2012/11/23

おそらくマルセル・ミュール参加!バレエ「放浪の騎士」

島根県のF様からお送りいただいた録音は、これで最後。ジャック・イベールのバレエ音楽「放浪の騎士」、ジョルジュ・ツィピーヌ Georges Tzipine指揮フランス国立放送局管弦楽団の演奏である。録音は1955年、Bourg BG3003という型番。ジャケットには、Grand Prix 1956 de L'academie du disque francaisとの但し書きが。

恥ずかしいことにこの作品を聴くのは初めてだったのだが、豪華絢爛な響きに一発でノックアウトされてしまった。派手でカッコイイ部分と、叙情的な部分がうまくミックスされており、イベールの真髄ここに極まれり、という感じである。サクソフォンが各所で大活躍するのだが、おそらくこれはマルセル・ミュール氏の演奏だろう。全盛期からは時代的にややずれているものの、深みのあるヴィブラート、透明感ある音色など、ミュール氏の特徴がよく出ている。緩徐楽章のみならず、急速部で縦横無尽に駆け回るサクソフォンパートは、この時代のオーケストラにおけるサクソフォンの用例としても珍しいものではないだろうか。

ちなみに、なんと無伴奏のカデンツァまで!イベール「室内小協奏曲」のカデンツァを思い起こさせる圧倒的な存在感だ(なんとなく音形も似ているような)。

すっかり忘れていたのだが、2008年にマルセル・ミュール氏のヴィブラートに関連してこんな記事を書いていた。ミュール氏が、「放浪の騎士」の騎士について短いながらも語っている。

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