現代の最も優れたリコーダー奏者のひとりとして、ミカラ・ペトリ Michala Petriの名がすぐに挙がるだろう。彼女の名前を知らなずして管楽器を吹いてはいられまい。圧倒的なテクニックと音楽性でリコーダー界に君臨し、世界中の著名な奏者・オーケストラと共演、その美貌も相まって聴衆からの人気も高いプレーヤーである。
なんとそのミカラ・ペトリが、サクソフォンと共演したアルバムが存在する。しかも、あのコペンハーゲンサクソフォン四重奏団と、である。コペンハーゲンSQは、パスカルとリュエフが収録されたアルバムでは悪名高い事この上ないが(失礼)、そういえばミカラ・ペトリはデンマークの出身であった。たしかに共演することに不思議はないのだろう。
「Scarlatti(Classico CLASSCD489)」というタイトルのスカルラッティ作品集で、ミカラ・ペトリとの共演は2曲のみ「Sonata in D minor, K.90/L.106/P.9」「Solo Sonata in D minor, K.89/L.211/P.12」である。他にはサクソフォン四重奏のみの編成で、10曲の鍵盤ソナタが収録されている。
聴いてみると、さすがにリコーダーとサクソフォンということで、やや不自然…おそらく、リコーダーだけオンマイクで収録してバランスをいじっているのだろう。そのせいで、想像していた響きとはかけ離れた音が聴こえてくるのだが、慣れてしまえばOK。自在、かつどこまでも可愛らしくフレーズをもて遊ぶペトリの明るい音楽性に感嘆するばかりである。コペンハーゲンSQのメンバーは、音色のコントロール含めてかなり控えめで、そのギャップがちょっとおかしくもある。
ペトリの演奏も、他の録音で聴かれるような圧倒的な覇気はややここでは薄まっており、完全という状態ではないとも感じられた。50歳記念のクレメラータ・バルティカとの共演ライヴ録音などと聴き比べてしまうと、さすがに分が悪いか。コペンハーゲンSQに受け止められるだけの器がなかったのか、それともペトリが単に気乗りしていないだけなのか判らないが(笑)。
とはいえ、世界最強のリコーダーとサクソフォンの共演などめったに聴けるものではないから、貴重な録音である。ぜひ探して、聴いてみていただきたい。
2 件のコメント:
はじめまして。
nordic繋がりの加藤です。
おはなしは伺っていたのですが、なかなか時間とタイミングが掴めず連絡ができずにいました。
今回、記事の内容がデンマークのCDということでコメントを残してみました。
実はこのカルテットは実質活動休止のようだとコペンハーゲンの友達から聞きました。
また、Jutlandia saxofonkvartetやDanish saxophone quartetも活動休止なので、今デンマークにはプロのサクソフォンカルテットはないという状況です。
…
何だか暗い話になってしまいましたね…(笑)
これからもkuriさんの記事を楽しみに読ませてもらいます!
それでは失礼いたします。
> 加藤様
コメントありがとうございます!
ノルディックやJML関連でお名前を伺っていましたが、まさかブログをご覧になって下さっているとは!と驚きました。
それにしても、コペンハーゲンSQもジョットランディアSQもニュー・ダニッシュSQも活動休止とは、寂しい限りですね。どの団体も、まだ活動を続けているものだと思っていました。やはり日本にいてはわからない情報がありますね。
今後ともよろしくお願いいたします。
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