2015/06/30

Rock'n Sax 1st Live

サクソフォンを使ってロックへとアプローチする試みはこれまでにもいろいろ耳にしたことがあるが、クラシック・サクソフォンを出発点とすると、どうしても本来のノリが薄まってしまうというか、借りてきた猫のようだというか、どうも中途半端になってしまうのが個人的な印象であった。

しかし、今日のライヴは驚くほどにロックそのもの、という響きであり(私はロックを深く勉強したことはなくロックの響きを論じることはできないので、あくまでフィーリングとしての感触)、サクソフォンでこのようなことができるのかという、「サクソフォンが持つ可能性」が一気に拡がったという印象を受けたのだった。

出演者、セットリストは以下のとおり。休憩なしのぶっ通しで1時間15分!圧倒されっぱなしだった!

松下洋、上野耕平、東秀樹、加藤里志、丸場慶人、田中拓也、塩塚純、(ドラムスの方の名前失念…)

UK - In the Dead of Night
AREA - Il Bandito Del Deserto
上原ひろみ - Time Difference
TOTO - Child's Anthem
Destiny's Child - Survivor
Deep Purple - Speed King
Rush - YYZ
King Crimson - 21 Century Schizoid Man
Led Zeppelin - Immigrant Song(encore)

こうして聴いてみると、ロックも非常に細かく繊細なリズム・和声が出現しているんだなあ、と思ったのだった。テクニカルにも激烈であるが、そういったところを軽々とクリアした上で、見事なノリを湛えているところに感銘を受けたのだった。

UKやAREAをドカンと聴かせたかと思えば、上原ひろみの作品では細かいアンサンブルもなんのその。TOTOでは原曲のぶっ飛んだノリをそのまま出し、変わり種のヒップホップ(というジャンル区分けになるのだろうか)のDestiny ChildやRushでは、リズムの処理に舌を巻いた。King Crimsonは、何とソロ完コピ!ギターのワウまで表現されたような見事なヘヴィ・サウンドであった。最後がレッド・ツェッペリンだったのも嬉しかったなあ。

次回も予定されているとのことで、これはぜひまた聴きたいなと思ったのだった。今度はプログレよりのレパートリーをもっと聴きたいなあ!

アンリ・ルネ・ポラン氏の経歴

アンリ・ルネ・ポラン Henri Rene Pollin氏はフランスのサクソフォン奏者。1921年7月8日生まれ。Caen音楽院でクラリネットとサクソフォンを学び、1941年に卒業。同年、パリ国立高等音楽院のクラリネット科に入学し、Auguste Perierのクラスで学ぶ。1943年、クラリネットからサクソフォンへと転向し、マルセル・ミュールのクラスで学ぶ。1947年よりギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団に参加(バリトンサクソフォン奏者)。1949年、一等賞とPrix d'Honneurを得てパリ国立高等音楽院のサクソフォンクラスを卒業。1950年よりルーアン音楽院教授。1956年、デファイエ四重奏団に参加。ヨーロッパはもとより、アメリカ、アジア(日本含む)でも演奏を行った。ルーアンの吹奏楽団の指揮者としても活躍した。

【演奏ご案内】TsukubaSQ演奏予定@コングレス

フランス・ストラスブールにおいて、7/9-7/14に開催される第17回世界サクソフォン・コングレスでの、Tsukuba Saxophone Quartet演奏予定についてご案内。

7/13 10:30-11:00に、ストラスブール音楽院 Cité de la Musique et de la DanseのSalle 22において以下の2曲を演奏予定!

Richard Ingham「Mrs Malcolm, Her Reel」(SSAATTB)ゲスト:Richard Ingham
旭井翔一「制御・代用・削除(委嘱作品・初演)」(SATB)

バリトンに松下洋氏、アルトに木村佳氏を迎え、2曲を演奏する。

1曲目は、これまでTSQでたびたび取り上げているこの曲(YouTubeへのリンク)。今回、ゲストにサクソフォン奏者、そしてこの作品の作曲家であり、前回の第16回サクソフォン・コングレスの総合監督でもあった、セント・アンドルーズ St.Andrews大学のリチャード・インガム Richard Ingham教授を迎え、8重奏(7人編成)にてお送りする。非常に稀有な機会であり、また大好きな曲を作曲家自身と演奏できるということで、とても楽しみにしている。

2曲目は、旭井翔一氏に委嘱したサクソフォン四重奏の新作。だいたい12分位の作品だ。なかなか難しく苦労しているのだが、なんとか良い演奏ができるようがんばりたいと思う。新作ということで、どのような受け止められ方をするのかも楽しみだ。

