone」が委嘱され、サウスカロライナ州立大学教授のクリフォード・リーマンにより初演された。また、Chestnut Brass Co.からサクソフォンとピアノのための「Duo Concertante」が委嘱され、ローレンス大学教授のスティーヴン・ジョードハイムにより初演されている。

教育者としては、1952年から1991年までミシガン州立大学作曲科で教鞭をとっており、1970年から1988年までは、教授職にあった。また、ミシガン州立大学の電子音楽スタジオの創設にも関わるなど、特に現代音楽分野への功績が大きい。

アルトサクソフォンとピアノのための"Music for Saxophone and Piano"は、1967年の所産。2年後の1969年には改訂版が制作され、Christian Petersから出版されている。4つの楽章「Fast」「Slow」「Moderato」「Fast」からなる、およそ10分ほどの作品である。アメリカのサクソフォン界において、現代音楽演奏のパイオニアと評される、ミシガン州立大学サクソフォン科教授のドナルド・シンタに献呈されている。

ピアノの内部奏法に続いて、サクソフォンが大見得を切り、その後全編に渡って技巧的なフレーズが奏でられる。アルティシモ音域も駆使されたサクソフォンの華やかな旋律に耳が引き寄せられるが、むしろ聴きどころは緩徐楽章に現れる叙情的なメロディだろう。ピアノの高音域の打鍵と融合するサクソフォンの艶やかな響きは、バセットが管楽器大国のフランスで作曲を学んだことをよく示している。

2011/09/04

NHKネットラジオ「らじる★らじる」

NHKが、ネットラジオのサービスを開始した。ネットオリジナルの放送ではなく、NHK第1放送、NHK第2放送、NHK-FMの放送内容をそのままリアルタイムでインターネット上に流すサービスである。

http://www3.nhk.or.jp/netradio/

NHK-FMは、時々サクソフォンに絡んだ面白い番組を放送することがあり、これまでもたくさん聴く機会があった。だが、いかんせんここは東京…アパートの周りに乱立する建物のせいか、電波状態があまり良くなく、ノイズに悩まされることが多かった。今回の「らじる★らじる」のサービス開始は、その悩みを一気に解消するものである。近日中に、受信用のAndroidアプリも提供予定とのことで、スマートフォンからの利用も可能になるようだ。なんと便利な。(…ちなみに現在でも、Flash対応のブラウザがインストールされていれば視聴可能)

音質は、どうなんだろう。FM放送って、最適なアンテナとチューナーとアンプを使えば、実にクリアな音で受信することが可能だが(以前木下直人さんにおわけいただいたFM放送の録音は、まさに圧巻だった)、ノイズ不可避が前提となっている状況では、比べるまでもないか。しかし気になるなー。ちなみに、AMの音質は実際の放送に比べて、とんでもなくクリア。

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そんな「らじる★らじる」だが、折しも今日は一日東京JAZZの生中継!ということで、一日張り付いて聴いてしまった。

上原ひろみ&タップダンスのあたりから聴き始め、セルジオ・メンデス・グループの心の底から嬉しくなってしまうようなダンサブルなライヴ、日野皓正グループの近未来風サウンド、リー・リトナー、マイク・スターン、布袋寅泰の火花散るギターセッション、そして巨人DMS(ジョージ・デューク、マーカス・ミラー、ディヴィッド・サンボーン)まで、様々な種類のライヴを楽しんだ。

しかし、上原ひろみさんてこんなに凄いピアニストだったのですねえ。驚き。DMSは、ちょっとサンボーンのサックスがなー、、、全盛期の印象と比べるとやっぱり聴き劣りしてしまうような。日野皓正は、そういえばこの人はもともとフリーの人なのだった…サックスに矢野沙織という人選もびっくりだったが、これがまた意外とキレていてびっくり。

ということで、「らじる★らじる」これからも存分に活用していきたい。

2011/09/03

Duo 上野耕平&松下洋 play Ibert on YouTube

いやー、夏が終わりますねえ。午後のTsukubaSQ練習が終わって外に出たとき、秋の粧を強く感じた。

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松下洋さんのブログで紹介されていた、イベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」のデュオ版演奏。金曜日の、東京芸大の学園祭でのヒトコマ。アルトサクソフォンは上野耕平さん(先日の管打で大賞を獲得されたばかり)、バリトンサクソフォンが松下洋さん。どちらも一筋縄ではいかないパートを、みごとに演奏している。平日ということで伺えなかったのだが、ここで聴けて良かった!



