ジュリアン・プティ氏関連のアルバム第3弾。2記事ほど空いてしまったが、CDを実家に持って帰るのを忘れてしまっていたので、しょうがない。前々から決まっていた帰省だったのだが、やっぱり準備はしっかりしないとダメですね(笑)。
Trio Klezeleは、クレツマー音楽を演奏するために結成されたトリオ。サクソフォンのジュリアン・プティ氏が参加している。こちらのアルバムでも数曲演奏しているのだが、演奏する喜びと聴く喜びがそこかしこに溢れた素晴らしい音楽を紡ぎだし、しかも驚異的なまでの完璧な技術力(プティ氏はアドルフ・サックス国際コンクールで第2位を獲っているほど)をもってさらにその価値を高めているトリオである。
Yannick Lopes, accordéon
Julen Petit, saxophone
R$eacute;my Yulzari, contrebasse & composition
このアルバム「Poccha Freylekh from Vladivostok(Integral INT221.231)」は、2008年にこのTrio Klezeleがロシアのウラジオストクに演奏旅行した時のライヴ録音を収めたアルバムだ。ウラジオストクというとシベリア鉄道を思い出してしまうのだが…微妙に日本から近いことに不思議な感覚を覚え、まさかこんな極東?にまでTrio Klezeleが来たことがあるとは、知らなかった。せっかくだから、日本にも来てくれれば良かったのに~。収録曲は、以下。いくつかの曲は、アルバム「mosaïque」とも重複している。
たぶん前半:Khupah Tants, Glatter Bulgar, Rumanian Doina, Terk in Amerika, In Law's Dance, Fun Tashlikh, Heyser Bulgar, Oy Tate, Glik, Tumbalalaika, Avinu Malkenu, Glezele Wayn
たぶん後半:Onde de Choc, Le Souffle du Guerrier, Ot Azoy, Berdichever Khossid, Tish Nigun, Bb minor Bulgar, Zeydns Tants, Sirba, Kalinka, Hava Naguila, Freylekh from Warsaw
女性が「それでは、トリオ・クレツェールです!」と紹介する声から始まり、ライヴ盤としての雰囲気が一気に高まる。中速くらい曲を、ユーモアや各種テクニックを交えつつ最初の一曲目から観客の心をがっちりとつかんでいる様子がわかる。曲が進むにつれて、どんどんと拍手が大きくなっていき、前半の最後は、濃密なゆっくりした曲を2曲続けた後の、Glezele Wayn。それほど派手な曲でないはずなのだが、これがどうして、魅せるなあ。
後半は、最初のOnde de Chocから超絶技巧の嵐。聴きながら目を点になってしまった。掛け声を叫んだり、観客に手拍子をあおったり、はたまた歌ったり(歌わせたり)と、もうノリノリ!曲の最中に客席から拍手は出るは叫ぶわ大爆笑するわの、前半の3倍の盛り上がりだな、こりゃ(^^)CDからも雰囲気は十分すぎるほど伝わってくるが、これは会場で体感したらもっと楽しかっただとうな。
一部は、ムービーで観ることもできる(→こちら)。ぜひ一度観ていただきたい。この楽しさはなんかあまりサックスっぽくないが、強烈にオススメしたい。サクソフォンでも似たようなコンセプトに取り組んだものとしては、New Art Saxophone Quartetの「Songs and Dances(enja)」などがあったが、それと肩を並べるほどのものかもしれない。
5 件のコメント:
ビデオを見て何より凄いと思ったのは、発音や音色がタロガトーかクラリネットにしか聴こえないんですよね。特に高域。現代ソプラノの音に聴こえない。プティ氏はやはりネイティブなユダヤ人なんですか?
> DONAXさん
タロガトーとはまたマニアックな(笑)。さすがです。
いえ、おそらく生粋のフランス人かと思います。本日紹介予定の「La Escapada」と比較して聴くと、その表現力の幅に唖然となりますよ。
> DONAXさん
いま思い出しましたが、そういえばプティ氏はもともとクラシックのクラリネット吹きだった経歴があるとか。比較的早い時期にサクソフォンに持ち替えてはいるようですが…。
なるほどクラ出身なのですか。一度で良いからあんな高域の発音で吹いてみたいですね・・無理だけど。
この方の『ファンタジア』凄くよさそうですね。この曲は結構無理やりな演奏が多いですけど、柔らかく吹いてくれそうな感じがしますね。
> DONAXさん
「ファンタジア」ですが、確かに勢いに任せた演奏は多いとは思います。プティ氏の「ファンタジア」は、音一つ一つに意味を与えたような、素晴らしい演奏ですよ。
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