コングレスにご参加の方、ご近所にお住まいの方、ぜひお越しください。

2015/06/27

ベルギービールのこと

サクソフォン・コングレス参加後は、ベルギーに移動して、7月16日 19:00に在ベルギー日本国大使館の広報文化センターで演奏を行う。演奏会の詳細は後日紹介する予定。

さて、ベルギーと言えば何と言っても多種多様なビールである。その数はマイナーどころも含めれば1000を超えるとも言われ、それぞれが個性を持ち、一つ一つの成り立ちを調べていくと、ビルギービールが実に深い世界であることに驚かされる。前回2012年の訪問時にも、ベルギービールをいくつか味わったのだが、とにかく後悔したのは下調べを全くしていなかったこと。何が美味しくて、何が自分の口に合うのか、何かえいやで注文して飲んだとしても銘柄も系統も覚えられず寂しい思いをしたものだ。

そんなこともあり、帰国後、本を買って少し勉強をした。本で系統を調べては、日本でも手に入るビールを買っては飲み、自分自身が感じる特徴をメモして…ということを数ヶ月にわたって続けた。そのブログが以下である。

http://kuribelgianbeer.blogspot.jp/

この試行を続ける中で、自分の口に合うのは「糖度の高い麦汁」「ブラウンエール」「ボトルコンディション」といったキーワードを持つビールである、ということがわかった。例えばシメイならブルー、ウェストマールならダブル、ということ。なかでもお気に入りは、アシュフ醸造所(デュベルが有名なモルトガット醸造所の傘下)のマック・シュフだ。

ということで、今度のベルギー滞在では、お気に入りの系統を中心に、自身が知らない銘柄のビールをいくつか味わってみようと考えている。演奏だけではなく、そんなところも楽しみにしているのだ。

…とはいえ、何飲んでも美味しいものは美味しいのがビール!つべこべ考えずに味を楽しむのもまた一興!

2015/06/26

JacobTV委嘱作品初演予定@コングレス

佐藤淳一氏とともに委嘱し、このたびコングレスで初演するJacobTV委嘱作品について。

テナーサクソフォン独奏と、サウンドトラック、ビデオのための作品となった。内容や音の雰囲気としてはJacobTVの連作オペラ「The News」に近い。完成までには、およそ150通位のメールのやりとりを行った。特に、日本語を含む素材の制作は、JacobTV氏にとっても「Kaku」以外には無かったため、その周辺の調整に手間取った。

第17回世界サクソフォンコングレスの会期中、2015年7月12日、16:00-16:30(フランス現地時間)、会場は、イル川とライン川をつなぐ中洲っぽいところ…メイン会場であるストラスブール音楽院の至近…に建つLe Shadokにおいて世界初演。私が作品コンセプトのプレゼンテーションを行い(スライド全然出来ていない)、作品の演奏は佐藤淳一さんが担当する。調整中だが、会場にはJacobTV氏も来れるかも!

http://webtv.saxopen.com/event/junichi-sato-performance-2/

ベースとなる素材については、いろいろと面倒なことも多いので、初演の直前のプレゼンテーションまでは伏せておこう(と言いつつ、上記リンク先にはチラチラと書いてあるんですけどね)。この素材を、JacobTVは"Ironic"に味付けしている。

2015/06/24

コングレス全プログラム公開

オンライン上にて、7月開催予定のサクソフォンコングレス、全プログラムが公開された。全部目を通していないが、注目プログラムがたくさんだ!

http://webtv.saxopen.com/

…のだが、ウェブインタフェースになっていて、なんだか読みづらい…できれば通しでタイムテーブル形式でPDFとかで見られるのが良いなあ(-x-;)最終版に期待。

Moretti plays Tomasi "Ballade"

ファブリス・モレティ Fabrice Moretti氏の独奏と、D-SAX(15人のサクソフォンとピアノ服部真理子氏によるアンサンブル)の演奏による、アンリ・トマジ Henri Tomasi「バラード」の演奏。



オーケストラパートの編曲が面白い。サクソフォンだけという編曲は、柏原卓之氏のものやジャン=マリー・ロンデックス氏によるものがあるが、ピアノが随所で効果的に使われており、音の厚みや色彩感に寄与している。

モレティ氏のかっ飛ぶような高速部の演奏や、突き抜けるような響きなど、見事なものだ…そういえば最近ライヴで聴いていないなあ。また演奏会チェックしないと。

2015/06/22

ヴィターリ「シャコンヌ」をサクソフォンで

トマソ・アントニオ・ヴィターリ Tomaso Antonio Vitaliは、17世紀~18世紀に活躍した作曲家、ヴァイオリニスト。彼が作曲した「シャコンヌ」は、ヴァイオリンのための10分ほどの作品。

