2007/11/02

廃盤、復刻して廃盤

1990年代初めの東芝EMI、山野楽器、さらにそれに続くClarinet Classicsやグリーンドア音楽出版によるマルセル・ミュールの演奏の復刻は、日本のサクソフォン界に衝撃を与えたといって良い。それまでほぼごく少数のSP、もしくはLPでしか存在しなかったミュールの演奏を、誰でも手軽に聴けるCDという媒体として(状態にばらつきがあるものの)復刻した功績は、大変大きいものだ。

さまざまなレーベルの努力により、ミュールの演奏に関しては、ほぼ復刻が完了したといっても良いのではないだろうか。あと未復刻なのは、1950年代~1960年代にDeccaに吹き込んだ四重奏曲集くらいじゃないのか。そこらへんは、まだまだレーベルが権利を所持しているのだろうか、一筋縄では復刻が実現するとも思えないが。

2007年、つまりあの奇跡的的とも言えるコンチェルティーノ・ダ・カメラの録音から、70年近くが経過しようとしている現在、驚くべきことに、amazonで2、3回ボタンをクリックするだけで、ミュールあの神懸かり的演奏をすぐに自宅で聴けてしまうのだ。なんだか、不思議な感じもする。

そんなわけで、久々にamazonのミュールのCDページ…2000年頃に「マルセル・ミュールの至芸」としてギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団関連の音盤がEMIから一挙20枚復刻されたうちの3枚のページ…をふと訪問したのだが…。え?廃盤?…そう、知らないうちに廃盤になっていたのだ。一度手に入れてしまうと、そのCDが売っているかどうかなんて、普通は気にも留めないからなあ。

そういえば、いつの間にかEMIの3枚組「サクソフォーンの芸術」も廃盤になっていたし、「La Legende」も手に入りにくくなってしまったし、なんだかなあ。せっかく復刻されたのに、寂しいことこの上ない。

(後で追記します)

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飲み会から帰還(*・ω・)ノ割と酔ってます。あー、楽しかった。カラヲケも行きたかった、というか、マイナスターズを歌いたかった。ローソンで買ってきた野菜ラーメンをつつきつつ、続きを書きます。

で、復刻されたのに廃盤になってしまう、ということは、良くあると思うのだ。いろんなところに問題があって、我々アマチュアがもっと盛り上げていかなければいけいない(本当は、復刻を待つのではなく署名運動をするくらいの覚悟は必要かも)、レコード会社ももっと売り出していかなければならない(需要は少ないとはいえ、明らかに供給が少なすぎる)、など。

クラシック・サックスに携わる人たちに、もっと先人の演奏のすばらしさが浸透すれば良いのにな(つまり、需要の観点)。マルセル・ミュールやダニエル・デファイエという名前を出して、果たして何%のアマチュアサックス吹きが反応するのだろう。彼らの演奏を知らないのは、クラシックサックスに身を置くものとしては恥ずべきことであるし、実際スバラシイとしか形容できないのだから、もっと多くの人に知ってもらいたい。

そんな中で、自分は何ができるのだろう。所詮このブログだって、観てくれている方は限られている。変な話、中高生にミュールのすばらしさを知ってもらうには、自分はどうすればよいのか。…わりかし昔から考えていることではあるが、未だに答えは出ず。

そんなことを書きながら、ゴーベール指揮パリ音楽院管弦楽団のイベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」を聴く。独奏はミュール。ついでに、デファイエのブートリー「ディヴェルティメント」に、さらにさらにデファイエ四重奏団の最後のライヴ演奏(カルメル)を聴く。うーん、もろ手を挙げて「すばらしい!」と叫びたいぞー!何ですかこの完璧なまでの響きは。これらの演奏を知らずにサックスを吹いているのは、誤解を恐れず言えば、"あってはならない"ことだ。

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