ゴトコフスキーの作曲ジャンルは多岐におよび、オーケストラ作品からオペラ、バレエ、小編成の室内楽、独奏曲、歌曲までと幅広い。その作品リストの中で際立って目立つのが、サクソフォンの作品を数多く書いていることである。自作の中でクラリネットやトランペットなどの管楽器を取り上げる頻度が多く、それら楽器のための作品と比較しても遜色ないほど、たくさんのサクソフォンの作品がリストに挙がっている。
彼女をサクソフォン作品へと向かわせたきっかけはおそらく、当時パリ国立高等音楽院サクソフォーン科教授であったマルセル・ミュール氏へと献呈された「サクソフォーン協奏曲(1966)」であろう。フランス政府の委嘱による(?)同作品の第2楽章と第3楽章は、この年のサクソフォーン科の卒業試験曲とされ、4人の卒業生がこの曲を演奏してプリミエ・プリを獲得している。そしてその後もゴトコフスキーは何曲もの作品を手がけた。作曲年順にリストアップしてみよう。
・サクソフォーン協奏曲(1966)[asax, orch]
・ブリランス(1974)[asax, pf]
・エオリアンヌ(1979)[asax, hp]
・サクソフォーン四重奏曲(1983)[4sax]
・悲愴的変奏曲(1983)[asax, pf]
・叙情的詩曲(1987)[sop, bar, pf, fl, asax, bsn]
・インヴェンション(1988)[bsax, pf]
・ゴールデンシンフォニー(1991)[saxorch]
以上8作品。1983年には二つの大曲を完成させているが、突然どうしたんだろうか。これら作品のうち、「ブリランス」「悲愴的変奏曲」「サクソフォーン四重奏曲」などは、現在においてはサックス吹きが取り組むべき定番レパートリーとして、しっかりと定着している感がある。試験やコンクールなどで取り上げられることも多いと聞く。
さて、ゴトコフスキーの作風について述べたいのだが、雲井雅人氏の言葉の中にそれを著すドンピシャな言葉があったので、引用させていただきたい。「他の作曲家なら避けて通るかもしれぬストレートな感情表現を愚直なほど純粋に貫き通し」…。これは雲井雅人サックス四重奏団が第2回の定期演奏会でゴトコフスキー「四重奏曲」を取り上げたときのプログラムノートの一節。ゴトコフスキーの作品はどれもが、感情の噴出を抑えきれないといったように感じる激しいものorどこまでも叙情的なものばかり、なのである。具体的には執拗な繰り返し、クラスター的な強奏、凶悪なリズムとなって現れ、聴き手を圧倒する。時にはその音楽が、冗長に聴こえてしまうことすらあるほど。…いや、無駄な音符が存在するわけではないのだが、まあとにかくその辺りの冗長さ?も含めてが、彼女の作品のアイデンティティということになる。
さまざまな奏者がこぞって取り上げるため、録音も多いのだが、私のなかでのゴトコフスキーの印象を決定付けた音盤をご紹介しておこう。



最もよく演奏される「ブリランス」は筒井裕朗氏から頂戴したライヴ録音以外には、CDを持っていない。筒井氏の演奏ももちろん良いのだが、どうも「ブリランス」というとドルチェ楽器でKさんにみせていただいたデファイエの映像が凄すぎて、自分の中ではそちらが印象に残りますな。
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