つくば市で自分が乗る本番(大学時代に所属していた吹奏楽団の内輪のアンサンブルコンサート)があったのだが、その待ち時間を使って田村哲のコンサートに伺った。
【田村哲サクソフォンコンサート(茨城公演)】
出演:田村哲(sax)、榮萌果(pf)
日時:2013年2月3日
会場:つくば市アルスホール
プログラム:
C.ケクラン - 15の練習曲より1,2,3
A.リード - 子供の組曲
P.クレストン - ソナタ
G.ビゼー/E.ギロー - アルルの女第2組曲より"間奏曲"
C.パスカル - ソナチネ
A.シャイユー - アンダンテとアレグロ
J.イベール - コンチェルティーノ・ダ・カメラ
Y.ギシェール - シャンソン・プル・ママン(アンコール)
E.ボザ - プルチネッラ(アンコール)
つくばエクスプレスのつくば駅周辺には大小いくつかのホールが存在する。「ノバホール」は1000席規模の大型コンサートホール、「つくばカピオ・ホール」は400〜300席の中型ホール、「アルスホール」は図書館に併設された豊かな響きの100席ほどの小ホール。自分の本番は「つくばカピオ・ホール」だったが、田村哲のリサイタルは「アルスホール」で開かれた。彼と佐藤淳一さんを招いて開いたTSQの第一回演奏会も、実はここ、アルスホールで行われたのだった。客席はほぼ満席。MCを挟みながら和やかに進行した。
何年か前にみなとみらいホールで行われたデビューリサイタルと比較して、技術・音楽性とも圧倒的に進化を遂げており、大変感銘を受けた。安定性も高く、もちろんミスらしいミスをしないことはプロフェッショナルとしての条件ではあるが、そのようなところを軽く飛び越えて、曲の魅力を伝えるところに終始した素晴らしい演奏が続いた!
選曲の妙。サクソフォンが活躍するオリジナル作品を集めてのコンサートだったが、聴いて楽しい!という曲が多くセレクトされており、初めて聴く方にもとてもアピール度が高かったのではないかな。後輩を連れて行ったのだが、その子モとても楽しんでいたようだ。今回、プログラム冊子の曲目解説を提供したが、コンサートの雰囲気からすると若干説明くさかったか。このようなコンセプトだということがわかっていれば、もっと別の書き様があったかもしれない。
ケクラン、クレストン、イベールといったところが特に印象深い。とにかく音が明るく美しいことは昔から田村哲の武器の一つであるが、そこをベースにしつつ積極的な、しかし過度にならない絶妙な表現で吹きこなしていた。では個性はどこにあるのかといえば、こういった伝統的な名曲の数々を完璧なクラシック音楽のスタイルで吹くことこそ、実はとても稀で得難いものなのではないかとも思ったのだった。榮さんのピアノは、リズムや和声の側面がかなり高いレベルで完成されている。サクソフォンとの相性もピッタリだ。強奏におけるイギリスのピアニズム的な雰囲気は、個人的に大変好みのものであり、クレストンなど楽章が進むに連れとてもわくわくしたのだった。機会があれば「ファジィバード」のピアノパートなんか聴いてみたいなー。
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