【東京ニューシティ管弦楽団第84回定期演奏会】
出演:東京ニューシティ管弦楽団、内藤彰(cond)、上野耕平(sax)、石若駿(perc)、永井基慎(pf)
日時:2012年11月2日(金曜)19:00
会場:東京芸術劇場コンサートホール
プログラム:
吉松隆「サイバーバード協奏曲」
A.ブルックナー「交響曲第7番」
ファーストインプレッションは、昨日書いた通り。素晴らしかった。
普段ほとんどオーケストラの演奏会なんて聴きに行かないので、このような大きなホール(到着して気づいたが東京芸術劇場に入るのは初めてだった)、大人数の演奏者たちを見ると、否応なしにワクワクしてしまう。チケットは上野耕平さんに頼んで取り置いてもらったのだが、前から6列目のほぼ中央という絶好の位置だった。3つ左の席にはBCSEのSフジさんが。
拍手を受けて登場した上野耕平氏を始めとする3人のソリスト、プロフィールを見たが、全員同期の大学2年生だという。上野氏は、一音目から一気に聴衆を引き込んだ!2000席のホールを無理なく鳴らしきる美音と響き(とても軽やかな響き…どんなセッティングなのだろう)は、オーケストラととても良く調和している。
短い序奏を経たあとはソリスト3人で突っ走るアレグロ。このアレグロがとてもスピード感あふれるもので、崩れてしまうギリギリのところでせめぎあいながら進んでいく様子にとても興奮した。ここで触発されたのか、オーケストラも、コンサートマスターを始めとする各プレイヤーのサポートが手厚い。聴いていた位置のせいか、管楽器群とソリスト陣のアンサンブルにはいくぶん噛み合わない箇所も散見されたが、それでも管楽器の人たちはシンコペーションで血が騒ぐのだろうか、とても楽しそうに演奏しているのが印象的だった。
上野耕平氏の演奏の魅力を書いていけばキリがないが、この日気付かされたのは、超高速のフレーズにあっても常にすべての音をコントロール下に置くというその特徴である。どんなフレーズでも、一音一音まで方向性がハッキリと見えてくるような演奏家は、あまりいないだろう。
第2楽章については、その制作背景を知って聴くことで共感の度合いが増すのだが、プログラム冊子の解説を読んだのだろうか、客席もとても高い集中力を持って聴いていたのが印象的だった。その集中力に応えるように美しい演奏を繰り広げる上野耕平氏。うーん、あのときの空気を言葉で語り尽くすのは、一筋縄ではいかない…。ぜひ次の機会に聴いてみてください。
アタッカで突入した第3楽章は、あの第1楽章、第2楽章のあとだからこそさらにクールに聴こえる。そのあたりの考えについては以前ブログにも書いたが、何もかも捨てて、最終部のアドリブ(このアドリブの最初の甲高い鳥の鳴き声のようなサクソフォンの演奏には、鳥肌が立った)を経た大爆発まで疾走する。
こういう演奏をする人が、日本に現れてきたことを嬉しく、また誇りに思う。
休憩後はブルックナーの7番。実はブルックナー自体聴くのが初めてで(勉強不足だなあ…と痛感)、何か書くとニワカっぷりがバレるのであまり詳しくは書けないが…。サイバーバードのようなめまぐるしい曲を聴いた後だからこそわかる、シンプルな美しさ…特に第2楽章には感動してしまった。曲の構造を追っていけるのは、オーケストラの魅力だろう。
終演後はサイン会。また、打ち上げにもちゃっかり参加させてもらってしまった。打ち上げでは少し上野さんとお話しすることもでき、選曲時の苦労や今後のことについていろいろと話しを聞けた。次、聴ける機会を楽しみに待ちたい。
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