個人的なムソルグスキー「展覧会の絵(ラヴェル編)」の刷り込みは、アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団の演奏である。今にして思えば、まあこの古い録音をずっと聴いていたものだと思うが、良い影響だったのかもしれない。
"さとう"さんから送っていただいたCD-Rの中に、アンドレ・ヴァンデルノート指揮パリ音楽院管弦楽団の「展覧会の絵」の録音があった。「展覧会の絵」を全曲通して聴くのも久々となったが、これはなかなか痛快な演奏だ。冒頭の「プロムナード」、パリ音楽院管の特徴である、極めて明るい音のトランペットが、非常に強い推進力を保ちながら進んでいく。
この曲に抱いていたイメージは、美術館の中に掲げられた様々な絵に対して、カメラがゆっくりとパンしていくような(手塚治虫の「展覧会の絵」のような)情景だったのだが、この演奏は、なんというか美術館の中をのっしのっし歩いていくような、ちょっと面白い効果が想起させられた。バランスとかテンポ設定のせいだと思うのだが、なんだかそれが新鮮で、すごくビビビと来てしまった!その後の楽章も似たような感じで、どうやら全体的に管楽器のバランスを大きく取っているのかな、という印象。
「古城」のサクソフォンは誰だろうか。クリュイタンスが指揮を振る映像などには、デファイエが参加しているが、どうもデファイエではないような。音色の存在感も薄いし、フレージングも凡庸。
パリ音楽院管弦楽団特有の、随所に聴かれる見事な管楽器の音色、弦楽器のつややかさについては、ここで改めて言葉を並べる必要はあるまい。1961年録音ということだが、こんな音に満たされていた当時のフランス音楽界、羨ましいなあ。
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