ウィーンで学ぶサクソフォン奏者によって結成されたMobilis Saxophone Quartetのファーストアルバム「Ligeti - Desenclos - Bozza - Nagao(Gramola Records 98937)」をご紹介。最初は、なんだか日本人ぽい風貌の女性が写っている海外のサクソフォン四重奏団のジャケットをAmazonで偶然見つけ、なんとなく購入したのだった。メンバー4人の出身国は、オーストリア、スロヴェニア、日本、クロアチアと、バラバラである。ソプラノのKrenn氏と、岩田さんはご夫婦。
Michael Krenn
Janez Ursej
Yukiko Iwata(岩田享子)
Goran Jurkovic
公式ページに掲載されている岩田さんのプロフィールを読むと、2003年から2005年までミュージック&メディアアーツ尚美で岩本伸一氏にサクソフォンを学び、その後ウィーン国立大学でOto VRHOVNIK氏に師事したとのこと。その後ウィーンに留まり、演奏活動を続けていらっしゃるそうだ。んー、同い年ということでなんとなく親近感がわくな。
サクソフォン四重奏の古典と新曲をバランスよく収めたアルバム。デザンクロやボザなど、なかなか現代のカルテットは取り上げるのは勇気がいるものだろうが…。録音の解像度は少々低いが、それでも演奏の素晴らしさは良く伝わってくる。冒頭のリゲティ(ギョーム・ブルゴーニュ編ではなくおそらくF.Oehrliの編曲)からスピード感あふれる快演だ。個人的に気に入っているSonic Art Saxophone Quartetの演奏と渡り合うほどの録音だと思った。
フレンチ・アカデミーの2曲は、デザンクロは特に第1楽章などさらに高精度の演奏が期待できると思ったが、それでもレベルの高いことに間違いはない。デザンクロの第2楽章しかり、ボザのアンダンテしかり、とてもリラックスしているように聴こえるが、これはぜひ実演で聴いてみたいところだ。
長生淳「四重奏曲」はかなり気合いのはいった演奏。冒頭の不協和音から一気に聴き手を引き込み、複雑なリズムを一気に聴かせてしまう。もっとも印象深かったのは第3楽章である。アンダンテ楽章ほどさらにテンションは高く、濃密に聴こえてくる。その高い集中力が、第4楽章で一気に開放され、ファナーレへと向かう様子が圧巻だった。トルヴェール・クヮルテットの演奏を聴いたことは無いのだが、アプローチの違いなど気になるところだ。
CDのAmazonでの購入リンクはこちら→Mobilis Saxophone Quartet。比較的安価なので、興味ある方はぜひ。岩田さんがメンバーにいらっしゃるということで、これはぜひ来日&リサイタルを期待してしまいますなあ。なんとか実現させてもらえないものだろうか。
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