最近なにかとお世話になる機会の多い、ピアノの大嶋千暁さんのご案内により伺った。
【蓼沼雅紀x野口紗矢香 Duo Concert ~蓼沼と野口がコンサートやります~】
出演:蓼沼雅紀、野口紗矢香(sax)、大嶋千暁(pf)
日時:2013年2月16日(土曜)14:00開演
会場:アーティストサロン"Dolce"(管楽器アヴェニュー東京内)
プログラム:
G.F.ヘンデル - シバの女王の入城
J.S.バッハ - オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ハ短調BWV1060a
E.ボザ - ファンタジー・パストラル
F.プーランク - トリオ
C.ドビュッシー - ラプソディ
C.ドビュッシー/福田洋介 - 小組曲
P.シェーンフィールド - カフェ・ミュージック
E.クローンケ - 2匹の蝶々(アンコール)
G.ガーシュウィン/? - ガーシュウィン・メドレー(アンコール)
どういった経緯でこのメンバーでの演奏会が…と考えたが、プロフィールを読んだところ、全員東京音楽大学の関係者だったのだった。なるほど。
蓼沼さんの演奏を聴くのは久しぶりだったなあ。非常に美しい音色とヴィブラートは、蓼沼さんの昔からの武器の一つであるが、さらに磨きがかっており、さらに作品ごとの表情の変化など以前に比べて持ち手が増えたような印象を受けた。野口さんの演奏を聴くのは初めてだったが、非常に明るくストレートな音色と芯の通った揺るぎない音楽性、というところが印象深い。特にテナーの演奏スタイルは、非常に管楽器的というか男性的というか、最近主流の軽さを押し出したタイプではなく、個人的にとても好きな演奏であった。大嶋千暁さんのピアノももちろん好サポート…というレベルを超えて魅力的であり、単なるデュオ・コンサートではなく"トリオ"として室内楽が成り立っていたのだった。難曲揃いのなか、また、他の本番も多数抱える中、どのように練習をこなしているのだろう…?
ヘンデルは蓼沼さんの編曲で、2本のソプラノサクソフォンとピアノのために編み直されたもの。四重奏版の響きが頭にあったため、最初はやっぱりあの16分音符なのかな…と思って聴き始めたところ、原曲の2本のオーボエパートが2本のソプラノサクソフォンに割り当てられており、とても新鮮なサウンドが響き渡った!冒頭から嬉しいサプライズだ。続くバッハはとても端正な演奏。
ボザは野口さんのソロだったが、ゆったりしたカデンツァから始まり、何気なしに聴いていたら、途中から恐ろしいほどのテクニックの連続で音をバラ撒く。ああ、びっくりした。第一部最後のプーランクは、非常に高速なアンサンブルで、聴いてとても興奮した。特に、複雑なパズルが噛みあうような第一楽章は、ライヴで聴いた中では最高速!ぎりぎりの鬩ぎ合いを楽しんだ。
後半は、蓼沼さんのソロのラプソディから。昨年のドビュッシー・イヤーも含めて、ここ最近「ラプソディ」って何回聴いているかなあ(笑)。何版だったかまではブラインドで判断できなかったが、いたるところに「らしさ」が出ていて嬉しくなってしまった。続くドビュッシーの「小組曲」は、最近何かと話題の福田洋介氏によるアレンジ。こちらも、各所で工夫が施されたアレンジで、とても楽しむことができた。
最後に置かれた「カフェ・ミュージック」は、名前からは想像もできないような全三楽章構成の堂々たるヴィルトゥオーゾ・スタイルの作品。もともとはヴァイオリンとチェロのための作品だそうだが、サクソフォンでの演奏はおそらく世界初(笑)とのこと。どうやってこの曲を見つけてきたのだろう。上辺だけ見ればとても楽しい曲なのだが、演奏者は三者三様に場面場面で表情を切り替えながら、高難易度のフレーズの欧州を見事に切り抜けていた。曲が終わった瞬間、大喝采である。アンコールに、可愛らしいクローンケのフルート二重奏+ピアノと、ボリュームたっぷりのガーシュウィンメドレー。ガーシュウィンは、とても面白いアレンジで、出版したら人気が出そう。
軽い気持ちで聴きに行ったのだが、予想の2倍の量の音を浴び、満足度も比例して大きかった。嬉しい誤算だ!
0 件のコメント:
コメントを投稿