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さて、最近ドイツで生まれたサクソフォンの作品が、けっこう面白いかも…と感じている。ゲルハルト・ブラウン Gerhard Braunの「トリトン」なる無伴奏アルトのための作品を、筒井裕朗氏のmi○iページで聴いたのだが、なかなか聴いたことのない響きで面白かったのだ。
周知の通り、ドイツにおいてはクラシカル・サクソフォンは、(外部からしてみれば)異様な発展を遂げた。ラッシャーの台頭、フランス・サクソフォン界のシャットアウト、さらにドイツにおいては第2次大戦中のナチスのユダヤ人弾圧により命を落とした作曲家たちが数多くいたが、戦火と共に忘れ去られごく最近発掘された作品、というものも多数存在すると聞く。
少なからずフランスの響きを輸入した日本やアメリカ、その他ヨーロッパ諸国(ドーバーをは挟んだ、イギリスは例外)におけるクラシカル・サクソフォン界の発展に比べ、ドイツのサックスは世界的に見れば長い間開花せずにいたようだ。そんな中、ごくわずかな作曲家たちがラッシャー派を始めとする自国のサックス吹きに、何曲かの作品を献呈していたのだろう。しかし、外部との交流を絶っていたドイツ・サックス界のこと、世界的なレパートリーとしては定着しないまま、今日まで埋もれた作品が多いようだ。
クノール、ゲンツマー、そして今回のブラウンなど、どの作品も手堅い構造を持つ渋いものばかり。フランス発の、たとえばモーリスやシャイユーなどの「オシャレ」感覚とは無縁ではあるが、これはこれで個人的に興味深い。まあ、たとえば現在集中的に演奏されたとしても、将来にわたってポピュラリティを得るか、という観点で考えれば、やや怪しいとも思えるが…(やっぱ、メロディアスな作品のほうが気楽に歌えますからね)。
ちなみに筒井氏は、石川県で活躍される金澤攝氏(埋もれた作曲家・作品を発掘することに生涯をかけているという、ピアニスト・作曲家)のプロデュースにより、2005年にドイツのサクソフォン作品ばかりを集めたコンサートを開いていたそうだ。ブラウンの録音はこのときのライブ録音だそうだが、これは生で聴いてみたかった。
うーん、もうちょっと視野、広げないとな…世界は広い。せっかく「Comprehensive Guide to the Saxophone Repertoire」も購入したことだし…って、ええ!?ブラウンの作品、目録に存在しないぞ!!なんてこったい。
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