3つ好きな吹奏楽曲を挙げろと言われれば、「ディオニソスの祭り」、「メトロポリス」、そして「ローマの権力とキリスト教徒の心」である…ということは以前書いたが、そのひとつP.A.グレインジャーローマの権力とキリスト教徒の心」のスタディ・スコアを買ってみた。演奏する予定がある、等ではなく、単純に興味と価格の安さ(1000円くらい)から購入に至った。
同曲の版元はMills Musicだが、このスタディ・スコアはEdwin F. Kalmusというところから出版されている。オフセットではなく、おそらく電子写真での印刷。いかにもアメリカンな大味な印刷クオリティには驚かされたが、読んで楽しむぶんには問題ないレベル。
スタディ・スコアなので、フル・スコアのように各楽器一段ずつ割かれているわけではなく、パートごとのコンデンス・スコア風を想像していただければ良いだろう。フル・スコアでなくても、さすがの情報量。音を聴いているだけではわからなかった、新しい発見がたくさんあって面白い。
例えば編成。最小編成として、吹奏楽とピアノ("Piano may be used as substitute for Organ"と書いてある)でも演奏できるようだ。最大編成は、吹奏楽+パイプオルガン+追加のパーカッション(マレット系)、チェレスタ、DULCITONE、ピアノ(The more pianos the betterって書いてある笑)、ハープ(The more harps the betterって書いてある笑)、そして弦楽合奏である。実現すれば、なんとも巨大な音の洪水が想像できる。
オルガンのヴィブラートに関しては、次のような指定が書いてあった。Throughout the piece plenty of vibrato should be used on the organ, producing somewhat "theatrical" sonorities and conveying a feverish emotionality. A "churchy" impression is not intended. なんとなくグレインジャーらしいというか、何というか。確かにどの録音を聴いても、オルガンの響きにはやや違和感を感じていたのだが、このような指示が書いてあるのだな。
続いてページをめくっていけば、その情報量に驚かされる。ダイナミクス、旋律の運び、拍子…ところどころ英語で書かれた指示が痛快でもある。音を聴きながら眺めているだけで、まるまる3日くらいは楽しめそうだ。
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