その「シャコンヌ」を、サクソフォンで演奏した動画で見つけた。演奏はサクソフォンがジャン=ドニ・ミシャ Jean Denis Michat氏、オーケストラがAlexander Walker指揮、サンクトペテルブルク交響楽団である。

響きの多い会場ではあるが、ミシャ氏の演奏するソプラノサクソフォンの繊細な表現や、オーケストラの弾きっぷりなど、聴きどころが多い。

2015/06/21

François Rossé "Wend'kreis"(独奏:松下洋)を聴いて

先日、5/27にストラスブールにて3人の独奏者をフィーチャーしたストラスブール交響楽団(Marko Letonja指揮)の演奏会が開かれた。この演奏会には、2名のサクソフォン奏者…松下洋氏(ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクール優勝)と、ニキータ・ジミン Nikita Zimin氏(アドルフ・サックス国際コンクール優勝)が招かれた。松下洋氏は、フランソワ・ロセ François Rosséの新曲「Wend'kreis」を、ニキータ・ジミン氏は、ラーシュ=エリク・ラーション「サクソフォン協奏曲」をそれぞれが演奏した。

そのうち、松下洋氏が演奏したロセ「Wend'kreis」の動画を、松下氏から観せてもらうことができた。作品は、アルト&ソプラノサクソフォン持ち替え+オーケストラという編成で、ジャン=マリー・ロンデックス氏がロセ氏に委嘱した。松下氏は、この初演の前、2週間ほどにわたってロンデックス氏の邸宅に滞在し、ロンデックス氏やロセ氏から長期に渡るレッスンを受けることができたのだという。

私が知っているロセ作品(以前、サクソフォンをいくつか含む作品集CDのレビューを書いた)とは、なかなか印象が異なる。まず作品のコンセプトについて、松下氏自身の言葉を引用する。

音の最後に特徴のある曲で、あり得ないくらい日本の事が大好きな、ロセの感じる日本の雅楽や民謡が基盤となっています。ただ、それらは彼のもともともってる語法の強いフィルターがかかって大変な事になってますが、笑
そこに、グリスアップを音の処理に多用すること、激しい部分では音の最後にアクセントをつける、グレゴリオ聖歌のプレッススという表現方法を混ぜてサクソフォンのオリジナリティーを出しております。

(西洋音楽ではあるので)テンポ的なものは常に時間を支配しているが、聴こえてくるのはone by one的なタイム・スケールである。もちろん、タイム・スケールのみならず、例えば冒頭の非常に低いアルト・サクソフォンの音域を使って奏でられる音運びは、松下氏自身が指摘するように、非常に邦楽的なモードを感じさせるものである(と感じたが、本当はどうだろう)。西洋音楽というフォーマットを使って、日本的な内容を表現しようとした作品は数多いが、ここまで多面的な要素を放り込んで、かつ、全体の構成が整えられた作品は珍しいのではないかな。しかもそれがサクソフォン協奏曲、という形で結実するとは!

サクソフォンの演奏は、それは素晴らしいものであり(技巧的には相当難しい楽譜)、またオーケストラも快演!これはライヴで聴いてみたかった。録音のリリース予定、ないかなあ。

2015/06/19

ヴォーン=ウィリアムズ「交響曲第6番」のサクソフォンパート

イギリスの作曲家、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ Ralph Vaughan Williams(1872-1958)の「交響曲第6番」には、テナーサクソフォン/バスクラリネット持ち替えのパートがある。和声を構築するような形でもなく、ソロというわけでもなく、木管楽器や弦楽器と一緒に細かいスケルツォ的な動きを担当するという、オーケストラの中におけるサクソフォンの使われ方としては、珍しいタイプ。Roncorp版の「The Orchestral Saxophonist Volume One(おなじみのサックスオケスタ本)」にも収録されている。

第1楽章アレグロは他の楽器とのユニゾン(16分音符のシンコペーションの連続で、非常に難しい)に終始し、第3楽章スケルツォも高速な細かい音符が連続するが、とても目立つソロが2箇所にある。このソロは、いずれも音域的にも良く音が立ち、サクソフォンの機動性も活かされた、なかなか楽しいソロだ。

作曲は1944~47年とのことだが、なぜヴォーン・ウィリアムズ氏がこのようなサクソフォンの使い方をしたのか、その歴史的な経緯がとても気になっている。誰かサクソフォンの名手がいたのだろうか。バスクラリネットとの持ち替えとなっているということは、例えばそんなサクソフォン奏者がいたとしても、専任ではなさそうだが。

