最近島根県のF様よりお送りいただいた録音4つのうち、3つ目のご紹介。
1つ目:デファイエ参加のマスネ「ウェルテル」
2つ目:ヴォルフ指揮の戯曲「アルルの女」
コーエン指揮パリ・オペラ・コミーク座管弦楽団の演奏で、マスネ作曲の歌劇「ウェルテル」。1931年の録音で、EMI C061-12130という型番が付いている。オペラ・コミークということで、マルセル・ミュール氏がサクソフォンパートを吹いている可能性が高いということで、お送りいただいた。残念ながら、この録音のサクソフォンパートはヴィブラートがかかっておらず、判断は難しい(ミュール氏だったら、ヴィブラートがかかればすぐ判別できるのだが…)。しかし、声楽パートとよく溶けあう音色は、オーケストラの中のサクソフォンとしての理想的な形であろう。
私がそれよりも驚いたのは、Ninon Vallinの歌声にかかるヴィブラートである。現代のオペラ歌手とはかけ離れたヴィブラートの質…この速度、振幅は、まさにミュール氏が実践していたヴィブラートそのものではないか!?ミュール氏がどのようにしてあのヴィブラートを手に入れたのかの、謎を解くひとつの鍵となりそうだ。
1929年、同じくパリ・オペラ・コミーク座管弦楽団との共演の際、エドゥアール・ランファンの「エヴォリューション」初演時に、ミュール氏は初めてクラシックの世界にヴィブラートを取り入れている。その時代からわずか2年後ということか。このようなサクソフォンの音が響いていたのかと考えると、感慨深いものがある。
4 件のコメント:
お久しぶりです。
1931年ですと、フルートの首席はモイーズ氏ですね。もちろんこの録音に参加しているかどうかは聴いてみないとわかりませんが。G.ティルは私が一番好きな歌手の一人です。
コメントありがとうございます。
おお!そうなんですね!
録音の件は、Facebookでメッセします!
木管楽器がヴィブラートを積極的に使い始めた頃のお手本としてはヴァイオリンなどより同じように息を使うオペラの歌手たちだったと考える方が自然ですね。
そうですね。「放浪の騎士」の記事を書いているときに思い出したのですが、ミュール氏はインタビューの中で、声楽のヴィブラートとサクソフォンのヴィブラートの関連の意図するところについてはっきりと語っていました(自分で書いておいて、忘れていたのですが…)。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2008/11/interview-with-legendary-marcel-mule2.html
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