「サロンコンサート」という軽ーい気分で聴きに伺ったら、とんでもなく重量級のプログラム。お腹いっぱいになって帰ってきた。
【山浦雅也 サクソフォーンサロンコンサート】
出演:山浦雅也(sax)、大堀晴津子(pf)
日時:2012年11月28日(水)19:00開演
会場:アーティストサロンDolce(管楽器アヴェニュー東京内)
プログラム:
P.M.デュボワ - りす
P.M.デュボワ - うさぎとかめ
C.ドビュッシー - ラプソディ
H.ヴィラ=ロボス - ファンタジア
石川亮太 - 日本民謡による狂詩曲
高橋宏樹 - ガーネット・ゼロ
長生淳 - 天国の月
本多俊之 - マルサの女(アンコール)
P.モーリス - 愛する人への歌("プロヴァンスの風景"より)(アンコール)
山浦さんの演奏は、Quatuor Bのアルト奏者としては聴いたことがあったものの、独奏はこれまで聴いたことがなかった。今回のコンサート、情報を知った頃には売り切れてしまっていて諦めていたところ、ご本人から連絡を頂戴し、聴けることになったのだった(ありがとうございました)。そういえば、ドルチェに伺うのも久々。客層が、なんかいつもと違う。女性ファンの方も多かったかな?
プログラム冊子には載っていない、デュボワの小品「りす」から始まった。丸く輝かしい音色(ゴールドプレート?)や安定したテクニックといったところは最近のトレンドでさすがに驚くことはないが、感銘を受けたのは強固なテンポ感・リズム感である。聴いていて安心して身を委ねることのできるグルーヴを強く感じた。想像だが、きっとピアニストも合わせやすいのではないかなあ。だからと言ってガッチガチの演奏というわけではなく、そのテンポ内で歌ったり飛んだり跳ねたりの味付けが実に楽しい!
MCを挟みながらの演奏。そういえばドビュッシー「ラプソディ」の前には、「天候の移り変わりをイメージして…」との示唆があったのだが、なんだか妙にしっくり&共感を覚える解釈で、ここは五月雨だとか、ここは雷とか、そんなイメージを持ちながら聴いたら、やや掴みどころがなかったドビュッシーが突然リアルさを持って眼前に迫ってきたのだった。強固なスタイルの上に構築された、音色・テンポ・和声感の自由自在な変化…個人的には、本日の演奏の白眉であった。
ヴィラ=ロボスで、ソプラノサックスの演奏を聴けたのも幸いだった。ソプラノサックスはぜひホールで聴いてみたいな。第2楽章での曲が持つ陰鬱さは身を潜め、どちらかと言うとキラキラ系(?)の演奏だったが、もともと持つ音色の明るさもあるのだろう。
後半は、日本人作曲家選。須川展也氏に献呈された「日本民謡による狂詩曲(カデンツァを会津若松の民謡に切り替えたスペシャル・バージョン)」と「天国の月」。そして小山弦太郎氏に献呈された「ガーネット・ゼロ(MCでアナグラムに関する話があったが、Garnet0 = Gentat0ということ)」。特に、メインとなった「天国の月」での冴えたテクニックには、会場一同沸いたのだった。「ガーネット・ゼロ」は初めて聴いたが、ロマンティックな部分やケルト風の部分もあって、とても楽しかった。
アンコールに、「マルサの女」。客席に本多俊之氏臨席…このハッスルコピーから出版されたソプラノサックスとピアノのバージョンは、なんと山浦雅也氏の初演だそうだ。奏法を崩しつつ、アドリブ風の部分もバッチリ決めて、大いに盛り上がった。最後はしっとりとモーリス「愛する人への歌」。
仕事もドタバタな時期だったが、なんとか聴けて良かった。すでに山浦氏は演奏のスタイルとして確立されたものを持っているんだなあ…今後ますます活躍していただきたい!そして、今度はぜひ大きいホールで聴いてみたいな。
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