イギリスのオーケストラ…BBC交響楽団、ロンドンフィル、ニュー・フィルハーモニアなどによって演奏されているが、コリン・ディヴィス指揮のバイエルン放送交響楽団の演奏などというものが存在する。なかなか個人的に好きなオーケストラの音作りで、ご存じない方にはぜひ一聴をおすすめしたい。テナーサクソフォンが妙にブリブリ吹いている(ちょっとジャズっぽい音色)のも、他の録音とは画した注目ポイント。

YouTubeでちょっと探してみたところ、BBC Promsの動画が見つかった。これもなかなか良い演奏だ!第3楽章のテナーサクソフォンの目立つソロは、19'43"付近と、20'18"付近。若い奏者だが、誰なんだろう?

第6回交流会事務局打ち上げ

6/18木曜日、林田先生を交えて、新宿のツムビアホフにて第6回交流会事務局の打ち上げ。ビール!肉!芋!三昧だったが、どれも美味しかったなあ。事務局の皆様からお祝いの品まで頂戴してしまい、恐縮。

さて、これで第6回交流会に関してはほぼ全てクローズ。第7回に向けてぼちぼちと動き始める。

本日金曜日のオーティス・マーフィ氏リサイタル

本日(金曜日)、武蔵野音楽大学にて、オーティス・マーフィ氏のリサイタルが開かれる(小森さんよりご案内頂いた)。マーフィ氏は本シーズン、サバティカルのため長期にわたって日本に滞在しており、その滞在中のイベントの一環として、リサイタル開催の運びとなったようだ。ぜひ伺いたかったのだが、仕事の調整がつかず、厳しそう…。行かれた方、ぜひ感想を聞かせてください!

詳細は以下のリンクより。
http://www.musashino-music.ac.jp/news/concert/2015-06-19/

【オーティス・マーフィ サクソフォンリサイタル】
日時:2015年6月19日(金)6:00pm開演
会場:武蔵野音楽大学バッハザール (入間キャンパス)
入場料:1,000円(全席自由)
主催:武蔵野音楽大学
問合せ:武蔵野音楽大学入間キャンパス演奏部 04-2932-3108

トマジ「協奏曲」やるのか…聴きたかった!!

2015/06/17

クローバーSQ動画(再掲)

先日紹介したクローバー・サクソフォン・クヮルテットの動画について、追加の動画も含め、全てをご紹介したい。2013年2月17日、川口リリアにおけるワンコインコンサートの模様である。

バッハ作品や、ボザ作品での繊細な表現は、クローバーSQならではだろう。高クオリティで、一聴の価値あり!

J.S.バッハ/栃尾克樹編 「イタリア協奏曲」より1、3楽章
https://youtu.be/EqivOlBYfus

J.S.バッハ/田村真寛編「トッカータとフーガ」
https://youtu.be/JBnduLqaTxw

E.モリコーネ/石毛里佳編「ニュー・シネマ・パラダイス」
https://youtu.be/d-Ob1el-aoc

松岡大祐「トリツカレ男」
https://youtu.be/f3cqtUYW_IM

山根明季子「水玉コレクション No.16」
https://youtu.be/04DoDrXieTo

E.ボザ「アンダンテとスケルツォ」
https://youtu.be/VopCwH78Q4Y

特に、「トリツカレ男」を懐かしく聴いた。2009年に初演の演奏を洗足学園音楽大学の前田ホールで聴いた(津田征吾(s.sax.)、東秀樹(a.sax.)、橋本恭佑(t.sax.)、大塚遥(b.sax.)というメンバーだった)。改めて聴いてみると、コンパクトに良くまとまっており、サクソフォンならではの表現も散りばめられていて、面白い作品だ。

2015/06/16

ヤマハ目黒吹奏楽団第35回定期演奏会

【ヤマハ目黒吹奏楽団第32回定期演奏会】
出演:ヤマハ目黒吹奏楽団、鳥谷部武夫(指揮)、大田昌穂(司会)
日時:2015年6月14日(日)14:00開演
会場:めぐろパーシモンホール・大ホール
プログラム:
A.リード - セカンド・センチュリー
A.リード - エル・カミーノ・レアル
F.レハール/A.リード - ヴィリアの歌
A.リード - エルサレム讃歌
石川亮太 - レイルロード・ファンタジー!
R.ロジャース/宮川彬良 - マイ・フェイバリット・シングス
J.ウィリアムズ/J.ブルベイカー - コンプリート・ハリー・ポッター
R.ライト&G.フォレスト/小野崎孝輔 - ストレンジャー・イン・パラダイス
久石譲/後藤洋 - ハウルの動く城

