おなじみ、佐藤淳一さんに、ブランフォード・マルサリス Branford Marsalis氏とニューヨーク・フィルハーモニックが共演した録音を聴かせてもらった。ブランフォード・マルサリス氏と言えば、言わずと知れたアメリカの著名なジャズ・サクソフォン奏者であるが、クラシック・サクソフォンにも造詣が深く、「Creation(Sony)」などの全編クラシックのアルバムを制作するなどしている。さらに面白いのは、ジャズサクソフォン奏者ならではのエッセンスをクラシックの録音に持ち込むことであり、例えば「Creation」に収録されているイベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」の第3楽章では、楽譜を無視して長時間にわたりオリジナルのジャズ風カデンツを吹きまくる、という具合である。
そのマルサリス氏がグラズノフの「サクソフォン協奏曲」と、シュルホフ「ホット・ソナタ」(しかもベネットのアレンジ!YouTubeにはジョン・ハール氏の演奏もアップされている)を吹いた録音ということで、面白くないはずがない。
Cond: Andrey Boreyko
Orch: New York Philharmonic
Joseph Haydn - Symphony No.60
Alexandre Glazounov - Concerto (saxophone: B.Marsalis)
Erwin Schulhoff/Richard Rodney Bennett - Hot Sonata
Richard Strauss - Suite from the comédie-ballet "Le Bourgeois Gentilhomme"
全編を俯瞰すれば非常にまっとうな解釈だ。音色も、想像していたものよりもずっとクラシックに近い。グラズノフの細かいアゴーギクやヴィブラートの掛け方では「おっ? or おぉっ!!」という2パターンの驚きが時折聴かれるが、どちらかと言えばよりプラスの傾向に働いている箇所が多いと思う。シュルホフは、もともとがあのスタイルなので、さらに自然に聴こえる。
やはり特筆すべきはグラズノフでのカデンツァだろう。およそ2分にわたるネオ・クラシック風のカデンツァだが、これは即興なのだろうか?「Creation」でのイベール並に音をばらまきながら進行する。時折、主題の回帰なども見られ、とてもセンス溢れる内容だ。このカデンツァだったら、楽譜として売りだせば売れるんじゃないかなとも思ってしまう。サックス吹きならば一度聴いてみるべき。
YouTubeには、公式のプロモーション動画(おそらく演奏会前に撮られたものだろう)がアップされていた。
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