この演奏形態、流行りそうですなあ。個人的には「プロヴァンスの風景」とかやったら面白そうだなと思っているんだが…どうですかね。

Hollywood Saxophone Quartet "Warm Winds"

NHK_PRの「セプテン へ(゚∀゚へ)バァー」がツボなのでした。
ドゥユーリメン へ(゚∀゚へ)バァー♪

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以前ブログでご紹介した、Hollywood Saxophone QuartetのLP。島根県のF様からお送りいただいた、これが2枚目である。「WARM WINDS(Liberty Records, Inc. LRP3047)」というタイトルで、HollywoodSQに献呈された、サクソフォン四重奏のためのオリジナル作品が2つ収録されている。

Lyle "Spud" Murphyという作曲家の「Warm Winds」は、世界中に吹く"風"を題材にした作品である。"風"は、その土地々々にオリジナルなものであるが、地域・文化を超えて空気が運ばれる現象だ。その通りに、なんとなく地域ごとの音楽素材を、ハイブリッドに各楽章(第1楽章:Sirocco, 第2楽章:Chinook, 第3楽章:Khamsin, 第4楽章:Monsoon)に組み込んでいるような印象を受ける。着想としても面白いし、実際に出来上がっている音楽も、これまたよく書かれているものである。ちょっとエスニックな響きと、厳格なクラシックの語法。

2曲目の「Gold Rush Suite」は、Jack Marshallという作曲家の手によるもの。こちらは、アメリカ・カリフォルニアのゴールドラッシュ時代(1850年代)に流行った曲を、クラシカルな語法で再構築したもの。単純なメロディの引用ではないため、テクニカルな部分も楽しむことができる。以下の7楽章からなる組曲。

Sweet Betsy from Pike
The Days of '49
California Stage Coach
Used Up Man
What was Your Name in the States
Lousy Miner
"Joe Bowers" and "California Bank Robbers"

明るいメロディの中にも、なんとなく悲哀を感じさせる雰囲気が混ざっていて、聴いていてなんとも言えない気持ちになる。特にこちらの作品には、HollywoodSQの演奏スタイル…暖かな音色と確固たる技術、そして歌心…がマッチする。

どちらの曲も、なかなかの佳曲と感じるが、こんにちあまり演奏されていないのは不思議。少なくとも、後者に関してはEditions Robert Martinから出版されていることがロンデックスの目録より確認できたのだが…。

そういえば、このLPの復刻盤、いっしょにジャケット写真もつけてもらったのだが、なんだかその絵がツボだった。乾燥した草原?で踊る白いドレスの女性。これまであまり見たことがないデザインに惹かれる。

2011/09/02

帝政ロシア時代のサクソフォン

帝政ロシア時代のサクソフォンについて、Stancy Maugansの論文を訳して、短くまとめてみた。
ロシアの音楽界に初めてサクソフォンが登場したのは、1870年代と言われています。ヨーロッパの他国と同じく、サクソフォンはまず初めに軍楽隊へと導入されました。ペテルブルグ海軍の資料には、1873年1月に行われたマーチングドリル演奏で、初めてサクソフォンが使用された記録が残っています。しかし、不幸なことにサクソフォンは早々に軍楽隊の編成から除かれてしまいます。それは、当時大きな影響力を持っていたニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844 – 1908)の考えによるところが大きいと言われています。リムスキー=コルサコフは、ペテルブルグ海軍の編成について、次のようなコメントをしています。

この楽器は、ロシア中の軍楽隊から取り除かれることだろう。サクソフォンは、ロシアの気候条件の下で使うには非常に不都合な点が多い。低温・高湿度の屋外でサクソフォンを演奏すると、ハーモニーの形成や音色の形成に困難をきたすからだ。

しかし、さらに数年を経たのち、サクソフォンはその音量・音色・機動性等が再評価され、1890年代にはロシアの軍楽隊養成学校にサクソフォン・クラスが開設されました。このクラスは1922年まで続き、バッハやモーツァルトなどのアレンジ作品のほか、サンジュレ「四重奏曲」なども教育用の資料として使用されていたとされています。 ロシア革命以前、サクソフォンは貴族たちにも注目されていました。アレクサンドルII世の統治時代(1855 - 1881)からアレクサンドルIII世の統治時代(1881 - 1894)にかけて、王室は音楽文化の発展のために、王室付楽団の設立、民間楽団への資金援助、コンサートホールの創設等を積極的に行いました。その時代に設立された宮廷管楽合奏団(王室の式典や舞踏会で演奏していた)には複数本のサクソフォンが含まれていました。この合奏団で演奏していたサクソフォン奏者のほとんどは、軍楽隊養成学校のサクソフォン・クラスを卒業したプレイヤーだったと言われています。また、王室のみならず、裕福な貴族が個人的にお抱え楽団を設立し、その中へサクソフォンを導入するといったことも行われました。