ステージマネージャーとして関わり始めて8回目となる。開演時刻直前はかなり緊張を強いられ嫌な汗をかいたり、照明の指示出しが怖かったりと、何度やっても大変な仕事ではあるが、毎度とても勉強させていただいている。

今回は、ヤマメさん史上最多となる993名ものお客様が来場したとのこと。同じ場所で何年にもわたって続けており地元ならではの固定客がついているということも大きいが、毎度の素敵な演奏に惹かれるリピーターも多いのではないかな。考えぬかれたコンセプト、たくさんの曲をクオリティ高く半年一回のペースで披露する地力の高さ、バンドから生み出される暖かい音楽…など、挙げていけばキリがない。いつかはぜひ客席で聴いてみたいものだ。

前半はアルフレッド・リード特集。リード作品の中で最も好きな「エルサレム讃歌」、久々に聴くことができ楽しかった。また、宮川彬良編の「マイ・フェイバリット・シングス」も、懐かしく聴いた。

打ち上げも楽しかったなあ。ついつい賑やかくなってしまう。

2015/06/13

コングレス2015演奏予定日時・会場

JacobTVの新作「Ticking Time」初演。私はプレゼンテーション担当。
2015-07-12 16:00 @ "Le Shadok" (これ、松下くんの演奏と日時がかぶっているような…)

Tsukuba Saxophone Quartetの旭井翔一氏作の委嘱作品演奏、ならびに、Richard Ingham氏との"Mrs Malcolm, Her Reel"共演
2015-07-13 10:30 @ Salle 20 "Cité de la Musique et de la Danse"

2015/06/12

SONY α5100購入

少し前になるが、デジタルカメラ3台目となるSONY α5100(ブラウン)を購入した。これまで使っていたSONY NEX-5Nは、使い勝手が良かったが、AF性能と標準ズームレンズの大きさ、Wifi非対応が不満であった。

500円玉貯金が貯まったこともあり、この不満点を解消すべく3年ぶりに買い替え。AF性能については、α6000以降の像面位相差AFの性能に期待し、標準ズームレンズのサイズについては、α5100が補正をサポートするキットレンズE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSのコンパクトさによる取り回しの良さに期待、さらにWifi機能搭載も見越しての購入だった。

結果、なかなか良い買い物だった!AF性能については、驚異的のひとことに尽きる。公称値0.07秒での合焦は伊達や酔狂ではない。あまりにAFが早くて、AFで遊んでしまうくらいだ。まだ静物や人物しか撮影していないが、動体に対するAFもそのうち試してみようと思う。AF関連では、タッチシャッターが楽しく、パネルのタッチ箇所に瞬時に合焦→シャッターという小気味よさも、これまでNEX-5Nには無かった楽しみだ。

標準ズームレンズのコンパクトさも素晴らしい。よくこのサイズに収めたな…と思うほどの小ささ。さすがに周辺はかなり流れるが、まあ仕方あるまい。Direct Wifiも、通信やAndroidアプリの不安定さは仕方ないが、数枚の転送がすぐできるのは嬉しい限り(これまではAndroid携帯のOTG機能を利用して、有線で携帯に傳送していた)。このカメラで撮影した写真を、すぐにSNSに投稿できるのはとても嬉しい。

もちろん、不満点が無いわけではない。"高感度番長"の異名を取ったNEX-5Nと比較し、画素数アップのためか暗所撮影では等倍表示させるとディテールの損失が激しい。また、バリアングル液晶については、液晶を斜め下に向けるギミックが付いていないため、上からの撮影ができなくなってしまった。まあ、全員にとってパーフェクトなカメラはないので、仕方がないかだろう。

しっかり使い倒していこうと思う。

2015/06/10

Chiel Meijering - ShhBang

Arno Bornkamp氏の名前でYouTubeを検索していたところ、こんな動画(音だけ)を見つけた。



作曲家Chiel Meijering氏の「ShhBang」という1996年に作られた作品で、アルトサクソフォン独奏と管楽アンサンブルのための作品とのこと。無理やり括ってしまえば"ポスト・ミニマル"あたりのジャンルの作品なのだろうが、妙にファンキーで、独奏を目立たせる気がさらさら無い高密度のアンサンブルパートも含め、大変面白く聴いた。実演で聴いたら楽しそうだなあ。

