2011/09/08

Mario Marzi plays Glazounov & Ibert

イタリアのサクソフォン奏者、マリオ・マルツィ Mario Marzi氏の素晴らしさについては、これまでも何度か取り上げてきた。未だライヴでは聴いたことがないものの、いくつかのCDや動画からはそのずば抜けた才能を存分に感じることができる。

サクソフォンが含まれたCDとして、心の底から楽しめる一枚が、マルツィ氏が参加したこの一枚。

http://kurisaxo.blogspot.com/2008/08/blog-post_19.html

上記リンク先でも絶賛しているが、まあとにかく凄い。曲もかっこいいし、サックスは聴いたことがないほどにご機嫌だし、欠点という欠点が見つからず、聴いていくうちに掛け算方式で楽しくなってしまうCDだ。ちなみに、サクソフォン以上にアコーディオン奏者(そう、バンドネオン奏者ではなく、アコーディオン奏者)がキレキレであり、アコーディオン世界の際限無き部分を堪能できるのも一興である。

マルツィ氏といえば、上記のようなポピュラー系?アルバムばかりをリリースしているイメージであったので、このCDを見つけたときは驚いた。フレンチ・レパートリーの系譜に属するグラズノフ、ドビュッシー、イベール、ミヨー2曲、ヴィラ=ロボスを取り上げ、あの史上最強オーボエ奏者のハンスイェルク・シェレンベルガー氏を指揮に迎えて、ミラノ交響楽団とともに演奏してしまった、というアルバムである。

「THE ART OF SAXOPHONE(ARTS arts47748-8)」と題されたこのアルバム、やはり気になるのはマルツィ氏がコテコテのクラシックを吹いた時の音楽性だが、これがまた至極真っ当な解釈、そしてさりげない遊び心が加えられており、実に良い録音であると思った。グラズノフは、イタリア人が落ち着いて歌い上げるロシア歌曲、といった趣である。第3楽章でもテンポは中庸で、隅々まで気配りがある音楽に惚れ惚れしてしまった。イベールでは、一音一音のニュアンスが私の好みだ。なぜか現代の録音って、イベールが全てベタ吹きな方向になってしまっているのだが、この録音にはなんとなくミュールのような愉悦感が浮かんで見えるような気がする。グラズノフでの弦楽器の響きも良いなあ。いままで聴いたことのないような音がいくつも聴こえる。

ということで、まだグラズノフとイベールしか聴いていないのだが、じっくり聴きこんでいこうと思っている次第。完成度が高い協奏曲集に正座して向き合って聴くことはあまり無かったものだから、久々のことで嬉しいのである。Amazonへのリンクは、こちら(→The Art of Saxophone

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