今日の記事は、サックスっぽさは希薄。クラシックのピアノ曲作曲家の中でも、私が特に好きなのが、ニコライ・カプースチン Nicolai Kapustinだ。大学の同期でピアノ愛好会のO氏に、はじめてその演奏を聴かせてもらったときは、大変な衝撃を受けたものだ(余りにショックで、その日だけはCDを聴き通すためにサークルを欠席したのを覚えている)。
当時閉鎖的だったソ連に生まれ、音楽家としての活動を続ける中で西側のラジオを受信しコピーするということにより、主にヨーロッパのジャズから影響を受けながら、作品のなかに独自の様式感を確立した。冷戦時代はその活動は国内に限定されており、カプースチンの活動を知るものは少なくなったが、今となっては、旧ソ連を代表する作曲家の一人と挙げても良いのではないだろうか。日本では21世紀に入ってから急速に認知されるようになった感がある。それは主に、このサイトの影響によるところが大きかったりする。自身が卓越したピアニストでもあり、いくつかのレーベルから発売されているCDでは、自作自演の演奏を聴くこともできる。オススメは、「8つの音楽的エチュード」など。
今回紹介する動画は、そのカプースチンが1964年に何かの映画に作曲家兼ピアニストとして出演した際の動画。曲はピアノとジャズオーケストラのための「Toccata op.8」。演奏はオレグ・ルンドストレーム・オーケストラ(当時カプースチンは同オーケストラのピアニストだった)。編成としてはジャズオーケストラのための作品ではあるが、れっきとしたクラシック作品。すべて記譜にそって演奏されている。
ご覧の通り、よもやソ連発とは思えないほど(?)の"すーぱーすぺしゃる"な動画である。かっくいーっ(o>▽<)oこのころはまだ社会主義も元気だったのだなあ。映像は全編に渡り何だかずいぶんシュールだが、カプースチンの超絶技巧は冴え渡り、バックのオーケストラのアンサンブルも凄い。サックスは…なんだかずいぶん旧タイプの楽器だが(アルトはベル部分のホールが、逆側についているぞ)、どこのメーカー製なのだろうか。
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ソ連のサクソフォン界の発展って、気になる。有名な奏者と言えば、ソビエト文化省交響楽団のクラリネット奏者としても有名なレヴ・ミハイロフ、ジャズ奏者としての活躍が目覚しいアレクサンダー・オセイチュク、グネーシン音楽大学のマルガリータ・シャポシュニコワといった名前が挙がるが、基本的に不遇の時代を送ったのであろうことが伺える。こんなキラキラして甘い音色の楽器だもの、ブルジョワーのための楽器だ、とか言われそうじゃないか。だが、たとえばサンジュレの「四重奏曲第一番」などはソ連のとある軍楽隊の倉庫から発掘された、という逸話があるなど、興味深い事柄もある。
いつだったっけなあ、パイパーズを立ち読みしたときに、旧ソ連圏~ロシアでのクラシック・サックス事情についてとーっても詳しく書いてあった記事があったんだよなあ。買っておけばよかった、といまさら後悔。ソ連、というかロシアには四重奏団が一つしかないよ、とか面白いことがたくさん書いてあった気がするのだが。何だか話が逸れてきたので、この辺で。
…ああ、これか。
http://www.pipers.co.jp/pipers/300-309/301.htm
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