演奏はサクソフォンがArno Bornkamp氏、バックのアンサンブルがThe Netherlands Wind Ensembleとのこと。

The New York Times紙上の野田燎氏の記事

1987年の記事であるが、野田燎氏が作曲家としての個展をニューヨークのMerkin Concert Hallで開いた時の、New York Times紙上の記事を同紙のアーカイブで見つけた。

http://www.nytimes.com/1987/05/17/arts/music-ryo-noda-in-debut.html

記事によれば、演奏されたのは以下の作品だったそうだ。

Phoenix [sax, dancer]
Guernica [sax, perc]
The Fourth Side of the Triangle in New York [sax, saxq, prepared pf]
Point minus 15 [pf]
Les Oiseaux

野田燎氏は、1976年から12年間、パリを拠点として欧米でサクソフォン奏者、作曲家として活躍した。1973年にはSACEM作曲賞を受賞、1974年に作曲した「Guernica」はフランス政府広報誌により絶賛され、今後注目すべき若手作曲家5人に選出されている。このニューヨークにおける個展は、野田氏が作曲家・演奏家としての活動をキャリアの中心に据えていたほぼ最後の時期でのリサイタルだということになる。この少し後、野田氏は日本へと戻り、"音楽運動療法"を広めるべく同療法の臨床研究にその軸足を移していくこととなる。

2015/06/09

演奏会情報:ヤマハ目黒吹奏楽団第35回定期演奏会

ステージマネージャーとして2011年の冬から毎回関わっている"ヤマハ目黒吹奏楽団"の演奏会が今週末に開催される。今回もまた、ステージマネージャーとしてお呼びいただいた。

今回は、第1部がアルフレッド・リード特集、第2部が列車特集という演奏会。毎回、客席で聴きたくなるような素敵な演奏をする団体だ。お時間が有る方はぜひ。

詳細は以下のリンクから。

http://www.yamame-winds.net/main/index.html

2015/06/07

名演!ロベール「マゲイア」の初演時録音!

ルーシー・ロベール Lucie Robert作曲の、サクソフォン四重奏とピアノのための「マゲイア Magheia」の初演時録音が、YouTubeにアップロードされている。アップロードしたのは、以前も紹介したAlain Bouhey氏のアカウントだ。作曲家・ピアニストのロベール氏についての経歴は、以前書いたロベール「カデンツァ」に関する記事に譲るとして、本作品について簡単に書いておく。

サクソフォン四重奏とピアノのための作品。第5回世界サクソフォンコングレス(開催地はロンドン)において初演された。初演時のメンバーは、ミシェル・ヌオー Michel Nouaux (sop.)、アンドレ・ブーン André Beun (alt.)、ベルナール・ボーフルトン Bernard Beaufreton (ten.)、モーリス・ドゥランブル Maurice Delabre (bar.)…すなわち、マルセル・ミュール氏が引退したあとのギャルド・レピュブリケーヌ・サクソフォン四重奏団のメンバーである…と、ピアノが作曲家自身。1976年7月30日に、ロンドンの王立音楽院コンサートホールにて初演とされている。楽曲は、以下の6つのセクションに分かれる。響きはやや現代的だ。しかし、各楽器のソロを散りばめ、幾つもの山谷を経ながら最終部に向けて突き進む様は大変感動的だ。

1) Introduction et cantilène
2) Ronde
3) Récit I
4) Misterioso e quasi una fantasia
5) Récit II
6) Danse

この、初演時の録音が残されているとは知らなかった。初演ということもあってか、激烈な集中力(ちょっと怖いくらい)、特に各楽器の無伴奏ソロや、最終部Danseにおける狂気じみた演奏は、個人的にはギャルド・レピュブリケーヌ四重奏団のベスト演奏…いや、ある意味では1970年代の四重奏録音のなかでも屈指のもの、と言ってしまいたいくらいの衝撃を受けるほどの内容であった。こんな名演奏、ライヴで聴いたら失神してしまいそうだ。録音状態もそれほど悪くなく、十分鑑賞できるレベル。少々長いが、ぜひご一聴のほど!

アメ横にて

お友達と、大統領支店→カドクラ→一蘭というアメ横ゴールデンコースめぐり。5時間にわたって、よく食べよく飲みよくしゃべった!楽しかったなあ。

2015/06/05

演奏会情報:ダッパーサクセーバーズ単独コンサート

先日の第6回サクソフォン交流会でも大変お世話になった、香川県高松市を中心に活動するダッパーサクセーバーズさん。非常に長い歴史を誇る団体だ…このページによれば、第1回のコンサートは1993年!20年以上にわたる演奏会の歴史があるのだ!そのダッパーさんが、このたび結成以来初めてとなる単独コンサートを開催するそうだ。

確かに、ダッパーサクセーバーズさんのコンサートといえば(何度か録音やプログラム冊子を送っていただいたり、ブログで様子を拝見して知っているのだが)、広く参加者を募集し、各団体の演奏や全体合奏の時間が確保されているというイメージがあるなあ。だがしかし、単独コンサートがこれまで無かったとは知らなかった。

私も高松まで飛んで聴きに伺いたかったのだが、諸々の事情により叶わず。ご盛会を祈念する次第。プログラムはまさにダッパーさん、という感じで楽しそうだ!

