【モーフィン・カルテット マスタークラス・レッスン】
出演:モーフィン・カルテット、大石将紀(通訳)、昭和音楽大学のカルテット、国立音楽大学のカルテット
日時:2012年11月18日 14:00開演
会場:セルマージャパン6Fアンナホール
プログラム:
A.デザンクロ「四重奏曲」 (昭和音楽大学)
J.リヴィエ「グラーヴェとプレスト」(国立音楽大学)
A.グラズノフ「四重奏曲」より第3楽章(モーフィン・カルテットミニコンサート)
F.メンデルスゾーン「カプリツィオ」(モーフィン・カルテットミニコンサート)
昨日津田ホールで聴いたばかりのモーフィン・カルテットの公開マスタークラス。ちょうど時間があったので聴いてきた。渋谷は自宅から比較的アクセスしやすいのもありがたい。最初はマスタークラスだけかと思ったのだが、なんとミニコンサートまで開かれるという、充実の2時間半を過ごした。
最初は昭和音楽大学のカルテット。どこかで「ハバネロサックス」という名前で活動しているという情報を目にしたことがある。マスタークラスが始まり最初の素の演奏から、すでにかなりレベルが高い。楽譜通りに吹けているのはもちろんのこと、アンサンブルとしても技術的な部分を軽くクリアしている。なんとなく昭和音楽大学のアンサンブルって伝統的に上手いイメージがあるのだが、そのイメージ通りだった。すでに結成して4年経っているということで、年月を経ただけの部分もあるのだろう。特にソプラノ、アルトの方の音楽づくりが素晴らしいと思った。
神保佳祐, sop
細川慎二, alt
牧野遼介, ten
奥野祐樹, bar
指導は、ソプラノのグレズ氏が主導しながら、メンバーがさらに付け加えていく感じ。通訳の大石将紀さんは4人分を一手に引き受けなければならず大変そうだったが、それでもスイスイ進めていくあたり、さすがである。聞きながらメモを取った内容で、主たるトピックは以下のような感じ(自分用のメモで、間違っている可能性もあります)。
・フレーズごとの色の変化を、自分たちが思っている以上につけること
・バリトンのFの前のソロはdimが書いてあるが、4人分くらいのイメージで吹く
・F近辺のソプラノソロはアクセントを使って自由に
・楽譜に書いてあることも重要だが、それができたらカルテット独自の表現を行なっていく(テンポ、フレーズジング等)
・第2楽章冒頭を受け渡すのに必要なセッティングを考える(モーフィン・カルテットのセッティングは、ソプラノ170 V12-3.5、アルトAL3 Trad-3.5、テナーT20 Trad-3.5、バリトンBL3 Trad 3.5とのこと)
・作曲家は、まず音を書いたのではなく、何かイメージがあってそれを表現するために音を書いたはず。そのイメージについて、カルテット内での意識合わせを行なっていくこと
技術的には完成されていたということで、表現に関する言及が多かった。途中、なんとモーフィン・カルテットの面々が第2楽章の一部を吹いたのだが、その流れるような自由さに会場は唖然となったのだった。
二団体目は、国立音楽大学のカルテット。比較的若く見えたのだが、活動履歴はどんなもんなのだろうか。ちなみに、全員雲井雅人氏の門下だとのこと(確かに最初の演奏の時にもそれを感じた)。昭和音楽大学のハバネロカルテットに比べればさすがにややアンサンブルとしての完成度には若さを感じるが、それでも、こちらもとても良く吹くカルテットで、時には大胆な表現も飛び出しつつ、隙無く演奏しているのが印象的だった。バリトンの方の大胆さ、聴いていて面白かったなあ。
浜田由美, sop
岡田恵実, alt
西田剛, ten
鈴木響子, bar
・プレスト部分でのより楽しそうな表現(曲が楽しいなら演奏者も楽しく演奏しないと!)、トムとジェリーのように
・ヴィブラートの使い方、なぜここでヴィブラートを使うのか、ということを常に問いながら使っていく。良いヴィブラートなので、場所によってかける・かけないという打ち合わせをしたほうが良い
・ひとりのピアニストが右手と左手でフレーズを弾いているような、アンサンブルとしての一体感が出るように
・喉を開く演奏方法の場合、アタックした時の音程に注意
・最後のコーダ、いままでよりもさらに明るく、花火のように演奏する
こちらのカルテットも、ぜひ次に聴く機会があれば良いなと思う。
モーフィン・カルテットによるミニコンサートは、昨日も演奏したグラズノフとメンデルスゾーン。リラックスしているためか、昨日よりもアグレッシヴな表現が随所に飛び出し、特にグラズノフはまるで昨日よりもさらにパワーアップした演奏だったのではないかな。昨日大喝采だったメンデルスゾーンを再び聴けたのも嬉しかった!
3 件のコメント:
突然のコメント失礼致します。昭和音大サックスの細川慎二と申します。
いつもブログ拝見させて頂いております。本日はkuri.sax様にも演奏を聴いて頂け、この様にコメント頂けて大変光栄に思っております。
余談ではありますが「ハバネロサックス」という名前で細々とではありますが活動させて頂いております。これからも是非是非宜しくお願い致します。
細川様
コメントまことにありがとうございます。まさかご覧いただいているとは…下手なことは書けませんね(苦笑)
感想に書いた通り素晴らしい演奏でしたし、私もとても勉強になりました。ぜひみなさんの別の曲の演奏も聴いてみたいです。
団体名については、文中で修正いたしました。失礼いたしました。
kuri様
kuri様のこのブログから本当に計り知れない程の情報を入手させて頂いておりますm(- -)m
わざわざ訂正までして頂きありがとうございます。泣
誠に恐縮でありますが、いつかまた機会がありましたら聴いて頂きたいと思っております。
ありがとうございました。
細川慎二
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