こんな私でも、ごくたまにオーケストラのCDを聴くことがある。サックス的興味から外れた(=オーケストラの編成としてサクソフォンが含まれていない)曲もたまに聴くのであるが、その聴く聴かない基準はと言うと、ド派手でかっこよければという、なんとも純粋なクラシックファンが聴いたら目くじら立てそうなしょうもない理由なのだが。
その中でも、ショスタコーヴィチの「交響曲第5番」は、常に携帯音楽プレーヤーに入れて持ち歩いている曲のひとつだ。言うまでもない、政治色・プロパガンダ色に染められたこの曲は、やっぱり「革命」をやらせたら世界一の、ムラヴィンスキー×レニングラード・フィルハーモニーの取り合わせでこそ聴きたい。
ムラヴィンスキー×レニングラード・フィルの「革命」は、セッション盤・ライヴ盤ともいくつか出ている。まあ、どれもがすばらしいとか…ショスタコーヴィチへの最大限のオマージュとも取れる深い解釈、徹底的なリハーサルの結果としての録音は、圧巻としか言いようがない。
「革命」をいくつか聴いた中で、今までのお気に入りは、scora盤(Scora Classics scoracd011)。1982/11/18、ロシアでのライヴ録音で、演奏の完成度、最高レベルのテンション、録音の程よい荒っぽさ、どれをとってもこの曲にふさわしく感じる。「革命」に関してはこの1枚だけあれば良いと感じてしまうほどだ。第1楽章の行進部分など何度聴いても鳥肌が立つし、第3楽章の弱音、打って変わって第4楽章の破壊的な音圧など、特徴を挙げていけばきりがない。
ところで、世間一般に評価が高いのは、Altusというレーベルから発売されている、1973/5/26のライヴ録音盤なのだそうだ。なんと来日時、東京文化会館でNHKのチームによって収録されたもの。このたび、中古CDショップにて格安の1100円でゲットしたので、早速聴いてみた。
scora盤とAltus盤を聴き比べてみると、Altus盤のほうは録音があまりに良いせいで、ずいぶんと"綺麗に"聴こえる演奏だ。金管の音圧も均整が取れて上品だし、弱奏がクリアに聴こえるぶん、第3楽章なんて本当に天にも昇る美しさ。…うーん、scora盤に慣れてしまった身としては、ちょっと物足りないかなあ。なんというかメロディアっぽいあのガリガリした音色こそが、自分のお気に入りなのだなあと再認識した。
というわけで、「革命」に関してはやっぱりscora盤に戻ってくるのでありました。ムラヴィンスキーが数ある交響曲の中で最も重要だと考えていた2曲…ショスタコーヴィチの「交響曲第5番」とチャイコフスキーの「交響曲第5番」がいっしょに収録されてなかなかおトク。これらの曲が好きな方はぜひscora盤を聴いてみてください。
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