【ダッパーサクセーバーズ2015】
出演:ダッパーサクセーバーズ
日時:2015年6月6日(土曜)18:00開演
会場:丸亀町レッツホール
料金:入場無料
プログラム:
トルヴェールの惑星より「彗星」
My Favorite Things
燃えよドラゴンのテーマ
スイングしなけりゃ意味ないさ 他

マカリスター氏が演奏するフランク「ソナタ」の映像

YouTubeに、2015年5月5日に行われたKathryn Goodson氏プロデュースのアルバム"Belle Nuit"のコンサートの模様がアップされていた。もともと、このコンサートはライヴ・ストリーミングされていたのだが、それが残っているとは知らなかった。演奏会場は、シカゴのNichols Concert Hallとのこと。



マカリスター氏が演奏するフランク「ソナタ」は、58分20秒あたりから。下記リンクから直接その時刻に飛ぶことができる。
https://youtu.be/qPhIH_zTQHE?t=58m20s

ライヴ・ストリーミング映像そのままの画質・音質で、ところどころ途切れてしまうのが気になってしまい、演奏の素晴らしさに反して記録状態のおかげで鑑賞にぎりぎり耐えるレベル…というところだが、貴重な記録には間違いがない。

Georges Gourdet & ORTF play Boutry

もうだいぶ前になるのだが(引越し前のドタバタと重なって紹介が遅れてしまった…)、島根県のF様より大変貴重な録音を頂戴した。

ジョルジュ・グールデ Georges Gourdet氏は、マルセル・ミュール四重奏団にも参加したサクソフォン奏者。ヨーロッパ各国、アフリカ、アジアで演奏会を開いた他、国立カーン地方音楽院にて後進の指導にあたった。多くの作品がグールデ氏のために作曲されており、例えばよく知られたとことで言えばベルノー「四重奏曲」、シャルパンティエ「ガバンボディ2」はグールデ氏に献呈されている。

この録音は、「THE FRENCH BROADCASTING SYSTEM Production Sheet MASTERWORKS FROM FRANCE」と名付けられたアメリカの発の放送用録音盤である(Program No.766 May 1966との記載もある)。この盤に、グールデ氏が演奏するロジェ・ブートリー「ディヴェルティメント」が収録されているのだ。オーケストラは、Roger Albin指揮ORTF Chamber Orchestra。こんな録音が残っているのか!と、唸ってしまった。

そもそも、様々なサクソフォンの録音があるなかで、放送用録音はかなりの数があるとも聞くが、なかなか発掘されず、探すのも難しいと聞く。本当に、口を開けて待っているしかないようなもので、貴重なものに出会えれば儲けもの、というほど良いものに出会う確率は低いが、こんな貴重な録音があるとは知らなかった。F様には改めて感謝申し上げたい。

演奏は、いかにもスタジオという雰囲気のデッドな録音に、往年のフランスならではの音色・ヴィブラートといった演奏。録音状態は非常に良い。さすがにデファイエ氏の演奏とは比べるべくもないが、これはこれでとても雰囲気があって良いなあ。こういった演奏が、ラジオから聴こえていた時代があったのだなあと、なんとなく50年前に思いを馳せるのであった。

2015/06/02

ラクール plays ラクール「四重奏曲」

YouTubeに、Ensemble de saxophones francaisによる、ギィ・ラクール「四重奏曲」の録音がアップされている。

Ensemble de saxophones francaisはフランスの四重奏団。リンク先の情報によれば、次のようなメンバーによる演奏なのだそうだ。

Michel Nouaux (sax soprano)
Alain Bouhey (sax alto)
Guy Lacour (sax ténor)
Roland Audefroy (sax baryton)

作曲者ラクール自身による録音が残っているとは思わなかった。さすが作曲者、激烈に上手い。しかもライヴ録音というから驚きだ。



ちなみにこの録音をアップしたAlain Bouheyなる人物について、なかなか調べがつかずに困っている。そもそも、私が認識していたEnsemble de saxophones francaisのメンバーは、下記のようなものである。

