イギリスの作曲家、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ Ralph Vaughan Williams(1872-1958)の「交響曲第6番」には、テナーサクソフォン/バスクラリネット持ち替えのパートがある。和声を構築するような形でもなく、ソロというわけでもなく、木管楽器や弦楽器と一緒に細かいスケルツォ的な動きを担当するという、オーケストラの中におけるサクソフォンの使われ方としては、珍しいタイプ。Roncorp版の「The Orchestral Saxophonist Volume One(おなじみのサックスオケスタ本)」にも収録されている。
第1楽章アレグロは他の楽器とのユニゾン(16分音符のシンコペーションの連続で、非常に難しい)に終始し、第3楽章スケルツォも高速な細かい音符が連続するが、とても目立つソロが2箇所にある。このソロは、いずれも音域的にも良く音が立ち、サクソフォンの機動性も活かされた、なかなか楽しいソロだ。
作曲は1944~47年とのことだが、なぜヴォーン・ウィリアムズ氏がこのようなサクソフォンの使い方をしたのか、その歴史的な経緯がとても気になっている。誰かサクソフォンの名手がいたのだろうか。バスクラリネットとの持ち替えとなっているということは、例えばそんなサクソフォン奏者がいたとしても、専任ではなさそうだが。
イギリスのオーケストラ…BBC交響楽団、ロンドンフィル、ニュー・フィルハーモニアなどによって演奏されているが、コリン・ディヴィス指揮のバイエルン放送交響楽団の演奏などというものが存在する。なかなか個人的に好きなオーケストラの音作りで、ご存じない方にはぜひ一聴をおすすめしたい。テナーサクソフォンが妙にブリブリ吹いている(ちょっとジャズっぽい音色)のも、他の録音とは画した注目ポイント。
YouTubeでちょっと探してみたところ、BBC Promsの動画が見つかった。これもなかなか良い演奏だ!第3楽章のテナーサクソフォンの目立つソロは、19'43"付近と、20'18"付近。若い奏者だが、誰なんだろう?
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