ピアニストの大宅裕さんに教えていただいたCD。演奏者のBL!NDMAN Saxophone Quartetは、ベルギーの四重奏団体である。いくつかのCDはオンライン上で全ての録音が公開されており、誰でも無料で聴くことができる(→公式ページはこちら)。
この団体について語るときは、彼らが目指す方向性について簡単に解説しておかなければならない。「ブラインドマン」という言葉は、1917年に刊行されたマルセル・デュシャン監修の雑誌の名。「盲目の男」とは、「芸術展に訪れた 訪問者を引き連れる 盲目の男」というダダイストの観念を表しているそうだが、これってダダイズムの基本思想である「既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想(Wikipediaより)」の同義語なのだろうか。
公式サイトの言葉をそのまま引用すると、「同団体の創設者であるEric Sleichim氏は、マルセル・デュシャンやヨーゼフ・ボイスといった芸術家の思想を音楽に適用しようと考えている。サクソフォン四重奏という形態から出発し、慣例にとらわれない演奏表現の追求、"芸術"と呼ばれるすべての分野からのレパートリーの拡張、等に務めている」ということなのだそうだ。世の中の95%のサクソフォン四重奏と呼ばれる団体が、フレンチ・アカデミズムをベースに演奏活動やレパートリー構築に励むなか、一線飛び越えて"音楽"の本質に迫ろうとする姿勢は、大いに評価すべきではないだろうか。相当ぶっ飛んだことをやっていると思うのだが、それに共感するメンバーが4人も!同門だから、とか、上手いから、だけでは務まらないだろう(^^;
「MAX!MAL BL!NDMAN(Universal Music 986835-6)」は、ベルギー・ミニマリズムのパフォーマンスをフランクフルトでライヴ収録したディスク。全曲が聴けるサイトへのリンクは、ここ。
Thierry de Mey/Peter Vermeersch - Contre Six [2pf, vc, saxq, loop]
Walter Hus - Five to Five [2pf, vc, saxq, loop]
Eric Sleichim - Third movement for Beuys [tsax]
Peter Vermeersch - Scrum [tsax]
Thierry de Mey - Balatum [8percs]
Thierry de Mey/Peter Vermeersch - Habanera [2pf, vc, saxq]
編成がずいぶんと特殊だが、いろいろな響きがして面白いぞ。ベルギーのミニマル・ミュージックというのも初めて聴いたが、オランダのミニマルを深青色に染めたような響き(適当なこと言ってる)。「Contre Six」「Habanera」の2曲が楽しいですね。こういう音楽の需要がある、というのも凄いことだな。
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