Jacques Melzer (soprano)
Jean-Marie Londeix (alto)
Guy Lacour (ténor)
Roland Audefroy (baryton)

また、第4回のコングレスでも、次のようなメンバーで演奏しており、ヌオー氏や、このAlain Bouhey氏は参加していない。この録音は、もっと後の時期なのだろうか。

Roland Audefroy
Guy Lacour
Jean-Marie Londeix
Jacques Melzer
Alain Jousset
Andre Legros
Daniel Liger
Michel Reydellet

最近思うこと

誰しもがパソコンを使えるようになって、インターネットが発達して、クラウドが発達して、昔は1時間、あるいは1日かかっていたことが、10分でできるようになった。

例えば、昔は楽譜ひとつ手に入れるのも、手紙や電話を駆使したり、大手楽器店に頼んだりするしかなかったのに、今やフォームに記入しクレジット決済でデータを入手することができてしまう。また、昔は考えられなかったこと(遠隔地の奏者、さらには海外の作曲家や奏者と連携することなど…)もできるようになった。サクソフォン交流会だって、インターネットがなければできないイベントだろう。

素早く便利にいろいろと出来るようになったけれど、なぜか忙しさは変わらない。様々な事柄を素早くできるようになったぶん、どんどんと仕事を取り込んでしまうのだ。これを続けていくと、頭が追いつかなくなってしまう。最後は結局自分自身が仕事の量を決めなければならないのだな、と、最近そんなことを思う。

女声合唱スワ・セシリア第13回コンサート

素敵な演奏会に出演者としてお誘いいただき、楽しい時間を過ごした!

【女声合唱スワ・セシリア第13回コンサート】
出演:女声合唱スワ・セシリア、保坂俊正(指揮)、進藤直美、油井一美(以上pf)、Four Seasons Trio(sax)
日時:2015年5月31日 14:00開演
会場:下諏訪総合文化センター・大ホール
プログラム:
R.シューマン - 女の愛と生涯
オムニバス - ふるさとのうた
杉本龍之 - 組曲「故郷の道」
オムニバス - いのちの歌

朝、実家最寄り駅から会場まで電車移動。控室で音を出しながら開演時刻を待った。開演1時間前にはすでに行列が!最終的に、700弱の座席中約650席が埋まったというのだから、すごい!

第1部と第2部を舞台袖で聴いた。シューマンの名曲「女の愛と生涯」の日本語訳版は、まさに女性が歌うための濃密な歌詞、そしてシューマン作品ならではのピアノパートも楽んだ。第2部は、小さい頃から親しんできた歌…童謡や唱歌だが、改めて聴くとやはりぐっとくる作品ばかりだ。

第3部は裏でどたばたと着替えと音出し。さて、第4部である。Four Seasons Trio(ssax:Chisa氏、asax:まなみん氏、tsax:kuri)のChisa氏のお母様が参加されているという合唱団、というあたりから話が拡がり、同じくChisa氏の高校時代の恩師である先生が編曲を手がけ…気が付くと、全5曲(1曲はサクソフォンのみ)、合唱+ピアノ+サクソフォン3本という、大掛かりなステージとなっていた。「夢みたものは(サクソフォンのみ)」、「Butterfly」「いつまでも」「あなたに会えて」「いのちの歌」という、私も実は初めて知った作品があったのだが、本当に良い曲ばかりだ。

このステージを演奏しながら、ちょっと涙ぐんでしまった。歌詞の持つ力って、普段器楽曲ばかり聴いているせいか、本当にすごいなあと。また、曲が曲だけに、その中で語られる言葉一つ一つに私自身を重ね(歌っている皆様も同じように考えてしまうことが多々あったとのこと)、楽器がお休みの場所はついつい集中して耳を傾けてしまい、楽器を吹く場所でも歌詞を追ってしまうのであった。たくさんの拍手に包まれ、アンコールにさらに「Cosmos」を演奏し、幕となった。

打ち上げも参加させていただき…ホテルの宴会場で丸テーブルが並ぶという、普段私自身が頭に思い浮かべる「打ち上げ」とはまた違った装いではあったが、たくさんの皆様とおしゃべりさせていただいた。8:30頃のあずさで東京へ。長かったが、楽しい1日だった!

なんと、このスワ・セシリア、1982年の結成だという。メンバーを変えつつも「歌が好き」という思いを持ちながら、日々の生活の傍ら練習し、そしてこのような充実した演奏会を開く…という、それが30年以上も続いていることに驚かされる。今回、このような貴重な機会にお呼びいただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。ご来場いただきた皆様、そして関係者のみなさま、ありがとうございました。

打ち上げでの写真。