ヴィンセント・アバトが、イベールとグラズノフを吹いたというLPをトランスファーしていただいたもの。島根県のF様に送っていただいた。Nonesuch Rocordsというところから出版されたものであり、この録音が素晴らしいという話はたくさん聞くけれど、サクソフォン界では最高の名曲と言われるイベールにグラズノフということで、ミュール、ヌオー、デファイエ、ドゥラングルらが吹きこんだ録音と比べた時に正直どこまでの演奏であるのか予想がつかず、期待半分・不安半分で聴き始めた。が、これが期待を裏切る(?)ほどの素晴らしさで、これは紹介せねばと思った次第。
イベールは、まずオーケストラが良い!オーケストラの名前が明記されていないということは、録音のための寄せ集めのオーケストラなのだろうか。それにしては非常に統制がとれてすっきりした演奏であり、加えて爽快なスピード感も併せ持っているという、イベールのオーケストラとしては理想的な形なのではないだろうかと思った。アバトのサクソフォンは、さすがに急速楽章の技術的な難所では、やや苦労している点が見受けられるものの、これまた不思議と魅力ある演奏だ。
グラズノフは、こちらはサクソフォンの独奏が素晴らしい。今まで聴いた中でも、最高レベルに位置するものだと感じた。センスの良いヴィブラート、息の長いフレーズなど、これはもうアバトが持つ音楽的センスが最大限に生かされた独奏だろう。オーケストラは、ちょっと音程高めで明るい音だが、ためてほしい部分をスラスラと進んでしまって、そういう意味ではロシア音楽の様式として、やや不足な点があるのかなあと思う。それでも、レベルの高い演奏であることに間違いはない。
ジャケットも縮小コピーしていただいたので、演奏情報が読めるのだが、イベールはSylvan Shulmanという指揮者が、グラズノフはNorman Pickeringという指揮者が振っているようだ。録音年がわからなかったのだが、これはいつごろの演奏なのだろうか(ちなみにステレオ)。ヴィラ=ロボスの「ショーロスの形式による五重奏曲」とフルートとファゴットのための「ブラジル風バッハ第6番」が併録されている。LPの最後に進むにつれて、どんどんと編成が小さくなっていくというのも、なかなか面白い配置だ。
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