日本サクソフォーン協会の会報"サクソフォニスト"No.24が到着した。下記のような内容である。
須川展也×吉松隆クロストーク(聞き手:栃尾克樹)
第16回世界サクソフォン・コングレス・リポート(原博巳、kuri)
クロード・ドビュッシー《ラプソディ》を巡る諸問題に対する考察(佐藤淳一)
ティエリー・エスケシュの《テネブレの歌》研究(浜里明)
東日本大震災被災地支援事業/カルテット・スピリタス ミニ・コンサート報告(松井宏幸)
パルテノン多摩25周年記念事業「つながる・パルテノン・25の出会い」報告(服部吉之)
第28回日本管打楽器コンクール入賞者の声(上野耕平、小澤瑠衣、角口圭都)
フランス便り2012「第3回パリジャン・サクソフォンコンクール2012」の報告(千春ルマリエ)
留学生リレーレポート・デンマーク編(加藤和也)
新しいリード調整法の勧め(花井宏維)
第31回サクソフォーンフェスティバル報告書(田村真寛)
野平一郎の世界(聞き手:佐藤淳一)
フェスティバル「音大生によるアンサンブル」を聴いて(冨岡和男)
音大生によるサクソフォーン四重奏の夕べ2012報告(服部吉之)
第9回サクソフォーン新人演奏会報告(服部吉之)
第31回サクソフォーンフェスティバルCD(制作:浅利真)
今回はなんと計173ページ!全号所持しているわけではないので憶測だが、協会誌の史上最多ページ数を更新したことだろう。私の手元にはNo.17からNo.24までが保管してあるが、それらのページ数の推移は次の通りである。各号かなりムラがあるが、確実に増加傾向にある。もちろん、ページ数だけ増えれば良いというものでもないが、内容についても質は上昇傾向にあると思う。
39(17号)→55→81→107→105→75→167→173(24号)
圧倒的なのは、なんといっても佐藤淳一氏のドビュッシー「ラプソディ」にまつわる論文である。資料収集のみならず現地調査をも行なって仕上げた、なんと60ページ近くに及ぶ渾身の作。これまで"常識"と思われていたドビュッシー「ラプソディ」に関する情報をひっくり返す研究成果が満載である。ドビュッシー「ラプソディ」に取り組まれる方はもちろん、サクソフォンを吹いている方は必読の内容だ。続く浜里明氏によるエスケシュ「テネブレの歌」の成立調査・アナリーゼもすばらしい。おそらくこれはThunderさんのこの記事をきっかけとして書かれたものではないかなと推察するが、どうだろうか?須川展也氏と吉松隆氏のインタビューは、サクソフォンのための重要なレパートリーを創り上げてきたお二人のリアルな声がそのまま記録されたという趣で、ファン必読だ。
後半は特に「リード調整法の勧め」と「野平一郎の世界」が、内容的にも充実しており楽しく読むことができた。「リード調整法…」はリードマイスターの関連記事である。その時々でトレンドとなった話題をすぐさま取り込もうとする企画内容は、とても読み手としても興味深いことであろう。最終ページにはフェスティバルの内容を集めたCDまで付属。これが年会費3600円で届くというのだから…なんとまあ。
私は今回「第16回サクソフォン・コングレス・リポート」と題して、原博巳先生とともにWSCに関する記事を提供した。これまでもコングレスのレポートは開催翌年の協会誌に掲載されていたが、今回は半共著状態だったため、かなり充実させることができた。これを読んで次回ストラスブールのWSCに参加してくれる方が増えれば嬉しいなあ。協会誌中では須川展也氏&吉松隆氏インタビューの直後、という場所もいいですね(笑)。
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